2022年3月16日水曜日

遂に日本でも電懋ブームが?

(えいが)(しようもない日常)

〈「はじめに」という名の言い訳〉

下記の記事は、2月はじめに書いたものです。

当ブログ(Blogger)は、スマホでの更新が恐ろしくしにくい設定のため(ハイパーリンクもロクに貼ることができない)、下書きのまま放置しておりました。

その後、楚原監督の訃報もあり、その件も加筆してからと思いながらずるずると時は流れ、気付けば3月半ばになっておりました。

そんなわけで、今回は敢えてそのままアップいたします。

悪しからず、ご了承下さいませ。


↓↓↓ここから↓↓↓


どうも。

いつの間にやら2022年でございます。

おかげさまで、昨年暮れにお知らせした研究会でのおしゃべりも無事に終了いたしました。


さて。


今年初め、国立映画アーカイブで開催された特集上映「香港映画発展史探究」。

前身のフィルムセンター時代も含め、国立映画アーカイブでは初めて(!)の香港映画に関する大規模特集上映でした。

その中で、満を持してというべきか、ようやくというべきか、遂に上映されたのが王天林&葛蘭の最高傑作である『野バラの恋(野玫瑰之戀)』。

これが予想通り(当たり前よねー)大変な好評でして、電懋(國泰。キャセイ・オーガニゼーション)作品に興味を持つ方も増えている模様です。

思えば、不肖せんきちがメインサイト「旅荘  愛のさざなみ」(永遠の未完成サイトw)を立ち上げ、インターネット上で電懋作品の紹介を始めたのが2004年のこと。

それから20年近くの歳月を経て、ようやく時代がオレに追い付いたか!(大げさ)と感慨に耽っております。

まあ、ライバルである邵氏に関しても、日本における享受は新派武侠映画以降の作品が中心で、それ以前の「女優の時代」の作品は殆ど顧みられることがないのも残念なのですが、今回の特集をきっかけに、電懋や邵氏の女優メイン作品が日本でももっともっと見られるようになって欲しいものです。


そういえば、なぜに上映されなかったのかしらん、李麗華様の作品……。


2021年12月27日月曜日

戦後台湾映画に関する研究会

 〔えいが〕〔おしらせ〕〔ちょっとお耳に〕

どうも。

寒いですね。

さて、今日は研究会のお知らせです。


(戦後台湾映画に関する研究会)

日時:2022年1月22日(土)10時〜12時

報告者と報告仮題:

西村正男「音楽研究と映画研究の境界―一年間の台湾滞在で学んだこと」

山崎泉「湯浅浪男と台湾」

司会:三澤真美恵

特にコメンテーターなどは置かず、相互に自由な質疑応答を行う形を想定しています。

時間配分は、ご報告40分、質疑応答15分、休憩5分の予定です。

主催:科研基盤(C)20K12330

参加費:無料

会場:参加申込者に、当日使用するウェブ会議室(Webex)のURLをお送りします。

参加申し込みはGoogleフォームからお願いします。

※Webexの使い方については、こちらのサイトをご参照下さい(アカウントなしで利用する方法)。


それでは皆様、よいお年を!


2021年10月23日土曜日

続 この秋、張美瑤が熱い!

〔えいが〕〔ちょっとお耳に〕

 
張美瑤と藤本真澄。

どうも。
急に寒くなりましたが、皆様お元気ですか?

さて。

先だって惜しくも選に漏れてしまった「台湾語映画国際シンポジウム」、終了後に期間限定で(もう終っちゃったよー)当日の模様を動画配信して下さり、不肖せんきちも貴重なお話を伺うことができました。
その中で、日本大学の三澤真美恵先生が「日本語で読める台湾語映画関連資料」としてこちらのブログを紹介して下さいました。
ただただ「好き」でやってきたことをこのように評価して頂き、本当にありがたいことです。
なにしろ「好き」の二文字だけで続けておりますゆえ(ここ数年ほぼTwitter専従で、こちらは休眠状態でしたが)、台湾語映画だけでなく、尤敏や東映の橘ますみ(ますみたん!)、ディーピカー・パードゥコーン(べっぴんさん!)等々、雑多な情報がてんこ盛りで、シンポジウムがきっかけでいらっしゃった方には何のことやらさっぱりワケがわからんブログかも知れません。
あしからず、ご了承下さいましね。

ところで。 

シンポジウムに続いて、国立フィルムアーカイブ小ホールで行われた台湾語映画の上映プログラム、私はスケジュールの都合で『危険な青春(危險的青春)』しか見に行けず(あ、念のため書いておくと、今回の上映作品は全て既見の作品でした)、張美瑤の『夫の秘密(丈夫的秘密)』をスクリーンで見ることは残念ながら叶いませんでした(台湾で買ってきた円盤もあることだし、よしとしましょう)。

が。

ラピュタ阿佐ヶ谷で上映されていた『バンコックの夜(曼谷之夜)』には、最終日になんとか滑り込みセーフ、7年ぶりの映画館上映を堪能いたしました。
この映画、紛れもなく張美瑤の代表作の一つだと私は強く強く思っているので、今回の台湾語映画上映の返礼として台湾でお礼の上映会を開く、なんていう粋な計らいができないものでしょうか。
おそらく、台湾では公開時以降、上映機会はなかったと思いますし。

そんなわけで、こつこつ台湾語映画やら張美瑤のことやらを取り上げ続けてきた甲斐があったなあと思う今日この頃なのですが、以下に拙ブログにおける張美瑤関連記事のリンクを貼っておきます。
ついでに、旧ブログ(箪笥のへそくり)収載の感想文もどうぞ!(今読むと「青いなあ」と赤面ものなのですけれど) 
ご笑覧下されば、幸いです。


まぜるなきけん: バンコックの夜 (曼谷之夜)

まぜるなきけん: 香港の白い薔薇 (香港白薔薇)

まぜるなきけん: 鬼屋麗人 (The Enchanting Ghost)

まぜるなきけん: 鄧麗君もの2種

まぜるなきけん: 美瑤と菲菲

まぜるなきけん: 橋 (Bridge)

まぜるなきけん: やっぱり、やめちゃいました

まぜるなきけん: もしもし

まぜるなきけん: 『香港の白い薔薇』の中のザ・ジャズ・メッセンジャーズ

まぜるなきけん: 寳島玉女、ついに離婚

まぜるなきけん: 寶島玉女よ、永遠に

まぜるなきけん: 寶島玉女よ、永遠に (その2)

まぜるなきけん: 帰ってきた嗚呼、プラパ!(ヨッパライじゃないよw)


落花時節 (Fallen Petals) : 箪笥のへそくり

雷堡風雲 (An Unseen Trigger-Man) : 箪笥のへそくり


おまけ:張美瑤の作品の中でも不肖せんきちが特に好きなのが『再見阿郎』(白景瑞監督)なのですが、残念ながら感想文を書いておらず。しかし、メインサイトに謎の画像集があるので、そちらのリンクも貼っておきます(こちらからどうぞ)。

2021年10月11日月曜日

君は、金玫を見たか?

〔えいが〕〔ちょっとお耳に〕


彼女が金玫だ!

どうも。

いよいよ今週末に迫った「よみがえる台湾語映画の世界」の上映会。
先だって、張美瑤に注目せよ!な記事を書きましたが、実は今回(国際シンポジウム含む)3本の主演映画(『チマキ売り(燒肉粽)』『モーレツ花嫁 気弱な婿さん(三八新娘憨子婿)』『地獄から来た花嫁(地獄新娘)』)が上映される女優さんがいます。

彼女の名は、金玫。

詳しいプロフィールはこちらをご覧頂きたいのですが、実は不肖せんきち、昨年秋に彼女の生涯を追ったドキュメンタリー映画(『金色玫瑰』)を見ることができたので、その折のTwitterのつぶやきをほぼそのまま(誤字等は修正)こちらに転載して、彼女の紹介に代えたいと思います。

『金色玫瑰:金玫的電影人生』(2011年、毛致新監督)

台湾映画史に残る女優の一人・金玫のドキュメンタリー。
新竹出身の客家である彼女が、やがて台湾語映画の大スターになるも、台湾語映画の凋落と共に映画界を離れ……というその生涯を追う。
金玫の死後に製作されたため、残念ながら本人へのインタビューはないが、息子さんや郭南宏監督、林福地監督、黄仁氏等のインタビューと出演作品の映像により、彼女の生涯を辿る構成となっていた。エンドロールで知ったが、呉乙峰がプロデューサーを勤めていた。
シングルマザーの家庭で苦労して育った後、台北へ。
その後雑技団に加入して歌手デビュー後に結婚、子供にも恵まれるが夫の暴力により離婚、映画界に転身後、台湾語映画の売れっ子女優となる。だが、テレビと北京語映画の台頭により、台湾語映画の人気も急降下、彼女は中視に加盟してテレビへと向かう。
しかし、テレビドラマの製作環境に馴染めず、今度は製作者を目指す。
やがて再婚し、一男一女をもうけるものの夫の浮気で喧嘩が絶えず離婚、その後は子育てに専念する。
2000年代に入り、台湾語映画再評価の機運が高まると再び脚光を浴びることとなるが、2008年に末期癌であることが判明。
2009年の元旦、子供たちに看取られて静かに息を引き取った。享年69歳。

やはり台湾語映画の人気女優だった白蘭(『カミカゼ野郎  真昼の決斗』で千葉ちゃんとも共演)が北京語映画に転身したのに対し、なぜ金玫はそうしなかったのかと思っていたら、なるほど、テレビに行ったのですね。
あくまで私個人の好みですが、金玫のノーブルな雰囲気なら北京語映画でも十分いけたと思うので、この選択はちと残念な気がいたします。

あ、うっかり書き漏らしてしまいましたが、林福地監督とのロマンスもあったのでした。但し、林監督に妻子があったため、破局をむかえることになったのですが。
ちなみに、湯浅浪男(湯慕華)監督の『懷念的人』もガンガン引用されておりました。北京語吹替だけど、フィルムが残ってたからねー。(ここまで)


 ちなみに、金玫の出世作である『素蘭小姐要出嫁』(1963年)の同名主題歌は、「アキラのソーラン節」の台湾語カバーです。


それでは皆様、週末をお楽しみに!


おまけ:今回上映される7本(シンポジウム上映分含む)について、Twitterでもいろいろつぶやいているのですが、ややネタバレ気味のツイートもあるゆえ、こちらでは内緒にいたします。気になる方は、Twilogから検索してみて下さい(^―^)

2021年10月1日金曜日

この秋、張美瑤が熱い!

〔えいが〕〔ちょっとお耳に〕

           
君は、張美瑤を見たか?

どうも。 
またまた大変ご無沙汰しております。 
寝た子(休眠ブログ)を起こしにやって参りました。 
 
 さて。 

 こちらのブログでも長年細々と取り上げてきた1950~60年代の台湾語映画が、日本で一気に脚光を浴びる機会がついに到来しました。 
それが、「よみがえる台湾語映画の世界」なる大規模上映。 
しかも、太っ腹なことに無料招待。 
そして、豪華メンバーによる国際シンポジウムまで開催と、至れり尽くせりの企画なのですが、不肖せんきち、残念ながら国際シンポジウムを聴講するべく参加申込を行ったものの、敢えなく落選してしまいました。 
とほほ……。 

 シンポジウム及び上映の日程等は、こちらのリンクをご参照頂くとして、今回特に注目したいのが、『香港の白い薔薇(香港白薔薇)』や『バンコックの夜(曼谷之夜)』といった日台合作映画でヒロインを演じた「寶島玉女」こと張美瑤の台湾語映画時代の作品(『夫の秘密(丈夫的秘密)』)が上映されること。 
張美瑤というと、今ではどちらかといえば旧作邦画ファンの方がその名をご存知なのかも知れませんが、「張美瑤、誰?」という台湾映画ファンの皆様に手っ取り早くご説明すると、張震主演の『停車』で盲目の老女を演じていた女優さんです。 
久しぶりに出演したこの作品が(結婚して引退後、晩年になってテレビドラマでカムバック)、結局彼女にとって最後の映画になりました。 
ちなみに、その時夫を演じていた徐天榮(本業は監督・脚本家)は、張美瑤が一躍人気女優となるきっかけを作った作品『呉鳳』の脚本を担当した人物です。 
と書けば、なんとなーく「ああ、あのお婆さん」とイメージして下さる方もいらっしゃるかと思いますが、この度上映される『夫の秘密』は、彼女の貴重な初期作品の一つなのです。 

 さらに! 

 なんと、『夫の秘密』が上映される16日の翌日から、ラピュタ阿佐ヶ谷にて『バンコックの夜』が上映されるんですよ、奥さん!
 こちらも貴重な国立フィルムアーカイブ所蔵のプリントによる上映。 
日本、台湾、タイを舞台に繰り広げられる悲恋メロドラマで、不肖せんきちの大好きな映画の1本です。
映画館での上映は、2014年の千葉泰樹監督特集(於:フィルムセンター・当時)以来となります。 

 そんなわけで、 この秋、張美瑤が熱い!

 皆様、くれぐれもお見逃しなきよう。 

 追記:『バンコックの夜』に関するもろもろのことは、こちらのブログでも何度か取り上げておりますので、検索窓からお探し下されば幸いです(張美瑤とかバンコックの夜とか、プラパで検索してね!)。

2019年7月21日日曜日

メインサイト、引っ越しました

〔しようもない日常〕〔ちょっとお耳に〕

静かに読書する毎日です(ウソ)。



どうも。
大変ご無沙汰しております。
なんとなく生きております。

さて、放置状態のメインサイト(このブログもすっかり放置状態なんですけどね)、Yahoo!ジオシティーズ閉鎖に伴い、やむなく引っ越しました。
あ。実はそれも今年3月のことでして、5か月近く経って、ようやくこちらでご報告という体たらくです、いやはや。

新しいメインサイトへのリンクは、こちら

どうぞよろしくお願いいたします。

2018年1月7日日曜日

寒中お見舞い申し上げます

〔しようもない日常〕



一刻も早い公開を祈ります。


どうも。
トド@いつもながら生活に追われ中です。

PCの調子が悪く、ブログの更新もままならぬまま、2018年を迎えてしまいました。

申し訳ございません。

とりあえず、それなりに無事に過ごしております。

今年もよろしくお願い申し上げます。


せんきち拝

2017年5月14日日曜日

『女性的復仇』と蔡揚名監督のことなど

〔えいが〕〔ちょっとお耳に〕


現在はガラス工芸作家として
ご活躍中の楊惠姍さん。
日本でも、こちらで作品を
見ることができます。



どうも。 トド@更年期まっしぐら!です。

さて。

一昨年の秋、台湾黒電影(社会写実映画)の代表作の一つである『女性的復仇』を鑑賞した不肖せんきち、ツイッターの方ではいくつか感想をつぶやいたものの、その後ブログ記事にまとめようと思いながらいたずらに時は流れ、今に至っております。

が。 

先日出版された『激闘!アジアンアクション映画大進撃』で結城らんなさんが台湾写実映画に関する秀逸な文章をお書きになっているのに触発され、「こりゃあ、いっちょう、おい らも書かねばなんめー!(何語?)」と一大決心(大げさ)、約1年半の歳月を経て、ようやく『女性的復仇』の紹介記事を書く次第です。

 (『女性的復仇』について)
 1981年、台湾。歐陽俊(蔡揚名)監督。楊惠姍主演。

 早速、おおまかなあらすじを。 

元女子体操香港代表で、現在はダンス教室を主宰する顧玲玲(楊惠姍)は、ある日、日本に住む親友から妹 美鳳のことを頼むという内容の手紙を受け取ります。
その後、親友は謎の死を遂げ、玲玲は親友の死の真相と美鳳の行方を探るべく来日、友人 三郎の助けも得てようやく美鳳を探し出しますが、美鳳は日本のヤクザに騙され、売春を強要されるようになってしまいます。
ヤクザの手から美鳳を救い出すため一味とのサイコロ勝負に挑んだ玲玲は、博打に勝って美鳳を奪還しますが、騙まし討ちに遭い再び美鳳は拉致され、玲玲も片目を失います。
その後、亡くなった親友がヤクザの麻薬取引に絡んで命を落としたことが判明、玲玲は再度美鳳を救うため、かつてのライバル(元女子体操日本代表。水野結花)の力も借りて、ヤクザへの復讐を開始するのでした……。 

あらすじからもわかる通り、物語の舞台は殆どが日本。 タイトルバックでは歌舞伎町のネオンが映り、売春組織に売られた女たちのシーンでは郊外のラブホテルが登場します。



 歌舞伎町の夜景をバックに
楊惠姍の名前が!

ただ、主人公を助ける三郎が住む木造アパートや、ヤクザと博打をするシーンの和室等は、北投の日本旅館で撮影している模様です。 
日本で理不尽な目に遭うアジア人女性の敵であった日本人ヤクザが、やがて日本人をも含めた全ての女性達の敵となり、復讐の対象となっていく……と書くと何やら意味ありげですが、露出度の高いコスチュームで日本刀を振り回しながら拳銃を持ったヤクザに立ち向かう女性たちの姿がクライマックスの見所になっている辺り、そんなことは最早 どうでもいいのかもしれません。
当たり前(?)のことながら、「なぜ、元女子体操の選手がツボ振りを?」なんていう疑問も言いっこなし!

そして、もう一つの見所(?)が、無許可撮影の数々。 
主人公が国技館で相撲観戦をしながら自分の現役時代を思い出す件(段違い平行棒をする楊惠姍!すげー!すごすぎる!)では朝潮が登場、そしてバックには『ロッキー』の 音楽が流れます(もちろん、無断使用)。
さらにそれよりもすごいのが、ヤクザのパーティーシーンでなぜか顔を見せるこの方。


総理の父ちゃん、なぜそこに!


黒い交際発覚!ですわね……。

 (『女集中營』と社会写実映画) 
ところで、『女性的復仇』の監督である蔡揚名が、1970年代の一時期、香港の邵氏に所属していたことはよく知られていますが、当時の報道によれば、今日では桂治洪監督の代表作の一つとされている『女集中營』も、当初は蔡監督の作品として撮影に入っていたといいます。 



蔡監督が『女集中營』を撮ることになった
旨を伝える1973年7月9日付『華僑日報』。
目下のところ男優中心の香港で、
あえて女優中心の映画を撮りたい!
という監督の強い意気込みが窺えます。




こちらは撮影中の記事(1973年9月1日付『工商日報』)。


 しかし、『女集中營』の撮影半ばで蔡監督は突如として台湾へ帰り、邵氏とは契約の件で裁判に突入、しばらくは歐陽俊という別名で映画を撮ることを余儀なくされます。 
蔡監督がなぜ台湾へ帰ったのか、その真の理由は定かではありませんが、そのような経緯からこの『女性的復仇』をみると、蔡監督は香港では果たせなかった夢(女優中心の映画を撮る)を、1980年代に入ってようやく台湾で実現させたのだとも考えられます。 
また、『女性的復仇』には同タイトルの台湾語歌謡を元にした台湾語映画(1969年、林福地監督)が存在しており、両者の内容が同一であるかどうかは定かではないものの、かつての台湾語映画のエッセンスをも受け継いでいる作品であったのかも知れません。

 (『錯誤的第一歩』と『血と掟』) 
台湾の社会写実映画は、1979年、蔡監督が実在する元ヤクザ 馬沙の手記『錯誤的第一歩』(実際にはかなり虚構が交じっているらしいのですが。この手記と馬沙を巡るもろもろに関しては、こちらをご参照下さい)を、馬沙本人の主演で映画化した同名作品に始まるとされています。 
かつて裏社会に身を置いた人物が、自らの伝記的作品の主役を務めて映画デビューする―、旧作邦画に詳しい方ならすぐにピンとくるでしょうが、そう、これはまるで安藤昇主演の『血と掟』のようではありませんか。
『錯誤的第一歩』と『血と掟』の影響関係は明らかではありませんが、蔡監督は男優時代(芸名・陽明)には『血と掟』の湯浅浪男(湯慕華)監督が渡台後に撮った作品にも出演したことがあり、湯浅監督の口から直接『血と掟』の話を聞いていた可能性もあります。 
ちなみに、蔡監督が主役を務めた湯浅監督作品は『法網難逃』(1968年)という、何やら犯罪もののような匂いのするタイトルで、この作品の内容も気になるところです。

 (おまけ) 

以上、つらつらと『女性的復仇』と蔡監督にまつわるあれこれを書いてきましたが、拙ブログではこれまでにも社会写実映画に関していくつかの記事を執筆していますので、 そちらもお読み下されば幸いです。   

蔡揚名監督が香港へ渡る前後に撮った女性の復讐物。
その後の社会写実映画における復讐物を考える上で、重要な作品と考えられます。  
地獄のニンジャソルジャー (Ninja 8:Warriors of Fire)
社会写実映画『女王蜂』を無理やりニンジャ映画に仕立て上げた、悪名高きニコイチ映画の金字塔。
誰敢惹我 (Who Dare Challenge Me)

(ひとまずおしまい)

2017年4月25日火曜日

『バーフバリ 伝説誕生』からべっぴんさんへ強引に誘導してみる

〔べっぴんさん〕〔ディーピカー・パードゥコーン〕〔Deepika Padukone〕〔ちょっとお耳に〕


べっぴんさんのコカコーラ最新CM。
最高にキュート!


どうも。
トド@相変わらず生活に追われていますです。

というわけで、『トリプルX 再起動』日本でのロードショー公開も無事終了しましたが、その直後にひどい風邪を引きまして、二週間ほど苦悶の日々を過ごしておりました。
「べっぴんロスは精神面のみならず、肉体面にも深刻な悪影響を及ぼす」ということを、今回身を以て知りましたです、はい。

さて。

先だって、東京と大阪でロードショー公開されたインド映画『バーフバリ 伝説誕生』。
東京(新宿ピカデリー)では連日満員の大盛況で、このゴールデンウィークには急遽!丸の内TOEIでのアンコール上映も決まり(この他、全国各地で上映予定)、話題が話題を呼ぶ状況になっておりますが、われらがべっぴんさんことディーピカー・パードゥコーン(Deepika Padukone)嬢ファンの不肖せんきちとしましては、この機会に『バーフバリ 伝説誕生』とべっぴんさんを絡めて、半ば強引にべっぴんさんの話題に誘導してしまおうと目論んでみました。
まあ、ようするに「『バーフバリ 伝説誕生』に出ているあの人は、こんな作品でべっぴんさんと共演しているよ!見てね!」というだけの記事なのですが、以下、適当にお付き合い下さい。

・忠臣カッタッパ(サティヤラージ)
寡黙で篤実、そして武芸の達人である忠臣カッタッパ(奴隷!ということで、ついスパルタカス的な展開をも期待してしまうせんきちですが、さてさて後編〔あ、『バーフバリ 伝説誕生』は前後編ある内の前編なんですよ。なにせ「誕生」ですから。後編はインドで今週末公開〕ではどうなりますかねー)を演じるサティヤラージさんは、2013年のべっぴんさん映画『チェンナイ・エクスプレス』でべっぴんさんの(いろいろな意味で)こわーいお父さんを演じています。


きゃあ!こわい!
どのくらい怖いかというと……



たぶんこのくらい。
(丸の内TOEI上映に因み)


映画は肩の凝らないドタバタアクションコメディで、べっぴんさん演じるタミルのツンデレ娘ミーナもかわいいので、ぜひご覧になってみて下さい。


きゃあ!かわいい!


・暴君バラーラデーヴァ(ラーナー・ダッグバーティ)
筋肉ムキムキなわりに猜疑心と嫉妬心が強く、内面はチキン(勝手に推測)な残酷暴君を演じたラーナー・ダッグバーティさんは、これまた2013年のべっぴんさん映画『若さは向こう見ず』で、べっぴんさん演じるヒロイン ナイナ(ネイナ)の友人ヴィクラム役で、ちらりと顔を見せています。


『バーフバリ 伝説誕生』とは
だいぶ違う見た目。


でもねー、このヴィクラム君、ちょっと、いや、かなーりかわいそうな役なんですよ。
見ているこっちが「そりゃないな!(ナイナだけに。駄洒落かい!)」という気分になってしまうくらい。
どのくらいかわいそうなのかは、ぜひ本編を見て確認して下さい。

・ビッジャラデーヴァ(ナーサル)
最後にもう一人、暴君の父ビッジャラデーヴァを演じているナーサルさんも、2014年のべっぴんさん映画"Kochadaiyaan"でべっぴんさんとご一緒していますが、この映画、モーションキャプチャーによる3Dアニメ(で、いいんですか?)という少しばかり特殊な作品です。


"Kochadaiyaan"のナーサルさん。


べっぴんさんとスーパースター ラジニカーントが共演!ということで、当初かなりの話題を呼んだ作品ではあったのですが、完成が遅れに遅れ、いざ仕上がってみたら、べっぴんさんは猿顔(失礼)になっているは、技術的にも???な部分が見られるはで、べっぴんさんファンとしては心残りの多い映画になってしまいました。


君はファンキーモンキーベイベー!(違)


そんなわけで、ご興味のある方にだけ、おすすめしておきますです。



おまけにもひとつ貼っておきますねー。

(おしまい)

2017年2月23日木曜日

『トリプルX 再起動』台北強化合宿(番外編)

〔べっぴんさん〕〔ディーピカー・パードゥコーン〕〔Deepika Padukone〕〔えいが〕



魅惑のべっぴん沼にようこそ!


どうも。
トド@明日は成田HUMAXシネマズのIMAXシアターで『トリプルX 再起動』を見ます!です。

さて。

強化合宿のご報告は前回で一応の終結を見たわけですが、いよいよ明日が『トリプルX 再起動』の日本公開日だというのに、公式さんからはべっぴんさんに関する紹介記事も特典映像(あるんだよー、特集&インタビュー映像。気になる人は海外のパラマウントのようつべページを探してね)も出ないようなので、ならば!「関東ディーピカ連合東京親衛隊長兼日本ディーピ化計画推進本部長」(自称)である不肖せんきちがやってやろうじゃないの!ということで、べっぴんさんの超大ざっぱなプロフィール及びレンタルDVDで見られる出演作品のご紹介を主とした「魅惑のべっぴん沼」記事をアップすることといたしました。
『トリプルX 再起動』で検索して、間違えて(?)こちらへお越しになってしまった皆様も、ぜひこの記事をお読みになって、べっぴんさんの本拠地・インドでの出演作品をご覧になって下されば幸いです。

(その生い立ち~映画界入りまで)

我らがべっぴんさんことディーピカー・パードゥコーン(Deepika Padukone・注1)嬢は、1986年1月5日デンマークのコペンハーゲンで生まれました。
インド人として初めて世界ランキング1位となった名バドミントン選手プラカシュ・パードゥコーンを父に持ち、父のトレーニング先であるデンマークで生まれたべっぴんさんは、生後11ヶ月で家族と共に母国インドに戻り、以降は南インド・カルナータカ州のベンガルール(バンガロール)で育ちます。
少女時代は父の後を追ってバドミントン選手を目指していたべっぴんさんでしたが(毎朝4時半起床→トレーニングの後、学校へ→学校が終わった後もトレーニング、という毎日だったようです)、長じてファッション界に身を投じ、モデルとしての道を歩み始めます。
ファッションモデルとしてのべっぴんさんは、キングフィッシャー・ファッション・アワードのモデル・オブ・ザ・イヤーを受賞、メイベリンの広告にも起用される等の活躍を見せますが、そんな彼女を映画界が放っておくわけはありません。
2006年にカンナダ語映画"Aishwarya"で女優デビューを果たしたべっぴんさんは、2007年、ボリウッド(ヒンディー語映画)の売れっ子振付師で映画監督のファラー・カーンに抜擢され、『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』で大スター シャー・ルク・カーンの相手役を務めることになるのでした(注2)。


べっぴんさんがモデルを務めた
メイベリンの広告。



べっぴんさんの最初期のCM。
Closeupという歯磨き粉のCMです。


(恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム)



"Dhoom Taana"


2007年、ファラー・カーン監督(原題:Om Shanti Om)。
レンタルDVDは、こちら
動画配信サイトは、こちら

1970年代と現代のインド映画界を舞台に、時空を超えた恋の行方をあっと驚く展開で描く作品(こうして書くとなんだか陳腐ね。とにかく見て!)。
不肖せんきちは、劇場で36回見ましたです(現在も記録更新中)。
この作品で売れっ子若手女優シャンティプリヤとベンガルール出身の現代娘サンディの二役を演じたべっぴんさんは、フィルムフェア賞(この作品の中にも授賞式のシーンが出てきますが、日本で言えばブルーリボン賞のようなインドの主要映画賞。決して日本アカデミー賞とは言わないところがミソ)新人女優賞を受賞、一躍人気女優となります。


日本版予告編。


日本では2013年に劇場公開されたこの作品、ぴあの初日満足度ランキングでは堂々の1位を記録、各地で開催されたマサラ上映も話題を呼び、今年に入ってからは宝塚歌劇団によって舞台化される等、長く愛される作品となりました。

(チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ)


"Chandni Chowk To China"


2009年、ニキル・アドヴァニー監督(原題:Chandni Chowk To China)。
レンタルDVDは、こちら
動画配信サイトは、こちら

ワーナー・ブラザースがインドで製作、中国で大規模ロケを行った作品。
悪の勢力に虐げられた中国のとある村の民がインドから助っ人を呼んで戦うという『七人の侍』系のストーリーに、周星馳作品でおなじみ「ダメ男の覚醒」、古今東西様々な作品で描かれてきた「生き別れになった家族の再会」を盛り込んだ作品。



日本版予告編。


この作品で、べっぴんさんはミャオミャオとサキという双子の姉妹を演じています(やっぱり二役ねー)が、何より特筆すべきは邵氏(ショウ・ブラザーズ)を代表する武打星であった劉家輝(ゴードン・リウ)との共演。
つまり、べっぴんさんはドニーさん(甑子丹。ドニー・イェン)と劉家輝という新旧2人の偉大な武打星と共演した唯一のインド女優ということになるのです。
さらに、べっぴんさんの父親を演じたロジャー・ユアンは、『ソード・オブ・デスティニー』でドニーさんと共演しており、そんなところにもべっぴんさんとの繋がりがあるのですね。

この後、2010年から2011年にかけて、女優として伸び悩んだ時期もあったべっぴんさんでしたが、2012年の『カクテル』(IFFJ〔インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン〕2012で上映)で一見奔放ですが内面はピュアで寂しがり屋な女性ヴェロニカを好演、女優としての転機を迎え、翌2013年は大躍進の1年となります。

(チェンナイ・エクスプレス 愛と勇気のヒーロー参上)


"Titli"


2013年、ローヒト・シェッティー監督(原題:Chennai Express)。
レンタルDVDは、こちら

亡くなった祖父の散骨にかこつけて悪友たちとゴアへ遊びに行こうとしていた独身貴族(死語)の主人公が、ひょんなことから許婚との結婚を嫌って実家から逃げてきた娘を助けることになり……という、巻き込まれ型アクション・コメディ。
『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』の後、二度目のシャー・ルク・カーンとの共演作。
べっぴんさんは、ツンデレ家出娘 ミーナを演じています。


日本版予告編。


この年(2013年)、べっぴんさんは出演作(4本)全てがメガヒットを記録、『銃弾の饗宴 ラームとリーラ』(IFFJ2015で上映)で、ついにフィルムフェア賞主演女優賞を受賞します。
ハリウッドからも『ワイルド・スピード SKY MISSION』出演のオファーが舞い込みますが、スケジュールの都合で断念、しかし、これが今回の『トリプルX 再起動』出演に繋がることとなります。


と、現時点でレンタルDVDで見られるべっぴんさんの作品はここまで。
ですが、このところ、インド映画を続々と配信しているNetflixで"Happy New Year"が配信開始になりましたので、こちらもご紹介しておきましょう。

(ハッピーニューイヤー)


"India Waale"


2014年、ファラー・カーン監督(原題:Happy New Year)。
『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』から7年、再びファラー~シャー・ルク~ディーピカの鉄三角で送るインド版ずっこけオーシャンズ11(11人もいないけれど)。
べっぴんさんは野郎集団の紅一点モヒニを演じました(マレーシアにこの映画を見に行った記録はこちら)。


べっぴんさん初登場時の曲"Lovely"。
ここに至るまでファンは1時間焦らされ続けます。


この翌年(2015年)初め、べっぴんさんはうつ病に冒されていたことを公表、特にこの作品は闘病の最中での撮影であり、非常に過酷な状況であったようです(注3)。
治療のかいあって病を克服したべっぴんさんは、2015年に入って再び飛躍の時を迎え、『ピクー』(IFFJ2015で上映)で2度目のフィルムフェア賞主演女優賞を獲得、トップ女優の座を不動のものにしました。
そして、満を持してのハリウッド・デビュー、『トリプルX 再起動』への出演と相成るのでありました。

めでたしめでたし、と言いたいところですが、べっぴんさんの女優としての歩みはまだまだ続きます。

てなわけで、ここまでざっくりとべっぴんさんのご紹介をしてきましたが、上記作品の他にも日本で劇場公開や映画祭上映、あるいは自主上映された作品がありますので、それらの作品の中からいくつかピックアップしてご紹介していきたいと思います。

(今時の恋愛)


"Dooriyaan"


2009年、イムティヤーズ・アリー監督(原題:Love Aaj Kal)。
今と昔、二つの時代の恋愛を対比させつつ、主人公2人のかりそめの関係が真実の愛に変わるまでを描きます。
べっぴんさん初期の代表作の一つ。
ヒロイン ミーラを演じました。
IFFJ2012で上映。


(カクテル)


"Angreji Beat"


2012年、ホーミー・アダジャーニヤー監督(原題:Cocktail)。
舞台はロンドン。
ひょんなことから無二の親友になった女性2人。
そんな彼女たちの前に、浮気でC調(死語)な男性が現れて……という、女の友情と三角関係を描いた作品。
先述した通り、べっぴんさんは奔放ですがピュアな感性を持った女性ヴェロニカを演じました。
べっぴんさんが、女優として一皮剥けるきっかけになった作品です。
IFFJ2012で上映。


(若さは向こう見ず)



"Balam Pichkari"



2013年、アヤーン・ムカルジー監督(原題:Yeh Jawaani Hai Deewani) 。
現代インドの若者達の恋と友情を描いた青春映画。
本国インドで大ヒットを記録したのみならず、インド映画として初めて全米オープニングチャートTop10にランクイン(9位)しました。
この作品で、べっぴんさんは臆病でイケていないガリ勉(死語)優等生ナイナ(ネイナ)を演じました。
このナイナが陽気なお調子者バニーによって臆病の殻を打ち破っていく過程が素晴らしく、また、後半で傷ついたバニーの心を今度はナイナが癒していくという対比も実にうまく描かれています。

日本では2014年にIFFJで上映された後、2015年に東京、2016年に大阪で公開されましたが、残念ながらレンタルDVDはないものの、アマゾンでセルDVDが購入できますので、気になる方はぜひご購入下さい。


日本版予告編。


DVDのクオリティはさておき、映画自体は本物、公開時にも映画レビューサイトCOCOのレビュアー満足度ランキングで10位以内に食い込む健闘を見せました。

(銃弾の饗宴 ラームとリーラ)


 
"Negada Sang Dhol"


2013年、サンジャイ・リーラー・バンサーリー監督(原題:Goliyon Ki Raasleela Ram-Leela)。
『ロミオとジュリエット』に想を得た悲恋物語。
とは言え、敵対する家同士の血で血を洗う抗争や、跡目相続を巡る陰謀等、東映実録路線テイストもある作品なので、旧作邦画ファンにもおすすめしたい映画です。
べっぴんさんは、ヒロイン リーラを演じ、初めてのフィルムフェア賞主演女優賞を獲得しました。
IFFJ2015で上映。


(ファニーを探して)



"Fanny Re"


2014年、ホーミー・アダジャーニヤー監督(原題:Finding Fanny)。
ハートフルでちょっぴりブラックなロードムービー(英語作品)。
この作品で、べっぴんさんは若き未亡人アンジーを演じました。
2015年の第10回大阪アジアン映画祭で上映されています。

(ピクー)



"Journey Song"


2015年、ショージート・サルカール監督(原題:Piku)。
老いてますます偏屈になった父親とアラサー独身娘、そんなおもろい父娘の姿をユーモアとペーソスを交えて描いた作品。
父と娘だけでなく、親族みんなが「ああ言えばこう言う」人たちで、実に個性豊か。
そして、最後はほろりとさせられます。
べっぴんさんは、この作品で建築家として働きつつ頑固な父の世話を焼くヒロイン ピクーを演じ、2度目のフィルムフェア賞主演女優賞を射止めました。
IFFJ2015で上映。


(バージーラーオ・マスターニー)



"Pinga"


2015年、サンジャイ・リーラー・バンサーリー監督(原題:Bajirao Mastani)。
マラーター王国の宰相バージーラーオとその第二夫人マスターニーの苛烈な愛の物語。
2016年のフィルムフェア賞作品賞、監督賞を始め、主要部門を総なめにした作品。
『銃弾の饗宴 ラームとリーラ』でべっぴんさんに初めてのフィルムフェア賞主演女優賞をもたらしたバンサーリー監督が、再びべっぴんさんをヒロインに起用して撮った作品。
べっぴんさんは、ヒロイン マスターニーを演じました。
私生活においてはべっぴんさんの良き先輩であり、また良き友でもあるプリヤンカー・チョープラーとの初共演作品でもあります。
2015年暮れから2016年2月にかけて、在日インド人による自主上映が東京、大阪等で開催されました。

(Tamasha)



"Heer Toh Badi Sad Hai"


2015年、イムティヤーズ・アリー監督。
コルシカ島で出会ったインド人男女の一風変わった恋愛映画。
恋愛映画とは言いながら、物語の中核を成すのは男性主人公の本当の自分探しなのですが、べっぴんさんは彼の心のスイッチを押す(つまり、本当の自分に目覚めるきっかけを作る)女性タラを演じています。

が!

この映画、なんと、東京ロケ作品なのですよ。

べっぴんさんも2015年4月にほんの数日だけ東京に滞在、新宿副都心(コクーンタワー等)や東京国際フォーラムでの撮影をこなしました(べっぴんさん来日をめぐる不肖せんきちのすったもんだはこちらを参照)。

イムティヤーズ・アリー監督はこの作品の日本ロケがきっかけで、本作の撮影協力を行った松竹に起用されて、日本・インド合作映画"Love in Tokyo"を撮ることが決まっています。

ただ、残念ながら、自主上映、映画祭も含め、日本での上映機会はまだありません。


注1:『トリプルX 再起動』においては、ディーピカ・パーデュコーンというカタカナ表記になっていますが、こちらではこれまでの慣例に従い、ディーピカー・パードゥコーンと記させて頂きます。

注2:ご存知の方も多いと思いますが、多言語国家であるインドでは、それぞれの地域でそれぞれの使用言語による映画製作が行われており、いわゆる「ボリウッド映画」と呼ばれるヒンディー語映画は、ムンバイ(ボンベイ)で製作されたヒンディー語による作品を指します。この他、主なところでは、タミル語(タミル・ナードゥ州)、テルグ語(アーンドラ・プラデーシュ州、テランガーナ州)、カンナダ語(カルナータカ州)、マラヤーラム語(ケーララ州)、ベンガル語(西ベンガル州)、マラーティー語(マハーラーシュトラ州)等による映画が作られています。

注3:その後、べっぴんさんは Live Love Laugh Foundation という財団を設立、メンタルヘルスに関する啓蒙活動や、心の病に苦しむ人たちの支援に取り組んでいます。

(ひとまずおしまい)