2007年6月27日水曜日

ハムの人

〔ちょっとお耳に〕

ご存知、『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』のUS盤DVD。
香港のHMVでも扱っていました。
これもあったし、これまであったよ。感激!

こんにちわ。
現実逃避して、香港へ行っていました。
連日かんかん照りの快晴で、すっかり生ハム色に日焼けしてしまいました。
6年ぶりに澳門にも行きましたが、その話はおいおい。

で、以下は全くかんけーのない情報。

早いものでもうすぐ石井輝男監督の3回忌ですが、新文芸坐でオールナイト上映があります。

7月28日(土)
「三回忌追悼 華麗なる異端 石井輝男(第一夜)」
上映作品:『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』『直撃地獄拳 大逆転』『ポルノ時代劇 忘八武士道』『明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史』
8月4日(土)
「三回忌追悼 華麗なる異端 石井輝男(第二夜)」
上映作品:『徳川いれずみ師 責め地獄』『徳川女系図』『徳川女刑罰史』『残酷・異常・虐待物語 元禄女系図』

時間はいずれも22時30分から。一般2200円、友の会会員及び前売は2000円。

我らが(?)橘ますみたん主演作品は第二夜に3本(『徳川いれずみ師 責め地獄』『徳川女刑罰史』『残酷・異常・虐待物語 元禄女系図』)上映されますが、『温泉あんま芸者』が観たかったなあ、個人的には。


チケットぴあでも前売券を扱うようになりましたので、ご希望の方はお早めにどうぞ(Pコード:553-081〔第一夜〕、553-082〔第二夜〕)。

2007年6月18日月曜日

今天不回家 (Accidental Trio)

〔えいが〕

帰ろかな、帰るのよそうかな。

1969年、台湾(大衆)。白景瑞監督。甄珍、武家麒、鈕方雨主演。

週1どころか、月1ブログに成り果てそうな最近の拙ブログですが、皆様いかがお過ごしですか?
月の下旬になったら少しは落ち着くかと思っていたところ、自らオカマを掘る、もとい、墓穴を掘るような出来事が頻発、相変らず野暮用に追われております。
来月にはなんとか一段落着くと・・・・よいのですが。

と、まあ、そんな毎日ではありますが、昨日の學友さんのコンサートには行ってまいりました。

いやあ、堪能いたしました。
『祝福』も大声で合唱しましたし。

不詳せんきちは學友迷のお友達数人と1階中央の辺りにおったのですが、最前列で鑑賞していた別のお友達に拠れば、厳しい警備網を突破して後方から押し寄せてきた掟破りの内地の皆さんのおかげで圧死寸前だったそうです。

危ないから、ルールは守りましょうね。

ということで、本題。
またまた感想文をサクッと。

白景瑞監督の代表作の一。
DVD本体にある英文タイトルは"Not Coming Home Today"になっていましたが、本編中の英文タイトルは"Accidental Trio"とあったので、そちらを採用いたしました。

台北市内の同じマンションの異なるフロアーに住む3つの家族に巻き起こるそれぞれの事件(過剰に束縛する父親に反発して家出した娘、高雄出張と偽って女性と密会していた夫の不貞を疑う若妻、家庭生活に疲れて帰宅恐怖症に陥る夫)が同時進行、帰りたいけど帰れない人々がようやく我が家に帰り着いて大団円を迎えるというお話で、同一地点から3つの異なる物語が展開するというパターンは白監督のこの後の作品である『家在台北』でも用いられていますが、こちらの方が数段よい仕上がりになっているとわたくしは思いました。
が、現実には『家在台北』が多くの賞を受賞したのに対して、こちらは同名主題歌が道徳破壊の象徴として放送禁止になったりと、けっこう不幸な扱いを受けていた模様。
せんきち的には白監督作品中『再見阿郎』の次に出来がいいと思っただけに(弟にぞっこん命!の兄貴が怖い『大輪廻』3話もけっこう好きなんだけど)、当時の台湾映画界、特に国語映画界がいかに政治と深く結びついていたかがよくわかる現象と言えなくもないわね。

3つのエピソードの内、メインはやっぱり甄珍演じる家出娘のアバンチュール(死語)でしたが、せんきちとしてはダメおやじを地で行く韓甦演じるうだつの上がらないサラリーマンが女に騙される話の方が切実でありました。

甄珍は雷鳴演じるプレイボーイの記者(友人役で柯俊雄もちょっこし出演)から高いドレスをプレゼントされ、急遽それに着替えますが、ドレスがノースリーブだったのに気付いて、

しまった!昨夜腋毛剃るの忘れちゃったわ!

などと慌てない辺り、よほどお家の躾がいいのでありましょうね。

あたしなら慌てるけどさ。

(つい腋毛咄になってしまったところで、本日終了)

2007年6月3日日曜日

珊珊 (Susanna)

〔えいが〕

ゴーマンお嬢様、『青春舞曲』を歌うの図。

1967年、香港(邵氏)。何夢華監督。李菁、張仲文、關山、張燕主演。

すっかり「週一ブログ」と化していますが、ここんとこ本業&私生活の方が立て込んでまして、一段落ついたらもう少し更新の頻度を上げたいと思っております。すんません。

さて。

昨日の鄧麗君ドラマ
せんきち自身はドラマの内容に関しては大した期待もしていなかったので(有田さんの原作自体、台湾の民主化&本土化がテレサに及ぼした影響について全く言及がない点に不満があります)どうということもないのですが、亡くなって10年以上の歳月が流れても未だに日本の人々にこんなにも愛されている台湾の歌手がいたという事実だけでいいのではないかなあと、そう思っておりますです。
しかしながら、中華圏の皆様の見方はそれとは全く別なものでありましょう。
ということで、気になる台湾の視聴者の反応はこちらをご参照下さい。
案の定(?)、「国民党VS民進党」にまで話題はヒートアップしております。

ちなみに、『わたしの家は山の向こう(家在山那邊、我的家在山的那一邊)』を最初に歌ったのは、『2046』で王菲の父親を演じていた王琛
『2046』での王琛の役どころが「ハルピンから逃げてきた元テノール歌手」だったのは、彼の歌手としてのキャリアを踏まえた設定だったのであります。

いよいよ本題。
少し前に観た映画の感想をさくっと。

幼い頃からわがまま放題、やりたい放題で育った超ゴーマンお嬢様(母親の再婚相手の娘〔義理の姉にしてクラスメート〕をイビり倒し、果てはボーイフレンドまで掠奪)が不治の病に侵されてにわかに改心、家族仲よく暮らすように力を尽くしてこの世を去っていくという、

いがみの権太女子高生版

なお話に『紅楼夢』と『最後の一葉』を無理やりぶちこんだ、突っ込みどころ満載の作品でおます。

謎の頭痛に襲われて路上で昏倒したヒロイン・珊珊(李菁)。
が、何とそこはお医者さんの自宅の前。
ちょうど玄関先へ出てきたお医者さんに運良く発見されて手当てを受ける・・・・って、

狙いすましたように倒れるんじゃないよー!

治療の甲斐あって意識を取り戻した珊珊。
「後で父にお金を持ってきてもらいます」とお医者さんに言うと(医療費が高いんだね、香港)、「次の診察までに頭痛の原因を調べておきますので、そのときにまとめて頂きますから、今はいいですよ」と答える親切なお医者さん・張先生なのでありました。

しかーし!

検査の結果、頭痛の原因は脳癌(と台詞では言っていましたが〔脳cancer〕、正確には悪性脳腫瘍のことではないかと思われ)だとわかり、その悲しい検査結果について自分の妻と話していた張先生。
と、そこへ、盗み聞きしてしまった珊珊の姿が!
失意の珊珊は姿を消すのでありました・・・・。

倒れた場所は変ですが、ストーリーの展開としては、まあ、ここまではギリギリ許せなくもありません。

でもね。

張先生ったら、珊珊の家族にその結果を知らせないどころか、治療を受けることをすすめもしないんですよ。

つまり、それっきりほったらかし。
医療費も貰わないまま(慾がないのね)。

その後、珊珊は病気のことを家族にひた隠しにしていましたが(義理の姉だけは敏感に察知するも、鈍すぎる両親は病気に気付かないどころか珊珊に辛く当たる←母親なんか、病気の珊珊に往復ビンタ食らわすんだよん!)、やがて最後のときが訪れます。

母親が出産のため入院していた病院で倒れた珊珊。
家族があわてて医者を呼ぶと、そこへ現われたのはなんと張先生!
「娘の病気は?」と尋ねる家族に対し、

「あなたがたはまだ知らなかったのですか」

と答える張先生。

知るわけねーじゃんよー!!!

お前が放置してたんだから!!!


やがて、珊珊は家族に看取られて静かに息を引き取るのでありました。
ここに至ってついに「マレビト」化してしまった感のある珊珊でしたが、その間、張先生はなんらの医療行為も施さず・・・・(強心剤の投与をしただけ)。

なんなんだこりゃー!!!

でもこれで「アジア映画祭最優秀作品賞」受賞だって。

何やってたんだ、永田雅一?

せんきち的には映画の内容よりも(壮絶劇中劇『紅楼夢』も突っ込みどころ満載なんだけど、ここでは省略。興味のある方は観てね!)、

こんなとこや、

こんなとこ、

はたまた、こんなとこや、

こんなとこ、

といった街頭ロケの方が魅力的でありました。

最後にもう一つ。

以前、拙ブログで本作のカメラを担当した日本人スタッフ(氏名不詳)が李菁を怒らせたという話題を取り上げましたが、実際の作品ではカメラは林國翔の名前になっていました。
となると、李菁が「自分がデブに撮られてる」とお怒りになったその試写はラッシュ上映か何かで、その後直ちに日本人スタッフは首になり、代わりに林國翔がカメラを担当したということのようです。

実生活でもわがままでゴーマンだったのね、李菁。

明るい樂聲牌。