2005年2月12日土曜日

北京のセールスマン

〔ちょっとお耳に〕

劇作家アーサー・ミラー氏死去

「セールスマンの死」などで知られる米国の劇作家アーサー・ミラーさんが、10日午後9時(日本時間11日午前11時)過ぎ、コネティカット州ロックスベリーの自宅で死去した。89歳だった。ニューヨーク・タイムズ紙が助手の話として伝えたところによると、死因はうっ血性心不全だという。ガンなどを患い、自宅で療養していた・・・・

ミラー氏の訃報、日本ではマリリン・モンローとの結婚歴に絡めての報道が目立つようですが、あっしがミラー氏と聞いて真っ先に思い出すのが『北京のセールスマン』という本。
1983年春、北京での『セールスマンの死』上演に際し、ミラー氏自身が中国に渡って演出を行った、その記録です。
このとき主役のウィリー・ローマンを演じたのが、老舎作品で知られる英若誠(2003年没。中国語訳も彼が手がけました)。『ラストエンペラー』にも出ていた話劇の名優です。
この本、1987年に日本語訳が出た際、真っ先に買って読んだのですが、「中国人がアメリカ人を演じる」という外から入ろうとする中国人俳優と、「国籍や民族の違いよりも、まず一個の人間の人生を捉え、そして演じる」という内からの表現を重視するミラー氏との軋轢が、非常に生々しく感じられたのを記憶しています。

今回の訃報に接し、改めて読んでみようと思いました。
ご冥福をお祈りします。

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