2009年11月6日金曜日

最近観た映画のことなど (その1)

〔しようもない日常〕〔えいが〕


どうも。
トド@若年性更年期障害かしら?です。

さて、大した本数は観ていないのですけれど、いちおう東京国際映画祭とNHKアジア・フィルム・フェスティバルのメモ。
書けた順から適当にうpしやす。

『玄海灘は知っている(玄海灘은 알고 있다)』
1961年、韓国。金綺泳(キム・ギヨン、김기영)監督。金雲夏(キム・ウナ、김운하)、孔美都里(コン・ミドリ、공미도리)主演。

昭和19年の名古屋を舞台にして、朝鮮人学徒兵・阿魯雲(アロウン、아로운)(金雲夏)と日本人女性・秀子(孔美都里。在日の女優さんだそうです)の恋を軸に、日本軍の非人道性を暴いていく作品。
原作は、今年8月に亡くなった韓雲史(ハン・ウンサ、한운사)による同名の自伝的小説(注)・・・ってことは、


これも史実なんですかー?
(ボクは死にましぇーん!)

(注)こちらこちらのサイトによれば、この作品はまず1960年にラジオドラマ(KBS)として発表された後、1961年に小説&映画化、さらに1968年にはテレビドラマ化(KBS)された模様。
主人公の名前である「阿魯雲(アロウン)」の「阿」は魯迅の『阿Q正傳』の「阿」、「魯」は魯迅の「魯」、「雲」は韓雲史の「雲」を取ったもので、"alone"の意味も掛けてあるとの由(『玄海灘は知っている』〔日本語版〕の訳者解説及びこちらのサイトによる)。
また、こちらのコラムによると、韓雲史は阿魯雲同様「1943年末、朝鮮人学徒志願兵壮行会の席上、来賓の小磯国昭・朝鮮総督に向かって「閣下はわれらが出征の後、朝鮮2500万人の将来を確実に保証し得るや、返答を乞います!」と質問し、会場からつまみ出された」経験があるそうです。

追記:日本語版の解説によれば、小説『玄海灘は知っている』は「阿魯雲伝」の第1部で、第2部『玄海灘は語らず』(1961年)、第3部『勝者と敗者』(1963年)の計3部からなるとのことで、第1部の『玄海灘は知っている』は阿魯雲が軍を脱走して秀子と共に逃走、彦根を目指すところで終わります。
したがって、第2部である『玄海灘は語らず』も映画の原作と考えるのが妥当でしょう。←と、いったんは書きますたが、今日到着した『玄海灘は語らず』にざっと目を通したところ、映画とは異なるストーリーになっていました。てなわけで、読了後に改めて詳しく取り上げてみたいと考えております。

朝鮮人と日本人がどう違うのか(どこの違いだよ)を確かめるため、「日本では客がくると女性が背中を流す習慣がある」と偽って阿魯雲が入浴中の浴室に侵入する秀子の間違った積極性や、秀子の妊娠を知った秀子の母ちゃんが、阿魯雲に向かって「(軍隊を脱走して)2人で逃げろ!」と堂々の非国民発言を行う件等々、日本人女性の逞しさ(?)を改めて認識した次第(おいおい)。
終盤の名古屋大空襲~群集雪崩込みの執拗な迫力も見もの。
せんきち的には今年の東京国際映画祭最大のヒット!ですた。

DVD出ないかなあ。

原作は1992年に日本語版が出ています。
また、1993年には第2部及び第3部の日本語版も出ております。
(『玄海灘は語らず』に『勝者と敗者』も収録)


『龍虎豹シリーズ/第6集(龍虎豹:第六集)』
1976年、香港。許鞍華監督。李欣頤、江毅、石修主演。

「アジアの風」の小特集「アン・ホイ南無&禅」、じゃなくて、「アン・ホイNow&Then」の一。
初期のテレビ作品です(TVB)。

別題:『許鞍華の「林檎殺人事件」』。
「どーするどーなる?続きはまた来週!」状態のまま、唐突に終了するサスペンス。
『藪の中』系のお話なので、これでいいのかとは思うけれど、それにしても、あの女、誰よ?

『北斗星シリーズ/アー・ツェ(北斗星:阿詩)』
1976年、香港。許鞍華監督。黄杏秀、伍衛國、呉孟達、劉松仁主演。

同上(TVB)。

大陸からマカオの親戚を頼って密入国した14歳の少女・阿詩が、どこまでも転落していく姿を描いています。

売春で金を稼ぐことを覚えてしまった阿詩がまじめに働く気になれず、恋人の両親が住む家を出てまたしても娼婦となる姿が生々しいっす。
父親のわからない子供を産み落としたばかりか、その養育を別人に押し付けた阿詩が行方知れずになったまま物語は終わり、彼女がこれからも行くあてのない人生を辿るであろう事が暗示されています。

呉孟達がまるで別人だったのも、違った意味で生々しかったっす。

『獅子山下シリーズ/ベトナムから来た少年(獅子山下:來客)』
1978年、香港。曾泉盛、李國松、張堅庭、方育平主演。

同上(香港電台)。

ベトナムから香港へ密航してきた少年と、彼を取り巻く人々の物語。
後の『獣たちの熱い夜(胡越的故事)』や『望郷 ボートピープル(投奔怒海)』のルーツとも言える作品ですが、従兄が殺され、兄貴分がマカオに強制送還されて1人ぼっちになってしまった少年は、これからどこへ行くのでせう。

ストーリーとは全然かんけーないけど、廟街を散策する場面で少年と従兄(だったよね?すでに記憶があやふや)が仲良く腕を組んでいるのがけっこー気になりますた。
女同士のそれは今も日常茶飯事ですが、当時は男同士でもそうだったのでせうか。
何しろ、「盧泰愚と全斗煥」以来だったもので…。

『獅子山下シリーズ/橋(獅子山下:橋)』
1978年、香港。許鞍華監督。ティム・ウィルソン(Tim Wilson)、 施南生、黄新、黄莎莉、張瑛主演。

バラック群と公共住宅の間に横たわる龍翔道。そこにかかる歩道橋の撤去工事が突如始まったことから起こる騒動を、イギリス人記者の視点から描いています。
記者が自らのラジオ番組の中で政庁批判を繰り広げるが、香港電台でこういうドラマがOKだったのは意外。
とはいえ、最後に記者は夢破れて香港を後にするので、結果は痛み分けということでしょうか。

どーでもいーけど、高志森って年を取らない顔なのね。

『獅子山下シリーズ/路(獅子山下:路)』
1978年、香港。許鞍華監督。黄淑儀、黄曼、鄭裕玲、陳玉蓮主演。

同上(香港電台)。

麻薬中毒の女性たちの群像。
元朗に住む母子、舞庁で働く女性の2つの事例が同時進行で進みます。
どうにも救いようのない『阿詩』に比べると、こちらのオチはやや安易な印象ですたが、中身より何より、すっぴん眉毛なしの鄭裕玲が一番怖かったっす。

とりあえず、今日はここまで!
この人、尤敏とも共演してるんだよなあ。

0 件のコメント:

コメントを投稿