2005年4月23日土曜日

愛情的代價 (The Price of Love)

〔えいが〕



1970年、香港(邵氏)。呉家驤監督。秦萍、泰迪羅賓(關維鵬)主演。

泰迪羅賓(テディ・ロビン)の映画デビュー作
監督は、名バイプレイヤーとしても知られた呉家驤。
あらすじは、下記の通り。

両親を失い、博打好きで暴力を振るう義母と酒浸りの祖父と暮らす盲目の少女・瑞芳(秦萍)は、隣家の少年・福根と共に海岸へ行き、波の音を聞くことだけが日々の楽しみでした。
そんなある日、瑞芳は1人の音楽を愛する青年と知り合います。
青年の名は悟生(泰迪羅賓)。
富裕な家に生まれながら、身体にハンディキャップのある彼は、そのことで強いコンプレックスを抱き、人目を避けて浜辺の邸宅で1人暮らしを続けていたのでした。
辛い境遇にある2人はすぐに親しくなりますが、義母は遊ぶ金欲しさに瑞芳を売り飛ばしてしまいます。
福根の機転で難を逃れた瑞芳は悟生の許へ身を寄せ、悟生は幼児期に病気で失明した彼女の視力が元通りになるよう奔走します。
やがて手術は成功、瑞芳の目は光を取り戻しますが、悟生はすでに自宅を引き払った後でした・・・・。

あらすじを見てもわかるとおり、ベースとなっているのはチャップリンの『街の灯』です。
チャップリンのそれも決してハッピーエンドとはいえない幕切れでしたが、この映画のラストもアンハッピーなものに終わっています。
その理由が悟生の抱える身体的障害にあるという点で、今こういうオチにしたら関連団体から猛抗議がくるのではないかと、映画を観ながら危惧してしまいました。
ですが、この作品があまりにも極端な例を扱っているだけで、じっさい、「人は見た目のよしあしや金のあるなしで差別されるものではなく、みな平等なのだ」とどんなにきれいごとを言ってみたところで、恋愛の絶対条件の一つに容姿の美醜があることは紛れもない事実です。
本作のスタッフがそこまで意図していたかどうかは不明ですが、安易なヒューマニズムを拒否していることは、むしろ適切だったと言えるのかもしれません。
ただ、泰迪羅賓は本作で自分自身の障害をそのまま反映した役柄を演じており、彼自身がこの結末に関してどう考えていたのか、それを知りたい気がしました。

ところで、ヒロイン(『香港ノクターン』で3女を演じていた秦萍〔チン・ピン〕)の隣家の少年を演じていた子役の男の子が、非常に達者な演技を見せていました。



表情を見るうちになんとなく孟海(マン・ホイ)に似ているような気がしてきたのですが、孟海というクレジットはありませんでした。
どなたか、彼をご存知ありませんか?

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