1969年、台湾(國聯)。李翰祥監督。歸亞蕾、田野主演。
そろそろ記憶が薄れてきているのですが、李翰祥率いる國聯の代表作であるというだけでなく、台湾映画史に残る名作の1つなので、ちょっこし取り上げておきますです。
ちなみに、昨年の金像奨のさいに選出された「最佳華語片一百部」では、48位にランクインしております。
彰化出身の阿金(歸亞蕾)は、台北で薬屋を営む親戚の家に住み込みで働いていました。
阿金は隣家で小さな食堂を営む老呉(田野)の衣服を洗濯したり、何かと世話を焼くようになります。
互いのことを憎からず思う2人でしたが、お人よしで気が小さい老呉は自分の思いを阿金に打ち明けることが出来ません。
その後、彰化へ里帰りした阿金はそれっきり台北へ戻ることはありませんでした。
ようやく決心のついた老呉は、彰化へ阿金を迎えに行くことにするものの、そんな彼にもたらされたのは、阿金が結婚するという知らせでした。
やがて老呉の店は立ち退きに遭い、彼は別の場所で屋台を始めました。
ある冬の夜、赤ん坊を抱いた若い女性が麺を食べに老呉の屋台を訪れます。
それは、夫を亡くした阿金でした・・・・。
李翰祥監督というと、歴史大作や黄梅調映画、あるいは「風月片」と呼ばれたエロチックな作品群が日本では知られていますが、こういう市井の人々の哀感を描いた作品も撮っており、その代表作が本作と『裏門(後門)』です。
老呉と阿金の主人公2人が、徐々に互いの距離を縮めてゆき、ついにささやかな幸せを掴むまで、物語は静かに進行します。
台北へ子連れで舞い戻ってきた阿金が家政婦として働くため、仕事の間は老呉が親代わりとなって面倒を見ることになるという顛末等、老呉の人のよさにはいささか度を越したものがあると感ぜざるを得ないものの、ラストではタイトル通りの暖かい気持ちにさせられる作品でした。
特に、無学で粗野だけれど心優しい老呉を演じた田野がよかったです。
ところで、最近台湾では中影を始めとする旧作のDVDリリースが盛んですが、國聯や台製作品は未だその範疇には入っていないようです。
権利関係がどうなっているのか、そのあたりはよくわからないのですけれど、國聯の他作品も観てみたいものです。
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