2008年5月28日水曜日

鬱陶しい季節はスッポンで乗り切れ!

〔ちょっとお耳に〕〔橘ますみ〕
 
乳首の隠し方がオサレですわね。

どうも。
トド@さよなら、ささやき女将です。


ここのところ、うちの婆さんのせん妄、幻視、幻覚がひどく、連日疲弊しております。
なんぜ見えないものが見えてしまいますから、相手をするのも大変です。
だいぶ慣れてはきましたが、夜中に騒ぎ出すので睡眠不足になるのが辛いですわ。

で。
今日はてきとーに告知でも。

来月、ディスカバリーチャンネルで「中国映画の父 黎民偉の生涯」が放映されます。
放映スケジュールは下記の通り。

6月5日 (木)20:00~21:00、6月6日 (金)3:00~4:00、6月6日 (金)16:00~17:00
6月9日 (月)12:00~13:00、6月12日 (木)10:00~11:00

この作品、実は過去に放映済みなのですが、未見の方は要チェックであります。
かくいうせんきちもまだ観たことがありませんので、この機会に録画しようと思っております。

しかし、黎民偉といえば「香港映画の父」だと思っていましたけど、ここでは「中国映画の父」と、一気に大陸全土をカバーしてますわね。
大きく出たな。

そして、懲りずに今日も行くわよ!の橘ますみたん情報。

5月31日(土)から6月20日(金)まで、毎度おなじみシネマヴェーラ渋谷で開催される特集「最終凶器・鈴木則文の再降臨」にて、『シルクハットの大親分 ちょび髭の熊』が上映されます。
上映スケジュールは下記の通り。

6月14日(土)13:05~、16:50~(『パンツの穴』と2本立)
6月17日(火)12:40~、16:00~、19:20~(『兄弟仁義 逆縁の盃』と2本立)

不詳せんきち、火曜日は毎週都合が悪いので、土曜日に何とか馳せ参じるつもりでおります。

それから、せんきちの大好きな『温泉スッポン芸者』と『現代ポルノ伝 先天性淫婦』も上映されるので、これも楽しみです。
特に、『温泉スッポン芸者』は今回DVD化が見送りになってしまい、ひじょーに残念な思いをしているところでしたので、婆さんを置き去りにしてでも(ウソウソ)ぜひぜひ伺いたいです。
『ハレンチ』に出てくる歩道橋と『温泉スッポン芸者』に出てくる歩道橋が同じ場所なのか、きちんと確認したいとも思いますし。

ということで、寝不足用心ですわよ、皆様。

付記:27日(火)、宋存壽監督がお亡くなりになりました。日本では1999年の東京国際映画祭の折に特集が組まれ、『母親三十歳』や『窗外』等が上映されましたが、残念ながら國聯時代の代表作である『破曉時分』は紹介されることがありませんでした。合掌。

2008年5月23日金曜日

Adventures in the NPM (國寶總動員)

〔えいが〕


2007年、台湾(国立故宮博物院、太極)。

どうも。
トド@ボケボケ婆さんと格闘中です。

阿妹の舞台も昨日の名古屋・御園座千秋楽で無事全ての日程を終了、せんきちの夢の日々も終わりを告げました。

名古屋市営地下鉄・伏見駅で激写!

しばらくは、この余韻を反芻しながら生きていくことにします。

で、本題。

台湾の故宮博物院がアニメ製作会社・太極と共同制作した3Dアニメ
今年の「東京国際アニメフェア2008 アニメアワード」公募部門でグランプリを受賞、先日、東京MXTVで全編(日本語版)放映されたので、メモ程度の感想でも。

詳しいストーリーはこちらをご参照いただくとして、アニメーションといった親しみやすい形で故宮の文物について知ってもらおうという試みは、おそらく、博物院の全面リニューアルを手がけ、日本のメディアでも再三取り上げられた名物女性館長・林曼麗氏の主導によるものと思われますが、その林氏も総統交代と共にお役御免だそうで、諸行無常とは言え、なかなか厳しいものがありますね。

主人公の男の子(嬰児枕)は実物よりもぐっとアニメ向きの顔に230%デフォルメされていますが、彼が長い間離れ離れになっていた兄弟(もう1つの嬰児枕)と再会する件では、故宮博物院の文物がいかにして台湾へ運ばれたのか、その苦難の道のりをさりげなく説明していて、子供にも収蔵品の由来がわかるような仕掛になっています。

ただ、この間の壁抜け映画(『壁を抜ける少年(穿牆人)』)でもそうでしたけれど、ストーリーの鍵を握るのはいつも白菜(翠玉白菜)。
肉(肉形石)好き動物せんきち君としては、いささか不満が残ります。
いっそのこと、育ち盛りで食いしん坊の男の子が白菜と肉を食べてしまい、慌てた皆が男の子にグリセリン注射を施して体内からブツを摘出、国宝総動員で文化財再生を試みる、とかいう風にでもしてほしかったんですが、それだと、

スカトロ映画

になっちまいますわね。

失礼しますた。

2008年5月19日月曜日

純愛 (Young Lovers)

〔えいが〕

こちらはオリジナル
君たちは、やらずに死ねるか?

1978年、香港(邵氏)。帯盛迪彦(林美年)監督。爾冬陞、余安安、艾飛、林伊娃主演。

どうも。
トド@365日五月病です。
さっそく本題に入ります。

帯盛迪彦監督が邵氏に招かれてメガホンをとった作品(製作年はDVDのパッケージの記載による。香港での公開は1979年)。オリジナルは、帯盛監督が1971年に大映で撮った『高校生心中 純愛』。『邵氏電影初探』(2003年、香港電影資料館)巻末のリストにある『色慾與純情』が本作に当たり、リストでは台湾でのタイトルが『純愛』ということになっています。
また、監督の名義は「林美年」と変名が用いられていますが、これは1960年代~70年代初頭の邵氏における日本人監督の変名の習慣を踏襲したというよりは、当時、台湾で日本映画が禁映だったことに対する配慮ではないかと考えられます(たしか、日本以外の映画であっても、監督や主演が日本人であれば日本映画と同等に看做す、とかいう国府の方針があったような、なかったような)。ただし、撮影を担当した中川健一(後に呉宇森監督の『ソルジャー・ドッグス(黄昏戦士・英雄無涙)』の撮影指導を担当)は、本名のままでした。

大映版で篠田三郎と関根恵子(高橋恵子)が演じた主人公を、邵氏版では爾冬陞と余安安がそれぞれ演じていますが、大映版と邵氏版との間には、気付いただけでも下記のような大きな違いが見られます。

・学生運動に身を投じていた篠田の兄は、刑事である父親から仲間を売ることを求められ、口論の末にはずみで父親を殺してしまい、母親は心労のあまり自殺する(大映版)。→母親は既になく、病弱な父親は働くことが出来ないため、爾の兄が働きながら学生を続けて一家の経済を支えていたが、ある日、家に賊が侵入(兄の働く会社の鍵を奪い、盗みを働こうとした)、兄は父親を助けるために賊を殺してしまう。父親はこの後病死。(邵氏版)。
・関根の父は参議院選挙出馬を目論んでいる(大映版)。→もちろん(?)なし(邵氏版)。
・兄の裁判費用を稼ぐため篠田は必死で働く(大映版)。→爾はレストランでウェイターとして働くが、客と喧嘩して退職。しかし、このとき知り合った年上女性(林伊娃)の家でお抱え運転手兼お庭番として住み込みで働くことになり、最終的にはこの女性と肉体関係を持つに至る(邵氏版)。
・両親の納骨のため長野に向かう篠田を関根が追い、2人は「兄妹」と偽って長野で同棲、篠田はパン工場、関根はスーパーで働く(大映版)。→余安安を襲うチンピラから彼女を救おうとしてチンピラを刺してしまった爾は、知人を頼ってランタオ島へ逃亡。余もその後を追い、2人は島で農業に従事しながら「兄妹」として暮らす(邵氏版)。
・関根の結婚相手にと望まれた若倉慶は、母親同士が友人で、どちらの家族からも歓迎された縁談であった(大映版)。→余の結婚相手(艾飛)はバカ男で、余の父親はやっかい払いのために2人を結婚させようとする。おまけに艾飛はひどい遊び人で、余の父親の金目当てに結婚しようとしていた(邵氏版)。
・関根は走行する自動車の中で若倉と格闘の末、誤って若倉を死に追いやってしまう。逃亡の果てに関根は篠田を訪ね、共に死ぬことを決意した2人はついに結ばれる(大映版)。→艾飛を殺してしまうのは大映版と同じだが、爾も例のチンピラを結局は殺してしまい、2人とも殺人者となった末に爾はチンピラに刺された傷がもとで死亡、余は彼の後を追って手首を切って自殺。ついに2人は肉体的に結ばれることはなかった(邵氏版)。

大映版の篠田三郎は勉強もスポーツもよくできる真面目な優等生ですが、家庭の不幸からズンドコ、もとい、どん底生活に突入、それでもせっせと働きながらけなげに関根との愛を貫こうとします。
しかし、邵氏版の爾冬陞はそれほど働き者でもなく、「兄妹でいよう」と誓ったはずの余安安に迫っては拒まれ、ついには年上女性の誘惑に負けて童貞バイバイしてしまうという、さして同情の余地もない青年です。
香港における本作のタイトル(色慾與純情)も、こういった設定にもとづくものなのでしょうが、何も知らずに一途に爾冬陞を慕い、彼の後を追って死ぬ余安安が哀れ、というか、浮かばれません。もしも爾が年上女性と関係していたことを知っていたら、彼女も素直に後追いなどしなかったことでしょう。
何ゆえにこんな設定にしたのか、理解に苦しみます。
やはりここは素直に、2人の純愛にのみスポットを当てるべきだったでしょう。

さらに、大映版の尊属殺人が、邵氏版では父親をかばって賊を殺すという親孝行殺人に180度転換している点は、中華圏の倫理観に合わせたためと解釈できるものの、大映版での「被害者の家族でもあり加害者の家族でもある」という篠田の複雑な立場が、邵氏版ではそっくり抜け落ちてしまいました。

いずれにしても、大映版にあった政治的、思想的な背景(学生運動、過激派狩り、選挙、利権)を邵氏版においてはきれいさっぱり消去した代わりに、年上女性との肉体的な愛(ヘアヌード満載!)と同級生との精神的な愛の間で揺れる青年という構図(それゆえ、爾冬陞と余安安は最後まで「兄妹」のまま)にしたのだと考えられますが、そのせいで主人公2人の純粋でまっすぐな愛情がほとんど見えなくなってしまったのは、いかにも惜しまれるところです。

それに何よりも、関根恵子の

セーラー服

と、

おさな妻フェロモン

の前には、さしもの余安安も顔色なしでしたわ(可愛かったけどね、それなりに)。

いやはや、残念でした。

付記:チンピラに襲われる余安安を助けようとして誤ってそのチンピラを刺してしまう、という展開は、同じ身分違いの純愛映画『泥だらけの純情』あたりからの引用かも知れません、もしかしたら。

2008年5月11日日曜日

超極私的ロケ地めぐり in 京都 七

〔橘ますみ〕

せんきち的には、こっちの方が「世界遺産」。

どうも。
トド@関西に行ってきますたです。

というわけで、約2年半ぶりに帰ってきますた『異常性愛記録 ハレンチ』ロケ地めぐり(前回はこちら)。
吉岡(吉田輝雄)が住んでいた「衣笠マンション」の場所をミクシィで教えてもらったので、さっそく探訪してまいりますた。

衣笠マンションは、世界遺産である某有名寺院のそばにひっそりと建っていました。
さすがは千年の都・京都、40年前に建てられた(推定)建築基準法的には既に危ない鉄筋コンクリートであろう建築物も、いまだ現役で活躍中。

こちらは全景。
この道で若杉英二が飛び出しナイフを
ちらつかせてますみたんを脅したのね。


マンション玄関。
看板こそ新しくなっていますが、
その他は映画のまんま。


階段を上って・・・・


203号室が吉岡の住んでいた部屋(2階向かって右)。


あいかわらず玄関扉はガラス戸。
無防備なのか、治安がいいのか。
吉田輝雄と若杉英二が死闘(?)を繰り広げた通路も健在。

興味のある方は、寺めぐりのついでに探してみてね!

(1人でコウフンして終了)

2008年5月4日日曜日

軍事法廷と刑務所 (軍法局)

〔えいが〕


2008年、台湾。陳界仁監督。

どうも。
トド@中期中年者です。
後期高齢者であるところのうちの婆さんのわがまま三昧に疲れ果てておりました。
ボケても困るけど、言うこと聞かないのも困りますわ。

さて、まずは告知でも。
5月17日(土)から23日(金)まで吉祥寺のバウスシアターで開催される「爆音映画祭」にて、『花様年華』が上映されます。
「爆音映画祭」とは「通常の映画用の音響セッティングではなく、音楽ライヴ用の音響セッティングをフルに使い、ボリュームも限界まで上げて、大音響の中で映画を見る・聴く試みです。一般の劇場上映では聴くことのできない迫力と、その爆音によって視覚までが変容して映画そのものも違って見えるトリップ感覚、そしてまた、大音響でなければ聞こえてこない幽かな音を聴くという、大胆かつ繊細な上映イヴェントです」(サイトより)とのことで、はてさてどんな新しい世界が広がるのか、ご興味のある方はぜひ足をお運び下さい。

ということで、本題。
イメージフォーラム・フェスティバル2008」にて鑑賞しますた。
だだっ広いパークタワーホールに30人足らずの観客、というきわめてお寒い中での上映でおました。
公式サイトにある作品紹介から、あたしゃてっきりドキュメンタリーかと思って観に行ったんですけど、違いますたわ。
とんだ勘違いでした。
監督である陳界仁(チェン・ジエレン)は、台湾の現代美術を代表する人物らしいんですが、すいません、不肖せんきち、今回の上映で初めてその名を知りました。

映画の内容はというと・・・・。

かつて軍法局があったという廃墟の中に、原住民や外国人労働者、外国人花嫁、失業者たちの手でダンボールハウスに毛の生えたような掘っ立て小屋が運び込まれ、破れた新聞紙の余白に彼等が自分たちの身の上を書いて、今日の台湾における彼等の抑圧された状況が明らかにされていきます。

自由にものが言えなかった時代の「人権」と、まがりなりにも民主化を遂げた後の時代の「人権」とを同列に扱うことが果たして妥当かどうか、という問題はあるにせよ、漢族の原住民蔑視(というより「無視」と言った方がいいかも)は相変らずだし、大陸や東南アジアから来た花嫁も差別されているようだし、現代の台湾において全ての人々が自由と平等を享受できているか、と言えば、たしかに疑問は残ります。
でもさあ、これって日本の問題でもあるよね、うん。

とまあ、観終わってしばらく経ってから考えると「なるほどなあ」と思える作品でしたが、観ている当座はひたすら、

睡魔との闘い

ですた。

眠かったっす・・・・。

ちなみに、作品のヒントになった軍法局は、現在、「台湾人権景美園区」として一般公開中です。
せんきちも、次回台湾へ行くさいには見学してみたいと思っております。

付記:ナレーションの代わりに解説の字幕が出てくるんですけど、これがなんとスペイン語。「なんでかしらん」と思っていたら、スペインの美術館(レイナ・ソフィア国立美術館。"Museo Nacional Centro de Aret Reina Sofia")からの委託作品だったのでした。
ふーん。