2006年1月11日水曜日

虎の尾を踏む女たち

〔えいが〕


遅ればせながら、『SAYURI』、観てまいりました。

考証が無茶苦茶なのはあらかじめ了解しておりましたので、都の町並みが麗江みたいだったことや、なぜか「六段」の三曲合奏が流れる中、牛鍋屋の入れ込みの座敷みたいなスペースで繰り広げられる宴会シーンもさして苦にはなりませんでした。
鳥居をくぐってお参りすると鐘の音が「ゴーン」と鳴る大間違いも(だってお寺で撮ってるんだもん)、ま、神仏習合ということで。

ただ、相撲のシーンはいただけませんな。
舞の海には申し訳ないけど、ああまともに引いちゃあ、本物の相撲(あれが偽物というわけではないけど)だったらすぐに押し込まれて負けですよ。
せっかく三十代庄之助も呼んだのにね。

一番ウケたのが、さゆりちゃんが一躍脚光を浴びることになる都おどりならぬ華おどり(こんなような名前だったはず。ポスターの字読んだけど)の件。
当方、写真と予告だけ観て、あれは

なんちゃって鷺娘

なのだと思っていたところ、聴こえてきた三味線の旋律は

勧進帳」の「滝流しの合方」

おいおい、

なんちゃって弁慶

かい。

ストーリー的には陳腐なシンデレラ物語で、ヒロインのさゆりにも何の魅力も感じませんでしたが、工藤夕貴が思いのほかよかったので、彼女目当てに観てましたわ。
桃井さんは、屋形(置屋)のおかあさんというよりは女郎屋の遣り手婆だったものの、これはこれでまあよいのではないかと。

以前はさんざん貶していたくせに、今じゃやけに寛容なせんきちですが(でも、決して褒めてるわけじゃないよん)、この映画を観て「京都の花柳界って、あんな風にいけずな人たちの集合体なのかしらん」と思った方は、下記の本などお読みになるとよいでしょう。

京都 舞妓と芸妓の奥座敷

お茶屋遊びを知っといやすか

「祇園」うちあけ話―お茶屋のこと、お客様のこと、しきたりのこと


ではでは。これにて退散。

(於:丸の内プラゼール)

追記:タイトル変えました。黒沢ファンには怒られるかも知れんが。(1月12日)

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