2007年10月31日水曜日

ザ・スパイダースのバリ島珍道中

〔えいが〕

お好きな方は・・・・。

1968年、日活。西河克己監督。ザ・スパイダース、杉本エマ、内田良平、高品格主演。

どうも。
お腹を壊しました。
中年デブに冷えは禁物のようです。

えー、タイトルは「バリ島」なんですけれど(ビング・クロスビー〔Bing Crosby〕とボブ・ホープ〔Bob Hope〕のそれからの頂きね、勿論)、バリ島へ行く前に香港へ立ち寄るというので、どんなところが出てくるのか、それだけを確かめるために観た映画でおます。

で、出てきたところ。

啓德空港(着陸シーン。航空会社はパンナム)
淺水灣酒店(スパイダースの宿泊先。外観のみ。内部はセット撮影だったが、なんだか安っぽい。『香港の夜』のセットの方がずっとまし)
胡文虎花園(スパイダースと杉本エマが楽しく観光しているところを、高品格と内田良平が付け狙う。実は杉本も高品や内田の一味。胡文虎花園にスーツ姿で佇む内田良平と言えば『東京ギャング対香港ギャング』ですが、それよりは256段ほど劣る出来)
街頭(ホテルを出て観光する件。正しい位置関係から言うと香港サイドのはずなのですけれど、この後なぜかスターフェリーに乗って胡文虎花園へ行くのでありました。あれ?)
スターフェリー(外観のみ。乗船シーンは合成。もったいない)

食費節約のため(?)、スーツケース一杯に「出前一丁」を持参、ホテルの部屋でそれを作って食べるという、売れっ子アイドルらしからぬビンボー臭い場面がありましたが、今だったらわざわざ日本から持って行かなくても香港のスーパーでいろんな出前一丁が買えるのにねえ。

映画の内容はと言えば、かまやつひろしのアンプに密かに仕込まれたプルトニウムを巡るすったもんだの珍騒動を描いたもので、アンプからプルトニウムを取り出して東南アジアで密売しようとしている内田良平&高品格(ボスはシドニー在住。一応シドニーの場面もありますが、街の写真が映るだけ。やっぱりビンボー臭い)と、逃げ回るスパイダースのおっかけっこが見もの・・・・の映画なのでしょう、きっと。

この後、スパイダースは香港からジャカルタへ逃走(空港と街頭、ホテル外観のみロケ)、最終的にバリ島へ流れ着くことになります(サヌールビーチの「バリ・ビーチ・ホテル」にご宿泊)。
ここでプルトニウムの存在に気付いたスパイダースは、バリ島で卒論のためのフィールドワークを行っている日本の女子大生とその婚約者(インドネシア国軍のエライ将軍の息子。時代的にはちょうどスハルトが大統領に就任した直後)、そして村人たちの助けも得て、一味を退治することに成功するのですけれど、肝心のプルトニウムをバリ島に置き去りにしたまま日本へ帰って来てしまうのでありましたよ。

ザ・スパイダース、神々の島を放射能の島に変えるの巻。

あんたら、罰当たるぞ。

付記:女子大生の婚約者はジャカルタ出身という設定で、ジャワの人ならムスリムのはずだから、そうなると彼女もムスリムか百歩譲ってクリスチャンでなければならないのに、なぜかヒンドゥーの神々に祈りを捧げていたよ。
インドネシアのイスラム教はそういうところには寛容なのか、それともジャワとバリの違いも知らないで(日活が)撮影していたのか、どっちなのか知らん。

2007年10月30日火曜日

台湾文化週間

〔ちょっとお耳に〕
10月29日(月)、30日(火)、「早稲田大学 創立125周年記念行事 台湾文化週間」の一環として、下記のような台湾映画に関するイベントが開催されます。

おかげさまで無事終了いたしました。
ありがとうございました(別に主催者じゃないんだけどさ)。


「台湾映画祭」
会場:早稲田大学 小野記念講堂(小野梓記念館地下2階)
東京都新宿区戸塚町1-103

10月29日(月)
18:00:受付開始
18:30~18:45:金鉱で栄えた台湾北部の町・九份の歴史を語るドキュメンタリー映画『風を聴く~台湾・九份物語』のダイジェスト版(約15分)上映。
18:50~19:30:台湾の歌手・小高さんによる台湾語歌曲(ドキュメンタリー映画『風を聴く~台湾・九份物語』挿入歌『傾聴風声』)。
19:35~20:00:林雅行監督による映画解説

10月30日(火)
9:30:受付開始
10:10~10:40:ドキュメンタリー映画『梨園春暁-台湾歌仔劇』上映
10:40~11:00:田村志津枝氏による解説
11:10~12:20:台湾映画シンポジウム(上)「歴史のなかの台湾映画」
        呉文星氏(国立台湾師範大学教授)「映画の背景となる台湾史」
        三澤真美恵氏(日本大学准教授)「日本植民地統治期台湾における映画受容」

休憩

13:10~14:10:台湾映画シンポジウム(下)
       許菁娟氏(大仁科技大学助理教授)「国民党時代の『奇妙』な反共映画『苦戀』」
       小山三郎氏(杏林大学教授)「総括:政治と映画の密接な関係」
14:20~14:50:台湾の歌手・小高さんによる台湾語歌曲(ドキュメンタリー映画『風を聴く~台湾・九份物語』挿入歌『傾聴風声』)。
15:00~16:40:ドキュメンタリー映画『ぼくのフットボールの夏(奇蹟的夏天)』上映
16:50~17:30:楊力洲監督Q&A

『ぼくのフットボールの夏』は、9月のアジア海洋映画祭in幕張で上映された作品です。
入場無料ですので、皆様奮ってご参加下さい。

なお、「台湾文化週間」のその他のイベントは下記の通りです(いずれも入場無料)。

10月27日(土)~11月2日(金)「台湾写真展」 
会場:学生会館・辜振甫記念アトリウム(9:00~17:00)
※日本統治時代から現代までの台湾の民主化と経済発展の歩み、美しい自然や観光地など多数の写真を展示。

10月28日(日)~29日(月)「台湾研究をめぐる日台若手研究者の対話」
28日…会場:国際会議場三階・第二会議室(14:00~16:00)
29日…会場:小野記念講堂(14:00~17:00)
※「日台関係」「歴史」「文学」という三つのセッションを設け、日台双方から若手研究者がそれぞれの専門に応じて研究発表、コメントを行います。

10月31日(水)「台湾原住民文化・歌」 
会場:小野記念講堂 (小野梓記念館地下2階)(10:30~12:00、14:30~16:00)
※台湾原住民の研究者である林道生氏による、原住民の文化・歴史及び歌の紹介。

11月1日(木)~2日(金)「台湾伝統人形劇」(布袋戯) 
会場:国際会議場 井深大記念ホール(10:00~11:30、14:30~16:00)
※台湾の「人間国宝」と称される鍾任壁氏が団長を務める新興閣掌中劇団が出演します。演目は「西遊記」の予定で、午前の部が公演、午後の部は解説となります。二日間に渡り、計四回の公演を予定しています。

(イベント終了までトップに上げておきます)

2007年10月28日日曜日

いま、時代は長谷川愛! (改題しますた)

〔しようもない日常〕


というわけで、風邪はまだ治りませんが、東京国際映画祭が始まりました(火曜からは香港映画祭も)。
今年は下記のようなスケジュールです(人に言うほどのことでもないけど)。
会場でいけてないデブの中年女を見かけたら、お声をおかけ下さい。
それがわたくしです。

10月20日(土)
・『光陰的故事(光陰的故事)』
・『高麗葬(高麗葬)』

※『高麗葬』、圧倒されました。
20回記念の可愛いオフィシャルグッズ(ぬいぐるみ&ストラップ)も購入。
ぬいぐるみは

露出子(ろでこ)

と名付けました。
プロゴルファー祈子』は「祈る子」と書いて「祈子(れいこ)」でしたが、「露出子」は「露出する子」と書いて「露出子(ろでこ)」です(お下劣!)。

10月21日(日)
・『タイペイ・ストーリー(青梅竹馬)』

※帰りがけにお友達と南翔で小籠包を食べました(幸せ)。
ブログ友のリネンさんとも初めてお目にかかることができました。
そして、中華隊よ、永遠なれ!

10月22日(月)
・『壁を抜ける少年(穿牆人)』

※『壁を抜ける少年』、ラストが『テラコッタ・ウォリア(秦俑)』でした。
今の台湾映画界では、ヤクザの偉い人といえば高捷、主人公の○十年後といえば戴立忍、というキャストにあらかじめ決まっているのでせうか。
李佳穎が可愛かったっす。ずーずーしくサイン貰いました。
張永政は、ソフトでメロウな陳觀泰(すげー喩え)ですた。

10月23日(火)
・『鐵三角(鐵三角)』

映画祭後、これはどこへ行くのでせう?
シネマートの2階?

※ということで、香港映画祭初日。
お仕事が終わった後、お腹が空いたので鬍髭張で早めの晩御飯をかき込み(「ほほ肉定食」に煮玉子をプラスするいつものメニューに、今日はザーサイを追加)、オーチャード・ホールへ。
遠くからホカホカカーペット、じゃなくて、ホットカーペット、でもなくて、レッドカーペットを鑑賞。
会場に入場後、幾人かの方にご挨拶&お声をかけられました。ありがとうございます。
オープニングセレモニーは、新橋烏森口の立ち飲み屋状態になっていた御大3人(徐克、林嶺東、杜琪峰)がサイコー!でした。
改めて考えても、すごい3ショットだったなあ、食べ物の話しかしてなかったけど。

『鐵三角』、いい意味においても悪い意味においても3人の個性の違いがよくわかる作品でした。
ちなみに、上映中に私が考えていた勝手な邦題→『ひき逃げ刑事(デカ) 黄金の3人を追え!』『愛と憎しみのドーナツ盤』『不死身の浮気妻と黄金に憑かれた男たち 何度でも停電させて♡』。
終映後、お友達と本日2度目の鬍髭張。ほほ肉(単品)と台湾ビール。
こまめに通い続けた甲斐あって、ポイントカードが満タンに。
1000円のお食事券をゲットしました。

あ、そうそう、この日、縁あって『壁を抜ける少年』の鴻鴻監督(ちょうどこの日がお誕生日でした)とお話することができました。
劇中に出てくる『白屋之戀』(白景瑞監督)を観たことがあったので、

「『白屋之戀』、観たことがあるんですよ!白景瑞監督の『再見阿郎』が大好きなんです!」

といきなり台湾老電影について熱く(暑苦しく?)語ってしまい、監督は「謎の日本人オタク」と思われたことでしょう、きっと(この後図に乗って、甄珍〔『白屋之戀』の主演女優〕が出た3本の東宝映画についても説明)。

監督にはいくつか質問させていただいたのですが、ちょうど張震の話が出たのでかねてからの疑問もぶつけてみました。
曰く、

「『牯嶺街少年殺人事件』(鴻鴻監督はこの映画の脚本を楊監督と共同で執筆なさっています)は張震の初めての作品か?」
「但漢章監督の『暗夜』で、張國柱の少年時代を演じている子役(ほんのちょっとだけ出て来ます)が張震にそっくりなのだが、あれは彼ではないのか?」

はじめの質問に関しては「イエス」、2番目に関しては「はっきりしたことはよくわからないけれど、有り得るかもしれない」とのことでした。

この質問をしたさい、ちょうど同席していた『壁を抜ける少年』のプロデューサー・葉如芬女士(林正盛監督の『青春のつぶやき(美麗在唱歌)』や蔡明亮監督の 『ふたつの時、ふたりの時間(你那邊幾點)』 『西瓜(天邊一朵雲)』を製作した方です)から、

「彼女は細かいところまでよく映画を観ているね」

とのお褒めの言葉を頂きました。えへへ。

10月24日(水)
・『マッド探偵(神探)』
・『出エジプト記(出埃及記)』
・『男兒本色(男兒本色)』

※『マッド探偵』、トー先生(この日はチョイ悪オヤジスタイル)版『白雪姫と7人の小人』でした(ウソウソ)。
エライ小人さん役で劉錦玲が出ていたのが、せんきち的にはうれしかったっす。
会場でも質問が出ていましたが、小人の中でリーダー的な役割を担い、しかも邪悪な性格の持ち主なのが女性であることに関して、やはり私も少し疑問を感じましたわ。
ラウチンの小人は理想化されすぎた妻だしね。
ただ、どの女性も皆母親的な側面を持っているような気がしたので、あれは「母性の光と影」だったのかなあ、とも思いますたよ。

お昼はフランスの鬍髭張こと(おいおい)ドゥマゴでオムレツを食べました(うまうま)。

『出エジプト記』、会場では訳あって挙手しませんでしたけれど、実はわたくしも邵音音導師の薫陶を受けた組織の一員(コードネーム:怖い人たちの集まり日本支部うちの近所の集会所所属おにゃんこクラブ会員番号2340番こう見えてもホントはフランス人のせんきち)です。
今まで隠していてごめんなさい。
心当たりのある方、首を洗って待っててね。
電話帳と金づち持参でお伺いします。

大人気であっという間に売り切れのこの映画、お友達のおかげでチケットをゲットできました
が、当日会場に行ったら、

けっこう空席がありましたよ、奥さん!

ほんとに売り切れだったのかしらん。

『男兒本色』は、なんだか若者版『香港国際警察 NEW POLICE STORY(新香港國際警察)』の趣。
例によって、火薬大量投入。
『香港国際警察 NEW POLICE STORY』で酒浸りの成龍を励まし、蘇生させた謝霆鋒が、この映画では房祖名から(命がけで)警察のあるべき姿を教えられるという、なんだか美しい魂の伝承がありましたわ。
でもさあ、「犯人を殺しちゃいけない、逮捕するんだ」と言われても、あそこまで無辜の市民を巻き込んでおいて、そりゃないぜチチョリーナ!(死語)と思ったのもまた事実。
「普通話を話す悪い人」という人物造型にも、そろそろ飽きてきたような。
大陸の売れっ子役者さんがこういう役をやっているのを見るたび、わたくしは『知りすぎていた男(The Man Who Knew Too Much)』のデニエル・ジェラン(Daniel Gelin)や、『パリの恋人(Funny Face)』のミシェル・オークレール(Michel Auclair)を思い出すのです。

前夜、午前様でタクシー帰宅だったので、この日はとっとと帰っておうちでハヤシライスを食べました。

10月25日(木)
・『天堂口(天堂口)』
・『海辺の一日(海灘的一天)』

※この日は、午前中にせんきちの大大大好きな『セクシー地帯(ライン)』の上映があったのですけれど、抜けられない用事があって観られず。とほほ。

『天堂口』、どうしても『ワイルド・ブリット(喋血街頭)』と比べてしまい・・・・。
呉彦祖、楊佑寧、劉燁の3人が並ぶと、容易にその役どころ(呉彦祖=梁朝偉、楊佑寧=張學友、劉燁=李子雄)が予測できてしまうのが、なんだか悲しいなあ。
やっぱり大陸の人が裏切るんだ。
終盤のドンパチといい、名前がマークであることといい、張震はやっぱりあの映画のあの人を意識しているんですか?

『海辺の一日』は、結局都合が合わず断念。残念どすた。
先日、予習を兼ねて以前(11年ほど前)WOWOWで放映された折に録画したビデオ(冒頭に寰亞のロゴが出てきます)を観直しましたが、張艾嘉の無理やりな女子高生ルック等、本筋以外にも見どころ満載の作品であることが判明しました。
この映画も『タイペイストーリー』も、男と女の間のどうしようもないズレが切ないです。

10月26日(金)

※今日は映画はお休み。
夕方、知人のKさんと会った後、講談を聴きに行きました。
Kさん、『思い出の西幹道(西干道)』を観て「泣いた」と言っていました。
相変らず、泣いてるねえ!
一方、せんきちは講談を聴いて涙ぐむのでありました。
落語もいいけど、講談もいいよ。

10月27日(土)
・『ヤンヤン 夏の想い出(一一)』

※わたくしにとっても思い出深い、今はなき「つるやホテル」を目に焼き付けておきたい作品。
ベルサイユパリー風呂、お湯がしょっぱくて湯船がでっかかったなあ。
でもその割には御婦人風呂が貧弱で(すぐに激混み)、女性客への対応が遅れたせいもあったのだろうなあ、あそこがつぶれちゃったのは。

というわけで、観てきました。
以前、激情、もとい、劇場で観たときには途中で上映が30分ほど中断、観客の中の1人(オヤジ)がマジギレしてロビーで暴れ始め、真っ暗な客席に響き渡るオヤジの怒号を聞き続けるという難行苦行を経験した思い出があります。

改めて観て、一つ一つの台詞が身に沁みますわ。
大田の台詞とかね。
ラスト、ほんとに私も監督のどこへいったのかわかったら会いに行きたいと思うけれど、今はただ、新作の主演にと考えていた張國榮との再会を無事果たしたであろうことを祈りたいです。

映画の上映の後は、呉念眞監督のトークショー。

日本の観客がこんなにも楊監督の死を悼んでいる、という石坂健治氏の言葉を受けての呉監督のコメントの中に、台湾で楊監督は未だ正当な評価を受けていない、という憤りにも似た気持ちを感じ取ったのは、わたくしだけでしょうか。

終了後、お友達と軽くご飯のつもりが小肥羊でがっつり火鍋とビール。

とりあえず、楊(ヤン)から羊(ヤン)への華麗なる(?)リレーということで。


生ビール1杯につき青島ビール1本ついてくるというサービスを最初に教えてくれなかった&2杯目の生ビールを飲んでいる途中で突如として青島ビールが運ばれてきたため、鍋よりはビールで腹いっぱいに。
さては、「ビールで日本人を滅ぼせ」という中共の陰謀か?(おいおい)

辛い鍋の方に入ってるにんにくをバクバク食ってたら、今朝(28日)、とってもにんにく臭いうん・・・・(以下自粛)。

風邪引きの上に木曜日から原因不明の蕁麻疹に悩まされたりと、健康状態はよくありませんでしたが、まあ、どうにかこうにか無事スケジュールをこなすことができました。

次はフィルメックスね。

今年は僕のお祭りでした。
みんな、来てくれてありがとう!

2007年10月17日水曜日

風邪悪化

〔しようもない日常〕

私は誰でしょう?

どうも。
昨日、急に寒くなったせいで、風邪が悪化しました。

ただでさえさぼりがちなこちらの更新ですが、さらにさぼることになるかと存じます。
あしからず、ご了承下さい。

では。寝ます。

2007年10月14日日曜日

池玲子やら新藤恵美やら

〔ちょっとお耳に〕

紙面には小さく写真も掲載(ほんと小さいな)。

どうも。
阿妹11月末来日記者会見」の報道に、今から落ち着かないトドです。
10年以上ファンやってて、まさかこんな日が来るなんて夢にも思っていなかったもんで。
長丁場の舞台ですから、何か身体にいい物でも差し入れできればいいんだがなあ。
今から考えておきます。

さて。

まずは、いつもお世話になっている吉田さんから頂いた情報です。

11月2日(金)から来年1月6日(日)まで、香港電影資料館電影院にて「大娯樂家 王天林」と題した王天林監督の特集上映が開催されます。
せんきちは『家有喜事』がすごく観たいんですけど、3日から京都だし、お金もないし、広東語吹替版だしするので、断念。
『深宮怨』もDVDリリースまで我慢します。
他には新華作品も観てみたいんですが、これはふつーに資料館のカウンターで手続きしてもビデオの視聴が可能みたいなので(一部作品除く)、またの機会にしたいと思います。

ということで、お次。

ここんとこ嘉禾の初期作品のソフト化が相次いでいますが(衣麻僚子大暴れの『女子跆拳群英會 (The Dragon Tamers)』VCDもリリース済み)、「そのうち『悪魔の生首(心魔)』も出るといいけど」と思っていたところ、先月ついに、VCDのみではありますがリリースされました。
映画の内容自体はもう「つまんねー」の一語に尽きますけれど、池さんファンならばやはり必見の作品でございましょう(ついでにこちらも読んでね)。

でもね。

映画本編同様、VCDジャケットにも

池鈴子

の表記が!

飛んで飛んで飛んで~。

だからさあ、

鈴子じゃなくて、玲子なの!

この他、新藤恵美の『チャイナスキャンダル 艶舞(狂情)』の香港版VCDもリリース。


日本版では曾江のお尻を嫌というほど拝まされましたが、香港版では何か違いがあるのか否か、これも要チェックね。
以前、「香港が出てくることに何の必然性も感じませんでした」とか感想を書いちまったけど、香港側としては「『美しきチャレンジャー(紅粉健兒)』や『姿三四郎』でおなじみの新藤恵美が、脱いで脱いでやりまくる!」というだけで既に話題性十分だったのではないかと。

それから、こちらは台湾の新藝城作品ですが、張小燕と張艾嘉という台湾芸能界のビッグバッドママ2人が姉妹を演じた『台上台下』のVCDもリリースされました。


こちらの見どころは2人の泥レス
タイトルバックに現われて、ギター弾き弾き歌い出す羅大佑も必見。
この頃付き合ってたのかなあ、張艾嘉と羅大佑。

それでは皆様、おやすみなさい。

2007年10月11日木曜日

陳慧琳から張惠妹へ

〔ちょっとお耳に〕

ちょいと急ぎの情報なので、手短に。
知人のKさん(いつものKさんです)から電話を貰って知りました。


ケリー・チャンさん落馬、日本公演を降板

TBSは11日、来年3月開館の「赤坂ACT(アクト)シアター」(東京・港区)のオープニング公演「トゥーランドット」に出演予定だった香港の女優、ケリー・チャンさん(35)が、中国で映画撮影中に落馬し、足にけがをしたため降板する、と発表した。
上演作は宮本亜門さん演出の新作ミュージカルで、チャンさんはトゥーランドット姫を演じることになっていた。代役は台湾出身の歌手、アーメイさん(35)が務める。



陳慧琳、『江山美人』の撮影で怪我でもしたんだろか。
おだいじに。

というわけで、阿妹主演になったようです。
ACTシアターの公式サイトにはまだ情報はないようですが、明日になったらもう少し詳細な情報が出るの・・・・かな?
ほんとに阿妹だといいのだけれど。

追記(12日):12日になって、ACTシアターのサイトにもキャスト変更のお知らせが出ました。阿妹で本決まりのようです。そして、『トゥーランドット』の公式サイトもできていたわ!
東京公演最低3回、大阪と名古屋にも行かなきゃ・・・・。

2007年10月8日月曜日

旅に出た極道

〔えいが〕

1969年、東映京都。佐藤純彌監督。若山富三郎、清川虹子、山城新伍、菅原文太、大木実主演。

どうも。
昨日は、シネマヴェーラで『砂の香り』を観ながらよだれを垂らして寝ていたトドです。
たまらなく退屈な映画だったけど(浜美枝のオパーイ以外は)、浜美枝が芝の留園のオーナー夫人という設定で、在りし日の留園が出てきたのは収穫でした。
今、留園創業者の盛毓度のことを調べているので。
あ、そうだ、『砂の香り』の音楽、渡辺宙明だったけど、『二匹の牝犬』(やっぱり宙明氏が音楽担当)と同じ曲が流れたよ。

というわけで、久々に原点回帰(?)で香港ロケ映画のご紹介。

若山富三郎の「極道」シリーズ第5作
前作(『待っていた極道』)のラストで、

香港行くぞ!

とか言っていた通り、本作では香港へ渡っています。
ただし、密航なんだけど(中島そのみと一緒ね)。

その他の東映シリーズ物と同様、おんなじ役者さんを使い回ししているため、日本人だったはずの大木実が香港人になったり、前作で死んだはずの弓恵子が香港で別人になって生き返ったり(今回も死ぬけど)といった有効利用がございますが、ま、それはご愛敬ということで。
3作目(『兵隊極道』)で大陸娘をやってた大信田礼子も、香港に転生して再登場いたします(ずべ公番長は中国人だった!)。
みんな日本語がうまいよー。
いつの間に勉強したんだか。
これなら香港へ行っても言葉の心配はいらないや。

文革真っ只中のロケゆえ、战无不胜的毛泽东思想万岁!
なんていうスローガンが見えます(裕華國貨前)。

日本の極道(若山富三郎)と香港の極道(大木実)が、最初は反目するもののやがて兄弟分となって悪い毛唐と戦う、というパターンは、鶴田浩二&楊群の『大陸流れ者』と重なりますが、こちらは喜劇ベースのお話なので、殴りこみのさいのコスチュームも若山富三郎一党が「全極連」と大書されたヘルメットを被ったりと悪ふざけ度120%増です。
これで大木実が紅衛兵の格好してたら240%増に大幅アップだったのですけれど、さすがにそれはありませんでした。

むかしは日本人だったけど、いまは香港人となって毛唐のお先棒を担いでいる渡辺文雄が善心に立ち返るきっかけとなるのが、日本に残してきた娘との悲しい再会、というのはありがちなお話ですが、「日本人としての心を取り戻すこと=善心に立ち返ること」を暗に示しているような気もしました。
香港人としてなら悪さやっても平気ということなんでせうか?

2作目(『帰ってきた極道』)で若山富三郎の舎弟になった香港極道・白が本作で死亡(第8作で生き返るらしいけど)、文太もあっけなくこの世を去り、山城新伍だけはいつも必ず生き延びるのでありました。

そういや、香港から澳門に殴りこみに行くのにジャンクに乗ってたけど、あれ、何時間かかるんだ?

清川虹子がやっていた売春宿の看板。
既成のものをそのまま利用。
小さく「アパト」と書いてあるのが笑えます。


付記:今週の『週刊新潮』(10月11日号)、「黒い報告書」に御大・岩井志麻子先生が登場。さしもの『夜モモ』もすっかりかすんでいます。

2007年10月1日月曜日

新刊2種

〔ほん〕〔ちょっとお耳に〕

『台湾光華』8月号の表紙。
メイン特集のタイトルが、なんとも挑発的。
かつて"Sinorama"(光華)といったこの雑誌、最近
"Taiwan Panorama"(台湾光華)に姿を変え、脱中国化が着々と進行中。
この特集タイトルも
あたしらはあんたらのようにはならないよ
という宣言のように読めます。

どうも。
急に寒くなったので、風邪気味のトドです。
おかしいなあ、北の湖(辞任しろ)、じゃなくて、北の海出身のはずなのに・・・・。

本題に入る前に1つお知らせ。

紀平重成さんの「銀幕閑話」がお引越ししました。
毎日新聞のweb版がお引越しすることに伴う措置だそうです。
新しい住所は、

http://mainichi.jp/enta/geinou/asianenta/ginmaku/

です。

でも、あれ?
これ、無署名記事になってますよん。
あくまで暫定的な状態であることを祈ります。

で、本題。
せんきちもさっき注文したばかりの新刊を2種。

一、李香蘭の恋人 キネマと戦争


田村志津枝著。筑摩書房。2310円。

著者である田村先生からもご案内を頂いたのですけれど、すいません、今さっきになってようやく注文しました。
そんなわけでちょっくら手抜きをして、ここは版元の宣伝文句でも。


民族と国家のはざまに生きたふたり!
戦意昂揚の国策映画で活躍した李香蘭。今も李香蘭の恋人と噂され、非業の死を遂げた台湾出身映画人・劉吶鴎。戦争に翻弄された映画人と、その活動の実態に迫る。



映画人として、また文学者として、近年その研究が着実に進んでいる劉吶鷗と、これもまた最近になって新しい回顧録の出版や伝記ドラマの放映が続いている李香蘭(山口淑子)。
まことにタイムリーな出版と言えそうです。

二、香港・日本映画交流史 アジア映画ネットワークのルーツを探る


邱淑婷著。東京大学出版会。7140円。

今朝の新聞広告で発見。
こちらも版元の宣伝文句を。


近年めざましい発展を見せるアジア映画のルーツは、第二次世界大戦期にまで遡る香港・日本の映画交流にあった。1950年代後半以降に日本の映画人が香港で多くの映画制作に携わった経緯など、広範な文献調査と当時の映画人への貴重なインタビューをもとに掘り起こされる,日中の映画人ネットワーク形成史。


昨年6月に香港・天地圖書から出た『港日電影關係 尋找亞洲電影網絡之源』の日本語版。
といっても、大元は東京大学に提出された博士論文なので、こっちの方がオリジナルと言えなくもないのですけれど。

中文版は60香港ドルと、1000円札1枚でお釣が来るとってもリーズナブルな価格だったのに対し、日本語版は7000円強という、学術書としてはお安いとはいえ、かなり対照的な価格設定でおます。
ま、そんなことを言って迷ってもいられないので、先ほどアマゾンでポチッとな!しました。

中文版巻末の附録「香港日本交流作品目録(1923-1973)」は非常に有用な作品リストですが、『無責任遊侠伝(澳門風雲)』が『日本一のホラ吹き男』になっていたり、陳寶珠の『紅葉戀』が抜けていたりと訂正すべき点がいくつか見られます。
今回の日本語版でそれらの点がクリアーされているかどうか、要チェックですわね(いじわるババアみたいだけど)。

それから邱氏のご研究で大変貴重なのは、もう1人の賀蘭山・柿田勇や井上梅次といった実際の映画人に聞き取り調査を行っている点で、中文版では残念なことにそれらの取材記事が活字化されることはなかったのですが、日本語版では、さあ、どうなっているか。
ぜひとも活字化してほしいのですけれど。

本が届くのを待ちましょう。