2006年8月31日木曜日

行くだけ行った in 台北 (その2)

〔たび〕

変えてくれ・・・・。

8月26日(土)
午前11時に待ち合わせなので午前9時までのんびり寝ていようと思っていたら、足が攣って7時30分に目覚めてしまいました。とほほ。
妙な夢を見たせいだろうか・・・・。

仕方がないので朝の散歩。
ホテル周辺をぐるぐる。
途中、コンビニで蘋果日報と豆乳、菓子パンを買ってホテルへ帰り、パンを食べながらテレビのニュースを鑑賞。
あんまりチャンネルがありすぎて迷ってしまい、結局一日中ニュースチャンネルばかり観続ける、というのが毎度のパターン。
三立、民視、東森、TVBSを適当にチャンネルを変えながら観ますが、中天は嫌いなので観ません。
TVBSは系列局だから当たり前といえば当たり前なんですけど、ニュースのテーマ音楽がTVBのそれと同じ。

目下のトップニュースは、総統退陣運動VS総統擁護運動の行方。
わたくし的には施明德も許信良も政治的には終わってる人だとばかり思っていたので、なんだか台湾の将来を憂えて立ち上がったというよりは、スタンドプレーの匂いがぷんぷんしてあんまり関心しません。
それぞれの陣営が集会やってるとそこに反対陣営の人間が乗り込んできて乱闘、というのもおさだまりの展開。
他にも、永和市のマンションの貯水槽に死体が浮かんでいたけれど、見つかるまでの間住民は何も知らずに死体エキス入りのおいしい水を飲んでいた、なんていうニュースもありました。

ニュースにも飽きたのでチャンネルをあれこれ変えると、陶喆の洪水。
しかし、敢えてこれらは観ずにNHKBS2でやってた『純情きらり』の再放送を鑑賞。
義理の兄を愛し始めたヒロイン・桜子(宮﨑あおい)。
NHK朝の連ドラ的にはこれにどうケリをつけるのか、ちょっと興味があります。
昼下がりの東海テレビだったらすごいことになりそうだけど。

そうこうするうちに10時をまわったので、ホテルを出てMRTの民權西路駅へ。
駅のセブンイレブンで油切緑茶(この年になると、「油(脂)を切る」とか「脂肪を分解」とかいう文句にとても弱くなってしまうのだ)を買い、台北車站までの切符を買って乗車。
台北車站で降りて地下街を歩き、待ち合わせ場所である台灣故事館入り口に着きましたが、友人はまだ来ていない様子。
しかし、それにしてもすごい人出。
親子連れに中学生、高校生の団体で大混雑。
夏休みの土曜日だから致し方ないのかもしれないけれど、「空いている」という噂ばかり聞いていたので、この大入は予想外。
でも、これでしばらくは閉鎖せずにすみそうだ。よかったよかった。

午前11時5分過ぎに友人のYさんが到着。
Yさんに会うのは3年ぶり。
実は、今回の旅の主たる目的は彼女に会うことでした。
以前は必ず年に1回は台北に行って会うようにしていたのですが、ここんとこすっかりご無沙汰してしまい、気づいたら3年も間が開いていたのでありました。

Yさんと一緒に記念品付の入場券(300元)を買い(彼女のおごりだったけど)、いざ場内へ。
記念品は吉田初三郎の台湾鳥瞰図をアレンジしたオリジナルグッズ。

場内は1960年代の台湾の町並みが再現された、いわゆるレトロミュージアム。
床屋さんの店内に飾られていた写真は、


向かって右から若尾文子、司葉子、朝丘ルリ子、山本富士子といったあんばいで、日本明星も健闘しておりました。


こちらは博物館のマスコット。
背後にある看板には、

我要説國語不説方言

という標語が書いてあります(当時、学校に掲げてあったもの)。
Yさんはこれを見るなり嫌そうな顔をして、小学生の頃、隣の席の男の子がついうっかり台湾語の感嘆詞を口にしてしまい、そのたびに外省人教師に呼び出されてお仕置き(台湾映画によく出てきますが、手のひらを棒切れで叩くというあれですね)を受けていた、という話をしてくれました。
一口にレトロブームといっても、台湾の場合明るい記憶と同じぐらい、いや、それ以上に暗い記憶も多いはずなので(日本もある程度はそうかも知れんけど台湾とは比較にならんと思う)、そのあたり、心して見学せにゃならんなとも思いましたです。

場内にはミニ映画館もあり、この日は『梁祝』を上映する予定とのことでしたが、ロビーの展示物の中に『香港の夜』グッズがあるのを発見しました。

でも、これ、少し前に台湾のヤフオクに出ていた記憶が・・・・。

他に、2001年に惜しくもぶっ潰れた台影(台製)関連のブツが大量展示されており、「本来ならば、國家電影資料館にあるべきはずのものなのになあ」と思いつつも、好奇心には勝てず、Yさんに解説しながら興味深く見学いたしました。

こんなのとか。
カメラもありました。


この方も裏通りに張仲文と並んで
ひっそりと佇んでおられました。

一通り観終えたところで昼食。
どこの店も混んでいたので、一番空いていた中華料理の店(富貴亭)でお食事。
入場料の300元はそのまま場内での飲食代に使えるので、これは便利。

こんなん食べましたけど。

Yさんは、目下、TBS(ここんとこ大事)の『花より男子』に夢中なのだそうで、彼女によれば「『流星花園』なんて目じゃない!」との由。
中でも松本潤(この字でいいんだっけか?)に大変なお熱で、「そういや、来年の1月からPART2の放送が始まるよ」と言ったら、狂喜しておりました。
去年はテレ朝の『特命係長 只野仁』にハマってたらしいけど。

食後、売店で買い物をしてから見学を打ち上げ、故事館のあるビル(K Mall)裏の光南でDVDのお買い物。
にわか雨が降って、蒸し暑くなっていました。
中文字幕で観たいと思っていた(上海語の台詞もあるし)『素顔の私を見つめて・・・・(Saving Face.面子)』のDVDやら邵氏ものやら電懋ものやら大衆ものやら、いろいろ見つけて購入。
会計を済ませてCD売り場へ行くと、Yさんは嵐のCDを物色中。
いろいろ迷った末にお買い上げ商品を決め、こちらも会計を済ませて無事買い物は終了、近くでお茶でも飲もうということになりましたがどこも混んでいたので、そのままタクシーをひろって永康街へ移動。
途中、二二八和平公園で総統擁護派が集会をやっていました。

(終わりそうにないので途中だけどつづく)

2006年8月29日火曜日

行くだけ行った in 台北 (その1)

〔たび〕

いーとー巻き巻き、いーとー巻き巻き。

というわけで、とっとと帰ってきました。
1日はほぼ立ちっ放し、もう1日はほぼ座りっぱなしと、なんだか謎の旅でしたが、こちらでちょっこしご報告なんぞを。

8月25日(金)
午前中、洗濯&お掃除など済ませ、92歳の祖母の昼食の世話をした後、正午過ぎに出発。
ふだん祖母の面倒は私がみているのですが、この4日間はちょいとパスして母親にバトンタッチ。

この時間帯だと品川駅に成田EXが停まるので、品川駅から乗車。
午後2時前に成田空港着。
今回は行きの段階から荷物が多かったため、スーツケースは託送を頼みました。だもんで、まずABCのカウンターに立ち寄ってスーツケースを受け取り、もう1つの大荷物(サトちゃん&サトコちゃんの大きな貯金箱。この日現地の方に渡す予定が)と共にえっちらおっちらと運んでCXのカウンターでチェックイン。
スーツケースはもちろん預けるものの、もう1つの方は壊れ物なので機内に持ち込みたいと告げると、「大きいですねえ。でも、機内に持ち込めるようにしますから、ちょっと貸して下さい」と言って、持込用のタグをくっ付けてくれました。

チェックイン後、クレジットカードのカウンターに寄ってから出国。
月曜日の用事をキャンセルする旨のメールを出し忘れていたことに気づいたため、100円端末からメールを送信。
免税店で母親(香水好き)への土産を買い、売店で週刊文春と風邪薬をゲットしてから搭乗口へ。
文春読みながら搭乗案内を待ちます。

ほどなくして搭乗時刻(午後3時40分)となり、どかどかと乗り込み大荷物を座席上の棚に収納して着席。
午後4時過ぎに離陸しました。

CX(451便)で台北に行くのは10年ぶり。
そのときは台北で友人に会った後、香港へ行き、だらだらとクリスマスを過ごしたのでありました。

機内誌で上映映画をチェックすると、行きは『天生一對』をやるとの由。
もちろん未見なので、眠気を堪えつつ途中食事をしながら鑑賞。

働く若い女性が七転八倒しながらも己の運命を受け入れ、前向きに生きていくということなのでしょうが、その七転八倒の仕方がどうも気に入りませんでした。
というか、あれだけ若いと病気の進行も早いから、ぼやぼやしてると乳房切除どころじゃ済まなくなるよ、と、つい現実的な疑問を抱きつつ観てしまったもんで。
じっさい、私の古い知人も乳がんのため30代で亡くなっていますし。
それから、セカンドオピニオンでも乳房切除以外選択肢はないと言われますけど、香港の乳がん治療って今どんな状態にあるのじゃろか、と、これもまた現実的な問題に興味の方向が向かってしまいました。
乳房切除した後も抗がん剤治療とか放射線照射とかあるはずだからねえ。

と、いささか辛口の感想を抱きつつ鑑賞した後、もう1本の中華圏作品『恋人たちの食卓(飲食男女)』にチャンネルをチェンジ。
ちょうど紫藤盧の場面。
これを初めて観たとき、「いつか紫藤盧に行って小倩と同じ席に座って高山茶を淹れて飲むんだ!」と強く誓ったものですが、実現したのはそれから6年後(!)のことでした。
ちょうどお父さんの爆弾発言のあたりで機内アナウンスがあり、上映は終了。
このぐらいの長さの映画だと最後まで観られないのね。

てなわけで、午後5時50分頃中正国際空港着。
入国、荷物受け取り、税関を通過してバスの切符売り場へ。
國光客運の台北行きバスの切符を買って乗車。
うっかりトイレの前の席に座ってしまったため、なんだか香ばしい・・・・。
香ばしいといえば、『天生一對』で楊千嬅が林雪目がけて小間物屋さんを開店した直後、隣に座っていたオヤジがほんまもんの小間物屋さんを開店(袋で受け止めてたけど。ビール2缶も飲むからだよ)するというちょっとした事件があり、今回はこの手のネタに縁があるようです。

下車するはず富都大飯店のバス停をなぜか通過されてしまったため、仕方なく次の國賓大飯店で降り、そこから大荷物担いで汗だくになりながら宿泊先の燦路都飯店へ。
民生東路から民権東路まで歩いたわよ!

ようやく辿り着いてチェックイン。
お部屋は3階角のダブルルーム。

こんなかんじ。


こんなかんじ。

1人で過ごす分には十分すぎる広さでおました。
途中、渋滞に巻き込まれてしまったため、ホテルに着いたのは午後7時40分頃。
早速、明日と明後日会う予定の友人に電話。
が、どちらも留守電のため、メッセージを吹き込んで連絡を待つことに。

そんなこんなしているうちに8時になり、てきとーに番組チェックをすると『白色巨塔』とやらをやっていたのでちょこっと鑑賞。
呉孟達が出てるけど、台詞は吹替。
かなり違和感があります。

9時過ぎ、今夜会う予定のKさんからロビーで待っているとの電話が入り、Kさんに渡す品々を携えてロビーへ。
KさんとKさんのお友達であるSさんにご対面。
3人で來來大飯店裏にある茶藝館・德也茶喫へ行くことになり、Sさんは原チャリ、私とKさんはタクシーで移動。

Kさんがこの店の店長さんとお知り合いだそうで、注文していないお菓子までガンガン出てきたので、それをばくばく食べながら文山包種茶を飲みました。

食い散らかしてます。

ここんとこ内地のお茶ばかり飲んでいたので、台湾のお茶の味がけっこう新鮮に感じられ、その場で茶葉を購入。
Kさんにサトちゃんグッズを渡してから、3人でおしゃべり。
Sさんは日本語を勉強しているそうですが恥ずかしがって話したがらないため、Kさんとは日本語、Sさんとは北京語という変則的な会話に。
Sさんは今まで8回日本に行ったとの由。
中でも東急ハンズや浅草がお好きなのだそうです。

午後11時前、お2人と別れて1人タクシーでホテルへ。
明後日会う予定のAさんから電話が来ていたので、折り返しこちらから電話。
京劇大好きのAさんと一緒に中國京劇院の来台公演最終日を鑑賞することになり、明後日の午後1時10分にホテルに迎えに来てもらうことにして電話を切りました。
明日会う予定のYさんとは午前0時半頃になってようやく連絡が取れ、午前11時に台湾故事館の入口で待ち合わせることにしました。

忙しくなるわよ。

今夜の入浴のお伴はこちら。
身も心も洗濯できます。

(つづく)

2006年8月24日木曜日

ひとりハレンチ祭

〔しようもない日常〕

遂にこのドラマもDVD化
アマゾンでは丘みつ子の名前しか載ってないけど、
ジャケット写真はもちろん団令子と大塚道子の恐怖姉妹。

というわけで、体調不良その他諸々の事情により延び延びになっていた「新宿ハレンチ詣」、昨晩ようやく実現いたしました。
昨日は1000円均一の日でしたが、入りは6~7割ほど。

先だって東映チャンネルで放映されたさいに録画したビデオをさんざん観過ぎたせいで、音楽まで覚えてしまった(よく鼻歌歌ってしまう)『ハレンチ』でありましたが、改めてスクリーンで観ると、若杉英二は変態なんてものじゃない、あれはもう

ケダモノ

ですわね、奥様。

でも、それに引きずられ続けるますみたんもけっこういい勝負というか、すっかり洗脳されて共依存状態になっちゃうところが怖いですわ。

で。

去年、雨の中京都でロケ地めぐりをしたときには追いきれなかった場所が、今回スクリーンで観ることによっていくつか判明いたしました。

まずは吉岡のマンション。
「衣笠マンション」とありました。「○○町一番地」と書いてあるところまでは読めたものの、○○が判読不能。
もう現存していない可能性大ですが、衣笠にあることだけはわかったので探してみます。

それから、これは京都ではありませんが、琵琶湖大橋がバックに見える湖沿いの道路。
琵琶湖というと、『温泉あんま芸者』の船着場の場面も琵琶湖で撮っているので、それらと合わせていずれ探訪いたします。

ユタニ家具センター跡(三条御前)にも行かないと。

ところで。

映画館の売店を物色していて遅ればせながら気づいたのですが、『喪服の訪問者』のDVD-BOXも発売されましたね。
去年、チャンネルNECOで放映されたときにしこしこビデオに録画しながら全編観ましたが、見逃した方はこの機会にぜひご覧下さい。
そういや、売店でますみたんボロクソ本(書名は内緒)も売ってたわ。
一気に気分が悪くなったよ。

お知らせ:BBSにも書きましたが、ちょっくら台北に行ってきます。友人に会って酒飲むだけの気ままな一人旅です。帰ってきたらまたこちらで旅日記でも書きます。では!

2006年8月23日水曜日

誰敢惹我 (Who Dare Challenge Me)

〔えいが〕

こんなんで母親やってまーす

1981年、台湾(陽光)。楊家雲監督。楊惠姍(珊)、姜厚任、李小飛、華方、王俠、應采靈主演。

またまた懲りずに帰ってきた台湾黒電影(前回の特集はこちら)。

黒社会の女ボス・夏紅塵(楊惠姍)は、ひょんなことから今しがた人を殺したばかりだという少女(華方)の逃亡に手を貸すことになりますが、少女の言動が気に入らず、途中で彼女を車から降ろします。
しかし、車中に残された少女のIDカードから、彼女が実は自分の生き別れになった娘・丹丹であることを知ります。
手下に命じて丹丹を探し出させた紅塵は、養父母を亡くしたという丹丹を引き取り、一緒に暮らし始めますが、丹丹の背後には驚くべき陰謀(それほど大したことじゃないんだけどさ)が隠されていたのでした・・・・。

紅塵は当年とって30歳の女ボス。
14歳(!)の時に娘を産んだというムチャクチャな設定ですが、その経緯がまたすごいんだわ。

紅塵の養父が博打狂いで、賭ける金がなくなったため代わりに当時14歳の紅塵(三つ編みのお下げ髪に白いワンピースという無理やり過ぎるいでたちの楊惠姍が登場。でもメイクはいつもおんなじ)を差し出し、賭けに勝った王俠(役名失念)は彼女を18歳だと勘違いして(そりゃあの見た目じゃ勘違いするよ)「いただきマンモスごちそうサマンサ(死語)」してしまい、その結果生まれたのが(命中率極高)丹丹だったとさ。めでたしめでたし(めでたくないわ!)。

で、しばらくは丹丹と幸せに暮らしていた紅塵でしたが、養父が勝手に丹丹を人手に渡し、そんなこんなでグレちゃった紅塵は黒社会に足を踏み入れたのだそうな。

映画はこの後、丹丹と再会して同居を始めた紅塵にありとあらゆる災難が降りかかることになるんですけど、敵対するボスである黒鬍子が縄張り争いから丹丹を拉致する場面では、なぜか拉致監禁の場所が

牛小屋

だったため、本来ならば緊迫するであろう両者のやり取りの合間に

ンモ~、ンモ~

というのどかな鳴き声が響き渡り、なんだか牧歌的でさえありました。

また、丹丹が実は偽物だったとわかったことから始まる一連の事件もなんだか飛躍しすぎていて、14歳の楊惠姍同様無理やり感は否めず・・・・。
これだけ黒社会のあれこれを描いていながら、根っからの悪人がほとんど出てこないのも、ちょっと甘い気が。

ところで、この映画の製作会社である陽光は、本作の監督・楊家雲と作家・玄小佛が1979年に興した会社で、この映画の原作・脚本も玄小佛が担当しています。
玄小佛は瓊瑤の少し後に現われたやはり愛情小説を得意とする女流作家で、以前こちらで取り上げた『白屋之戀』も彼女の作品です。
それゆえ、陽光もその初期にはいわゆる愛情文芸映画を撮っていたようで、本作からいわゆる黒電影に手を染めたようなのですが、玄小佛自体は愛情小説の作家だったせいか、この映画の特に後半は愛情文芸映画のテイストがかなり残存しているような雰囲気がありました。
つまり、愛情文芸映画の残り香漂う黒電影とでも言うのでしょうか、そんな映画でおました。

ちなみに、この映画が製作された1981年に陽光は解散しているようですが、黒電影に突っ走る楊家雲と愛情文芸映画に未練を残す玄小佛との意見の不一致(せんきちの勝手な推定だけど)が、その背景にはあったのかも知れません。

2006年8月18日金曜日

コールドケース2 第5話 ブレスレット

〔テレビ〕

こんな映画にも出てます、ちょこっとだけ。


2004年、アメリカ(CBS)。グレッグ・ヤイタネス監督。キャサリン・モリス主演。

CBSのドラマ"Cold Case"の第2シーズン第5話(Who's Your Daddy)。

いきなりアメリカのテレビ・シリーズですが、ゲストで『素顔の私を見つめて・・・・(Saving Face)』のミシェル・クルジーク(Michelle Krusiec、蜜雪兒古斯克、楊雅慧)が出ていたので、ちょっこし取り上げてみました。

日本版オフィシャルサイトによる第5話のあらすじは、下記の通り。


リリーの元を、カンボジア人の少女カーラ・ディエットが訪れる。殺された母スーナリーの物らしきブレスレットがインターネット・オークションで売られているので、出所を突き止めて欲しいと言う。カーラの両親は十数年前に強盗に射殺され、ブレスレットが無くなっていたのだ。カーラに付き添ってきたライル・ブッカーという黒人は、事件の通報者であり、その後何かとカーラの面倒を見てきていた。リリーは元麻薬中毒のブッカーを怪しむが、ブッカーは純粋な好意からであることを強調する。彼はまた、スーナリーの口元に泥がついていたと証言する。


で、この捜査の過程でカーラの両親の実像やら、母親とブッカーの過去やら、カーラのおばとカーラの両親の複雑な関係が浮かび上がってくるのですが、エピソードの核心にあるのはアメリカにおけるアジア系不法移民の悲惨な実態です。
結局、カーラの両親が殺害されたのもそこに原因がありました。

今回、ミシェル・クルジークが演じていたのはカンボジア人の少女カーラ・ディエット。
どーみてもカンボジア人には見えない(だって台湾人だもん。それを言ったら、カーラのおじ夫婦なんか日系人だったよ。雇主がカーラの母親に「ミス・サイゴン」とか話しかけて、「私はカンボジア人です。それに、サイゴンはベトナムの首都です」と切り返される場面があったけど、そんならこのキャスティングはどうよ!と思っちゃったのもまた事実なのではありますが)というミもフタもない話は置いておくことにして、18歳(!)という設定のせいか、日本語吹替の声はご本人のそれとは似ても似つかぬものでおました。

彼女は2002年にゲスト出演していた『ER 緊急救命室 IX』第7話「痛みに耐えて(Tell Me Where It Hurts)」でも、雇主と性的関係を持たざるを得ない中国人メイドに扮していましたが、今回、カーラの母親に性的交渉を求める男(カーラの父親の雇主)が白人だったのに対して『ER』のそれは同じ中国人という、いわば民族内格差でして、どちらの方がより痛ましいのかしらん、などとも考えてしまいました。

でも、こういう「悲惨なアジア系移民」というアメリカのドラマに繰り返し出てくるモチーフって、香港映画における「内地からやって来た貧しい男女」となんだか共通するような気もいたします。
等身大の彼ら彼女らが描かれるようになるのは、いったいいつのことになるのでありましょうか。

(於:WOWOW)

2006年8月14日月曜日

スミスのゲロゲロ

〔しようもない日常〕

この方が吐くわけではありません。

1週間のご無沙汰でした。
腰痛は相変らずなので、連休明けにちょっと大きな病院(総合病院って言うのか、ふつうは)に行ってみるつもりです。

で。

こちらの方は気が向いたら更新するということで、しばらくはご容赦下さい。

さて。

体調不良時にふさわしい(?)嘔吐ネタ。
先日、買い物に行った薬屋さんのレジ前で偶然発見しました。


株式会社スミスのエチケット袋、その名も

ゲロゲロ

アップでどうぞ。

せっかくだからちょっと吐いてみようかしら。

と、思わずその気にさせる、味なネーミング(んなわけねーだろ!)の一品です。

「チャック付き」ということは、
繰り返し何度でも吐けるのか?

このようにしっかりガードの設計ゆえ、旅のお供に最適。
二日酔いのお父さんの枕元に置いても、お役に立つことでしょう(って、あんた会社の回し者かい?)。

「ゲロゲロ坊や」と勝手に命名。

しかし、不思議なのは製造元の社名。
「スミス」というから、あたしゃてっきり

Smith

という名の外資系企業なのだと思っていたところ、じっさいには

Sumisu

なのですよ。

墨酢?

付記:ちょっと情報。
『異常性愛記録 ハレンチ』、テアトル新宿でのレイトショー終了後、東映チャンネルで再び放映されることが決定しました。
また、夏の風物詩(?)・人間花火も、オールナイト上映の後はシネマヴェーラで昼間に観られます。

2006年8月7日月曜日

海韻 (Rhythm of the Wave)

〔えいが〕

芳芳、わがままは控えめにしろよ!

1974年、台湾(文藝)。李行監督。蕭芳芳、胡燕妮、柯俊雄、秦漢主演。

芳芳わがまましたい放題の愛情文芸映画。

浜辺のキャンプ場でアルバイトをしていた江濤(秦漢)は、サマーキャンプに来ていた丹妮(蕭芳芳)と知り合い、やがて2人は付き合い始めます。
丹妮の誕生日に江濤は彼女の家に招かれ、家族を紹介されますが、丹妮の父(崔福生)の再婚相手を見て彼は驚きます。
それは5年前、兄・江瀾(柯利雄)と娘・小雲の許から姿を消した兄の妻・雲仙(胡燕妮)でした。
雲仙は博打に狂って自分を食い物にする夫に愛想をつかし、幼い娘を置いて失踪しましたが、片時も娘のことを忘れたことはありませんでした。
この思わぬ再会以来、江濤と雲仙は連絡を取り合うようになります。
しかし、雲仙のことを快く思わない丹妮は、江濤が好きなのは自分ではなく雲仙なのではないかと、あらぬ疑いを抱き始めるのでした・・・・。

先だっての『怪談おとし穴』の渚まゆみもうっとうしかったけど、今回の蕭芳芳もそれとはまた違った意味でうっとうしかったっす。
母親が精神病院で亡くなったという過去から、自分もいつか精神に異常をきたしてしまうのではないかと怯えるあまり、秦漢にどうでもいいイチャモンつけて八つ当たりしてみたり、若い再婚相手のせいで父親の愛情を独占できなくなったという嫉妬心からテレママをいびり倒したりと、「どーするどーなる蕭芳芳」状態。
特に、秦漢とテレママが密会しているレストランをどうやって尾行したのか探し当て、その入口に佇んで2人をうらめしげにじーっと見つめている姿は、まんまストーカーのようでおました。
ま、李行監督だからこの程度の演出で済んでいるので、これがもしも白景瑞監督だったら、さらに過激な演出になっていたことでありましょう。

最終的には誤解も解け、映画はハッピーエンドで終わるんですけど、かわいそうなのは崔福生。
テレママはどう見ても改心しているとは思えない柯俊雄と復縁しちゃうし、愛娘は俊雄の弟に取られるしで、どこまでも淋しいお父さんなのでありました。

柯俊雄は、カード賭博に狂うろくでなしの亭主という『再見阿郎』系の役どころ。
まさにはまり役ですねえ(おいおい)。
いかさま賭博を巡るいざこざで右手を傷つけられ、そのためカードを捌けなくなって博打から足を洗うことになるんですが、先にも述べた通り、悔い改めて博打をやめたようには到底見えないので、観客としてはただ「よかったねえ。台湾に競馬や競輪や競艇やオートレースがなくて」と思うしかありませんでしたわ。

とまあ、映画の内容はこんな感じでおましたが(ほんとか?)、なにゆえにこの映画のDVDを購入したかといえば、それはもちろん、

主題歌が好きだから。

このジャケット、どーよ!

とりあえず、テレサの歌は堪能できました。

ちなみに、蕭芳芳は本作で「西班牙第五屆國際海洋影展」の主演女優賞を受賞しているそうですが、これって、どういう映画賞なんでしょうか?

付記:以前、台湾の友人に「台湾でも競馬やればいいんじゃない?」と話したら、「駄目だよ!そんなことしたら、みんな働かなくなっちゃうよ!」と真顔で言われたことがあります。ほんとに働かなくなるんだろうか・・・・。

2006年8月4日金曜日

薬師寺で楊惠姍に出会う

〔たび〕


天邪鬼になりたい。

極秘ミッションの報告です(他言したら極秘になんないんだけど)。

えー、今回、1泊することができたので、かねてからの懸案であった

楊惠姍(珊)が薬師寺に寄進したという薬師如来像

を探すため、20ウン年ぶりに西ノ京を訪れました。


楊惠姍と言えばやっぱりこれね。



こんなのもあるけど。

京都から西ノ京へは、近鉄電車に乗って約1時間。
駅を降りるとすぐに薬師寺でおます。

情報によると、楊惠姍入魂の作であるところの薬師如来像はお写経道場にあるらしいのですが、まずは薬師寺名物(?)白鳳伽藍を見学してから、ということで、拝観料を支払って伽藍を参観。


白鳳伽藍の回廊。

それにしても、暑いわ・・・・。

汗を拭き拭き伽藍見学を終えたわたくしは、いよいよ目的地であるお写経道場に突入。
申込用紙に記入してから納経料2000円(「般若心経」)と共に受付に差し出し、

あのー、初めてなんですけど。

とおずおず告げると、係りの人が親切にお作法を教えてくれました(実を言うと、写経をするのは初めてではなかったんですが、ここでのそれは初めてだったもんで)。

お作法指導を受けた後、写経をするための広間に足を踏み入れ、「まずこれを跨いで下さい」と言われた香象を跨いでから着席、静かに墨を磨ります。

と、前方に光り輝く仏像が。

おお、これこそが、楊惠姍作の薬師如来像ではないの!

あまりにもすんなりとうまくいった出会いにはやる気持ちを抑えつつ、小1時間ほどかけて「般若心経」を写しました。
写し終えてから、卓上にあった経本を広げて「般若心経」を念じた後、写経用紙を件の薬師如来像の前にお供えして、礼拝。
今日の出会いに感謝して、その場を辞しました。

以上で、極秘ミッションはつつがなく終了。

当たり前のことながら、写真撮影するような場所ではないので写真はありませんが、拝んでみたいなあという方はぜひぜひ写経をなさってみて下さい。

写経って、なかなかいいもんですよ。

付記:帰宅して2日後、薬師寺から葉書が届きました。葉書持参で1年以内に再訪すると拝観料が無料なんだそうな。何より、せんきちは写経の効用に目覚めつつあるので、今度は薬師寺東京別院に行こうかと思っとるところ。煩悩則菩提。


田んぼと近鉄電車。
このクソ暑い中、ぶらぶら歩いている
物好きはせんきちただ1人でおました。

2006年8月2日水曜日

昼下りのメロドラマ

〔ちょっとお耳に〕

杜琪峰の靴映画

京都から帰ってきました。
新幹線で品川駅に降り立ち、あまりの涼しさにびっくり。

寒いよ。

京都行きの前にレントゲンを撮ってもらおうという目論みが失敗に終わったため(「投薬しながら様子を見ましょう」と言われちまった)、痛み止めを飲みながらヒミツ会議に出席、どうにか日程をこなしたことでありました。
今回は1泊できたので、奈良へ足を伸ばして極秘ミッション(大げさな)も達成できたのですが、それはまた後ほど改めてお知らせすることにいたします。

で。

昨日は縁あって『靴に恋する人魚(人魚朵朵)』の試写に潜入してまいりました。
可愛らしい映画でおました。
靴だらけの部屋には、思わずイメルダ夫人を思い出してしまいましたけれど。

さて。

今日はちょっとばかり上映情報を。

8月26日(土)から10月1日(日)までの土日、川崎市市民ミュージアムで開催される

昼下りのメロドラマ

なる特集において、グラマー女優・泉京子の主演作「禁男の砂」シリーズが上映されます。
日程は下記の通り。

9月9日(土) 13:30~  『海人舟より 禁男の砂』(男人禁地)
9月9日(土) 16:00~  『続 禁男の砂』(男人禁地 續集)
9月10日(日) 13:30~  『続々 禁男の砂 赤いパンツ』(紅衭子)
9月10日(日) 16:00~  『禁男の砂 第四部 真夏の情事』

以前も取り上げた通り、このシリーズ(第4部〔小山明子主演〕は除く←たぶん)は日本のみならず香港の殿方にも当時大変な人気を博しておりまして(カッコ内は中文タイトル)、1960年には泉京子自身が来港、

日本のマリリン・モンロー

という大げさすぎる称号を頂戴しております。

ちなみに、泉京子は香港のみならず台湾においても歌舞団の一員として公演に参加したり、合作映画(『海女の怪真珠』)に出演したり、いろいろご活躍なさっておられます。
1960年代、台湾語映画において海女映画が流行するのも、おそらくは彼女や前田通子の主演映画の影響によるものでしょう。

東アジア裏芸能交流史を辿る映画として、興味のある方はぜひご覧になってみて下さい。