1976年、東映京都。牧口雄二監督。内村レナ、汐路章、川谷拓三、橘麻紀主演。
タイトルは「女刑罰絵巻」ですが、2話から成る作品の内、第2話は拓ボンの「あるバカ男の一生」という、やや看板に偽りありな映画。
メガホンをとるのは、石井輝男監督の『徳川女刑罰史』で助監督を勤めたさい、拷問シーンのあまりのおぞましさに撮影現場からフケたという牧口雄二監督。
第1話はタイトルにもある「牛裂き」がメインの悲恋物語・・・・なんですけど、なにしろオムニバスなもんでストーリーは急ピッチで進行、それゆえ悲劇性は今ひとつ希薄でして、後に残るのは汐路章のやりたい放題ぶりと臓物ばかりでおました。
それこそ最初から最後まで拷問オンパレードでしたが、映画に出てくるような隠れキリシタンを磔にして火あぶりにするという処刑方法は、見せしめとしてはむしろ逆効果だったというのを、以前坂口安吾のエッセイで読んだことがあります。
なぜかというと、転ぶどころか神への感謝の気持ちを述べながら祈りを捧げつつ死んでいくので(本作でもそんな感じでしたね)、見物人はその姿に感動、キリシタンに改宗する者がむしろ増えちゃったんだとか。
だから、当局は何とかしてぶざまな姿で死ぬ方法はないものかと、一所懸命になって考えたのだそうな。
それから、イモリは焼いてから食べた方がいいと思うよ。
第2話は、拓ボンワンマンショー。
行きずりの酔っ払いに、
切れるかな~。
とか言われながら竹の鋸で首を切られちゃう展開には、悲惨というよりもなんだかおかしみすら漂います(それでいて切ないんだけど)。
お話としては、こっちの方がずっといいような。
貞操観念ゼロの淫乱娘・橘麻紀もよかったっす。
妊娠したばっかりにさんざんな目に遭う女郎役で、ちょっぴり好きな城恵美も出てたし。
ところで、拓ボンの鋸引きというと思い出すのがNHK大河ドラマ『黄金の日々』。
当時、『TVガイド』だったか『グラフNHK』だったかのカラーグラビア(見開き)に、
鋸引きにされる拓ボン
の写真が載っていて、それがすっごく怖かった記憶があります。
日曜午後8時の高視聴率番組で鋸引きなんて、今じゃ無理でしょうね、たぶん。
(於:シネマヴェーラ渋谷)
ご無沙汰しております。
返信削除さて、大河ドラマ大好き小僧だった私なので、陶然「黄金の日々」も見ております。信長を狙撃して捕まった杉谷專住坊(こんな字でしたっけ?)が街道沿いに首だけ出して埋められて、通行人は竹鋸で少しづつ首を切るという設定だったと思います。
結局、仲間の李礼仙がこれ以上苦しまぬようにと一息に、という結末でしたが、見ていてなんともむずむずするような落ち着かない場面でした。
思えば拓ボンもホントにいろんな死に方をしてきましたね。一番印象に深いのは、やはり「仁義なき戦い」での、ロープでくくられてモーターボートで海の中を引きずりまわされたあげく、樹から吊るされて射撃練習の的になるというやつ(あれ?的が先だったっけ?)。もうあんな役者さんは出てこないかもしれませんね。
書いてから思い出しました。「專住坊」じゃなくて「善住坊」でした。
返信削除COMOさん
返信削除ごぶさたしております。
そうそう、通行人が首を切っていくという仕掛でしたね。
拓ボンといえば、ボコボコにされる演技(本気?)も名物。
この映画でボコボコにされる拓ボンを観ながら、『県警対組織暴力』でやられ放題になってる拓ボンを思い出していました。