2005年5月7日土曜日

但漢章(フレッド・タン)上映会

〔えいが〕

都内某所で本日「台湾のホラー番長?=フレッド・タン上映会」なる、但漢章(フレッド・タン)監督作品の上映会があるという情報をキャッチ、コソーリ潜入してきました。
以下は、そのちょっとしたメモです。

『離魂(Split of the Spirit)』
1987年、台湾(豊年)。但漢章監督。王小鳳、徐淑媛、呉少剛主演。
但監督の長編第2作。
恋人に裏切られ惨殺された女性・慧珠(徐淑媛)の怨霊が、やはり恋人に捨てられて自殺を図るものの未遂に終わった女性舞踏家・盧羚(王小鳳)に乗り移って復讐を行う、というサイコもの(こんなおどろおどろしいタイトルでVCDが!)。
霊幻道士(僵屍先生)』では乗り移る側だった王小鳳(ポーリン・ウォン)が、ここでは徐淑媛(ヴィナ・シュー。お2人とも現在アメリカ在住。徐淑媛は最近では『Jam』に出てましたね、たしか)の怨霊にとことん好かれる役どころでした。
生首ぶっ飛び鮮血ドピュー!や、目力ビームで炎炸裂!、怨霊空中浮遊といったブラボーな描写について、会場で配布された解説では但監督がかつて助監督としてついていた胡金銓(キン・フー)監督(『山中傳奇』『空山霊雨』)の影響を指摘していましたが、本作の製作を担当した羅維(ロー・ウェイ)の半端ホラー『悪魔の生首(心魔)』でも生首&池玲子が楽しげに飛んでいたので、その影響も多少はあったの・・・・かしらん?
共に男に裏切られた過去を持つ女性2人が、あの世とこの世という隔たりを超えて奇妙な絆で結ばれていくところにこの映画の面白さがあると私は思いますが、それはラスト近く、あの世から救い出された盧羚が自分の孤独を改めて痛感する場面で決定的なものになります。
あの世にあっても独り(慧珠)、この世にあっても独り(盧羚)であることを悟った彼女は、いったいどこへ行くのか・・・・。
謎を残したまま映画は終わるのでした。

『怨の館(怨女)』
1988年、台湾(中影)。但漢章監督。夏文汐、徐明、高捷主演。
但監督の遺作となった1本。
1988年の第2回中華民国台湾映画祭及び97~98年の台湾映画祭で上映されましたが、見逃しておりました。
が、いやはや、これはすごい、清朝末から日中戦争の時代まで、江南地方のとある女性(銀娣。夏文汐〔パット・ハー〕)の姿を描いた、張愛玲世界のめくるめく映像化でありましたよ。
銀娣の夫(障害者で阿片中毒。高捷〔ジャック・カオ〕)が、死して後も目に見えない形で残された妻子に影を落としていくところが、なんだかホラーっぽいっす。
息子の嫁は不細工で銀娣に疎まれたあげく肺病を患って死に(夫の姿とどこかダブります)、銀娣と息子は心の隙間を埋めるため、阿片に溺れていくのでした。
終盤、訪ねてきた兄夫婦(元はといえば、この2人が金目当てに銀娣を無理矢理結婚させた)から初恋の人・小劉の消息を聞いた銀娣が、阿片を吸いながら朦朧とした目で虚空を見つめる件が秀逸でした。

もしご存命であったなら、どんな作品を撮っていたことか、本当に惜しまれます。

2 件のコメント:

  1. はじめまして。
    以前から拝読していたのですが、最近見た『怨女』で検索してたどりつきました。
    監督は「ホラー番長」だったんですね……。画面全体にただよう禍々しい雰囲気といい、息子の嫁のキャラ立ちといい、普通の文芸映画にはないものが見受けられたのも納得です。
    花嫁姿の夏文汐が、化粧が濃いせいかときどき美輪さまに見えました。

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  2. 出口さん

    こんにちわ。
    すっかりレスが遅れて申し訳ございません。
    今後ともよろしくお願いいたします。

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