2013年3月4日月曜日

『飛天女郎』と『あばずれ』のことなど (その2)

〔えいが〕



色魔な羅烈…なれど、修復版ではなぜか
レイプシーンがカットされています。
邵氏が「夜の青春」シリーズのリメイクを
作っていたら、きっと辰兄イの役をやっていたに
違いないわ!羅烈の『ひも』!


どうも。
トド@これを書いたらまた本業に専念するつもり…です。

ということで、前回の続き。
まずは、『飛天女郎』と『あばずれ』のキャスト比較を。

方盈 → 緑魔子
岳華 → 山本豊三
羅烈 → 待田京介

正直、緑魔子と方盈じゃキャラが違い過ぎ!なんですが、それよりも我慢できないのは『あばずれ』の男性キャスト(そこかい!)。

なんで待田さんが色魔なの!!!

あたしにとって山本豊三は「元松竹の二枚目スター」などではなく、

橘ますみたんを騙して犯して苦界に沈めた性悪男

なのですから!!!(『元禄女系図』参照。あ、でも、その後の『やくざ刑罰史 私刑!』ではますみたんを助けるいい人だったけど)

それはともかく、ヒロインを演じる女優のキャラの違いがそのままオチの違いにも現れているような気がいたします。
ま、邵氏としては、誰がヒロインをやってもハッピーエンドで終わらせるつもりだったのかも知れませんが。

最後に、『飛天女郎』制作にまつわる話題や邵氏における中平康作品のもろもろについて、前掲邱論文に収められたインタビュー記事を基に書いておきます。
以下、てきとーに箇条書きにて。

1、『飛天女郎』の撮影地及びカメラについて
『飛天女郎』のサーカスの場面は、木下サーカスの協力を得て千葉県で撮影が行われ、観客役として千葉大学の学生が動員されたそうです。
撮影にあたっては日活のスタッフが担ぎ出されました(以上、村田啓三インタビューによる)。
なお、市古聖智は「『飛天女郎』のカメラは間宮義雄だった」旨の証言を行っていますが、これは日本での撮影部分を間宮が担当したという意味ではないかと考えられます(それ以外の部分は西本正〔賀蘭正〕が担当)。

2、邵氏は当初、『泥だらけの純情』のリメイクを撮ろうとしていた
…(陳厚が・せんきち注)もう下り坂の頃。あの人の家まで行った記憶があるけど。そうだ、一番最初は中平さんの『泥だらけの純情』をやる予定で行ったんですよ。陳厚と鄭佩佩かなあ。誰かでやる予定で行ったんだけど、なぜか『特警009』に変わったんです。
…陳厚はあの役をやる時、もう30ぐらいになってたんじゃないかな、しきりに照れてて。それで衣装合わせまでやったの。なんで流れたか、記憶にない(以上、市古聖智インタビューより)。

3、『狂戀詩』と『獵人』の脚本は加藤彰監督が書いた
…中平さんは先に香港に行って、アクション映画なんか撮ったでしょう。日本に帰ってきて、また香港に行きたいんだけど、2本書いてくれって。1本は『狂った果実』、1本は『猟人日記』、向こうに合わせるような感じで書いてくれって。
…人物の名前はぜんぶ中国名にして、設定もぜんぶ変えてね。
…基本的には勝手に書いたの。後は監督に勝手にやってくれと。たぶん日本版より、香港版のほうがきちんとしてると思う。
…日本版(『猟人日記』・せんきち注)は難しいから、香港版の時は、サスペンスとか、娯楽的なことをかなり意識的に書いたね。
…(『狂戀詩』と『獵人』のタイトルを付けたのは・せんきち注)僕です。香港に合わせてね。
…これ(『『狂戀詩』と『獵人』・せんきち注)はやはり海賊版ですよね。日活にも断っていないし、(『猟人日記』の・せんきち注)原作者の戸川さんにも断っていないし。戸川さんに電話ぐらい、監督からしたかもしれないけど(以上、加藤彰インタビューより)。

「もろもろ」と書いた割にはたった3つのネタだけでしたが(情けねえ!)、こんなところで失礼させて頂きます。

(おしまい)

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