2005年3月21日月曜日

中華電影戯劇海報精選

〔ほん〕



洪述棠編。2003年3月、中華民國電影戯劇協會。

1950年代~2001年までの台湾映画ポスター集。
といっても、この団体(中華民國電影戯劇協會)の性格が「促進三民主義文化建設、完成反共複國大業」という国民党の政策に乗っ取ったものであるため、いきおい官製映画会社、特に中央電影のポスターが中心になっており、台湾語映画のポスターはほとんど収載されておりません。
そんなわけで、巻頭を飾るポスターは1962年の大映&中影による日台合作映画『秦始皇帝(秦始皇)』、以下、『海辺の女たち(蚵女)』『あひるを飼う家(養家人家)』と続きます。

しかし、不思議なのは侯孝賢作品のポスターが、『童年往事 時の流れ(童年往事)』と『恋恋風塵(戀戀風塵)』の他は、『冬冬の夏休み(冬冬的假期)』の日本版ポスターしか掲載されていないこと(『坊やの人形(兒子的大玩偶)』もあったけど、あれはオムニバスですし)。
それに、『金門島にかける橋(海灣風雲)』のポスターもないですね。どんなポスターだったのか、興味があるのだけれど。
李翰祥作品のポスターが見られないのも、なんとも惜しいところです。

加えて、香港のこの種の本においてはポスターに精緻な解説が添えられて、(ポスターの)画像を見、(解説の)文章を読みながら、映画史のお勉強ができるのに対して、こちらはただ年代順にポスターを並べてあるだけなので、画像はきれいですが内容的には物足りなさが残ります。
さらに中央電影以外の作品になると、1962年の『呉鳳』(台湾電影製片廠。香港・日本から主要スタッフ・キャストを招いて製作されたカラー作品。カメラを山中晋、照明を関川次郎が担当しています。VIVA!新東宝!)が1968年になっていたり、1981年の『頑皮偵探三遊龍』が1964年になっていたりと、映画史のお勉強どころか足を引っ張るような誤記が目立ちました。

が、そうは言っても、これだけのポスターを集めた本は貴重だと思いますし、これを見ると日本では本当にごく一部の台湾映画しか紹介されてこなかったことがよくわかります。

もっともっと、娯楽映画が観たいものですねえ。

付記:収載作品の内、『蛇魔女大鬧都市』って映画がすっごく気になったんですが、どんな映画なんでしょう?蒋光超や田豐が出ています。

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