1965年、台湾(國聯)。張曾澤監督。汪玲、楊群、朱牧、李湄主演。
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
足は治りませんが、そこそこ元気に生きております。
ささやかですが、新年のプレゼントをどうぞ。
さて、新年1発目は暮れから持ち越しになっていた國聯作品。
瓊瑤作品の映画化です。
例によって、超大ざっぱなストーリーは下記の通り。
高雄に住む少女・憶湄(汪玲)は、母の死後、その遺言に従って台北に住む羅教授(朱牧)の家に引き取られます。
羅教授には精神に異常をきたした夫人(李湄)と2人の子供がいました。
羅教授の家に下宿する教授の教え子・中枬(楊群)は彼女の家庭教師となり、2人はやがて恋に落ちるのでした。
しかし、羅教授の息子・皓皓(劉維斌)は憶湄を愛しており、また、教授の娘である皚皚(艾黎)も中枬のことを慕っていました。
皓皓は自分と憶湄が交際することを固く禁じる父親に対し、教授こそ憶湄のことを愛しているのだと父を詰りますが、中枬は憶湄の実の父親は教授なのではないかと疑い始めるのでした・・・・。
『婉君表妹』『唖女情深』『煙雨濛濛』と共に、瓊瑤小説の映画化の最初期の作品の1つです。
タイトルの「菟絲花」とは寄生植物である「ネナシカズラの花」のことで、男性に頼らなければ生きていけないか弱い女性、ここでは特に羅夫人のことを暗示しています。
脚本は、皓皓を演じた劉維斌(昨年亡くなりました)が執筆しています。
「美しい孤児が引き取られてきたことによって起こる、ある家族の悲劇」というパターンは、『婉君表妹』とほぼ同じですが、ラストに明かされる羅家の血の秘密はというと・・・・(以下、完全にネタバレ)。
1938年、裕福な資産家の息子だった羅教授(当時は教授じゃないけどさ)は、大学を卒業後、地質学の研究のために赴いた貴州省の湄潭(当然ながら〔?〕外省人のお話)で美しい女性と巡り合い結婚します。
2人の間には皓皓という男の子が生まれますが、羅教授は妻が妹のように可愛がっていた娘とも関係を結び、やがて彼女も教授の子を身ごもるのでした。
教授は正直に全てを話せば妻も許してくれると思い妻に打ち明けるものの、妻は夫の子を身ごもった娘のことを激しく詰り、それが原因で娘は精神に異常をきたしてしまいます。
その後、娘は女の子を出産、皚皚と名付けられます。
一方、教授のもとを去った妻も女の子を生みますが、その子こそ憶湄であり、つまり皓皓と憶湄は実の兄妹だったのでした。
国共内戦の中で台湾へ渡った羅教授は、ある日、住所の書かれていない1通の手紙を受け取ります。
それはかつての妻からのものでした(どうやって住所を調べたんだか)。
妻も台湾にいることを知った教授はその行方を捜し求めますが、果たせずにいた時、ちょうどそこへ現われたのが我が子・憶湄だったのでした・・・・。
なんのこたーない、よーするに、教授の
さまよえる下半身
が招いた、言ってみれば、
身から出たサビ
なお話なんですけど、
子供はいい迷惑だよ!
それでも、そんなお父ちゃんを最後には許す憶湄の姿を見ていると、女の不義密通はご法度だけれど男のそれは全然OKという、男にとって都合のいいゆるーい倫理観が透けて見えてしまい・・・・なんだかなあ。
だいたい、「正直に話せば妻は許してくれるだろう」って、お前、いくらなんでも
おめでたすぎるよ!
ネタバレついでにもう1つ加えておくと、教授の色ざんげの後、一部始終を盗み聞きしてしまった羅夫人(皚皚のお母さんね)は、菟絲花の絡みついた樹木で首を括って死んじまうのでありました。
憶湄、そんなお父ちゃん許すんじゃないぞ!
ということで、以下は関連情報。
本作の監督は張曾澤ですが、
李翰祥にも、
ストーリーのほとんどが羅家の屋敷の中で展開するかなり閉じたお話なので、高雄や台北が舞台なのにロケ撮影はほとんどなし。
せいぜい高雄の国民学校や駅のホーム、そして
羅教授は台大の先生らしく、お住まいは
でも、邸内のシーンは別の場所で撮っているようでありました。
遅ればせながら明けましておめでとうございます。
返信削除李湄はこの時点で電懋を離れていたようですね。
ところで、こんなものがありました…
「映画学占い」
http://u-maker.com/189361.html
私は「観客・情報分析向き」であるそうな。
あけましておめでとうございます!
返信削除瓊瑤の作品の映画化なんですね。
彼女の作品には、本当によく
さまよえる下半身系の設定が出てきますね。
そういう人たちにはぜひ書初めで
「自業自得」
と書いていただきたい新年!かな?
足のお具合はいかがですか?
吉田さん
返信削除あけましておめでとうございます。
李湄は、「特別出演」の扱いになっていました。
お教えいただいた映画学占い、「ジェンダー論向き」でした。
むいているのでしょうか・・・・?
hoisamさん
あけましておめでとうございます。
瓊瑤作品に出てくる父親は、古きよき(←あくまで男性にとってですが)家父長制の象徴のような人物が多いようですね。
足、少しずつですがよくなりつつあります。
ご心配をおかけして、恐縮です。