1973年、台湾(統華)。丁強、陽明(祭揚名)監督。歐威、陳慧美、王冰冰、孫越主演。
どうも。トドです。
相変らず寝不足です。
少し前に観た映画のメモでも。
えー、この映画、VCDの発売元(海岸)は『從地獄來的女人(Woman From Hell)』としていますが、本編を観ますとタイトル部分が欠損しております。
『もっと楽しい台湾映画 1』(1999年、賓陽舎)所収の「蔡揚名インタビュー」によれば、『從地獄來的女人』は1968年の台湾語映画で、蔡監督のデビュー作らしいのですが、VCDに収められた作品は、
1、北京語映画である。
2、登場人物のファッション等が、1960年代後半というよりは1970年代前半のそれに近い。
3、ヒロインの名前が白如霜である。
といった特徴を持ち、これらのことから見て、この映画は『從地獄來的女人』ではなく、1973年の『神秘女郎白如霜』と考えられます。
ちなみに、『從地獄來的女人』は台灣電影筆記にある蔡監督の作品年表には記載がなく、『悲情台語片』(1994年、萬泉図書)や『春花夢露 正宗台語電影興衰録』(1999年、博揚文化事業有限公司)、『台灣電影百年史話』(2004年、中華影評人協會・視覺印象廣告事業有限公司)等に掲載の台湾語映画作品リストにも未収録で、どうやら何らかの理由でお蔵入りになった模様です。
ただ、本作の劇中でヒロインは「わたしは地獄から来た女」という台詞を何度となく口にしており、そうなると、この映画はお蔵入りしてしまった(らしい)『從地獄來的女人』の北京語版リメイクなのかも知れません。
蔡監督は台湾語映画時代の名前をそのまま使用。
これは邵氏との契約のトラブルにより、
この時期蔡揚名と名乗れなかったことが
関係しているみたい。
で、映画の内容はというと、母親を惨殺され、父親も非業の死を遂げるという不幸を絵に描いたような少女・白如霜が復讐鬼と化し、自分たち家族を陥れた男たちを殺していくものの、最後に出会った復讐の対象が自分の実の父親だった、というお話で、これだけ聞くとなんだか面白そうなんですが、実際の作品はと言えば、大蔵新東宝も真っ青のかなーり大雑把な仕上がりです。
如霜の母ちゃんである玉蘭は、付き合っていた男の子供を身ごもりますがあっさり捨てられ、世間体を気にした親が無理やり別の男と結婚させちゃったばっかりにやけくそ状態に突入、家庭を顧みず男漁りに励み、しまいには男どころか、
挙句の果てには家に放火されて焼き殺されちゃいます。
如霜の父親はなさぬ仲の娘に優しく接しますが、妻には冷たくあしらわれた末に病弱が祟って敢え無く死亡、如霜は放火された家にいたものの「死んだはずだよお富さん」よろしく九死に一生を得て、母親と関係を持った男たちに色仕掛けで近づき、次々と血祭りにあげていくのでありました。
でもさあ、母ちゃんが男漁りするのは母ちゃんの勝手な都合であって、男のせいだけじゃないと思うんだけど、如霜ちゃんの考えでは「私たち家族を不幸にした人間=母親と関係を持った男たち」になるらしいんだねえ。
そのあたり、ちょっと解せない。
それから、早い段階で白如霜が犯人だと見抜いて事情聴取までしておきながら、あっさり釈放してその後の連続殺人をまんまと許しちゃう歐威扮する刑事が、たまらなく間抜けだわ。
ま、捕まえちゃったらこの映画が成り立たなくなるんだけどさ。
というわけで、内容的にはスカスカな映画でしたが、この時期の台湾の北京語映画としては画期的(?)な、
(一部自粛しております)
場面等もあり、それなりにエログロ色の強い映画でおました。
おそらくは、当時の日本映画や香港映画の強い影響の下にできた作品なのでしょうが、別の見方をすれば「早過ぎた台湾黒電影」だとも考えられ、台湾裏電影史(そんなのあるのか知らんけど)を考察する上では外せない作品だと言えるでしょう。
でも、やる前に父子だと気付く展開はお行儀がよすぎだな。
どうせならやってから気付いて欲しかったっす(おいおい)。
0 件のコメント:
コメントを投稿