2007年5月28日月曜日

あやしいトップモデル

〔ちょっとお耳に〕

お腹が空いているわけではありません。

ご無沙汰しております。

先週の金曜、左眼の上まぶたがお岩さん(累でも可)並みに腫れ上がり、泡食って眼科へ行きましたが、特に重篤な病ではなく、皮膚が炎症を起こしたのみとの由。
貰った軟膏を塗っているうちにだいぶよくなりました。

で。

うれしいお知らせと悲しいお知らせを一つずつ。

まずはうれしいお知らせ。
某ミクシィで得た情報ですが、『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』のアメリカ盤DVDがこの夏いよいよリリースされる模様です(日本語のお買い物サイトはこちら)。
さすがは自由の国アメリカ(なのか?)。
日本が二の足踏んでる間に、東映の許可を取ってとっととDVD化を決めちまいました。

そして悲しいお知らせ。
台北駅前地下のレトロミュージアム「台灣故事館」が、経営不振のため閉館してしまいました。

この看板ともお別れ。


淋しいねえ。

これから台北に行かれる方、ご注意下さい。

さて、いよいよ本題。
前回の記事で『花團錦簇』の話が出たついでに、劇中に登場するあやしい日本人モデルのご紹介でも。

件の「自称・日本のトップモデル」さん(氏名不詳。演じているのは丁寧)、陳厚演じるデザイナーの名声を慕いはるばる香港へやって来たらしいのですが、初登場時のいでたちはというと・・・・


お約束の和服姿なれど、なんなんだ、そのでかい簪は!

さゆりかよ!

と、一抹の危惧を感じたせんきちでありましたが、次の登場場面では、


ごくふつーの和服姿で一安心。
着付けもちゃんとしていました。

陳厚にぜひ自分の服をデザインして欲しいと熱望する彼女、宿泊先である東宝映画でおなじみ國賓酒店の自室に陳厚を呼び、打ち合わせと相成ります。

さすがは日本人。
とりあえずビール、じゃなくて、お辞儀。


言葉の通じない部分は筆談でカバー。
漢字の国で良かったね。


しかし、彼女の書いた文字を見て唖然とする陳厚。

そこには・・・・

謎の日本語が!

現代の精神調劑?

なんすか、それ?(とりあえずは必須ね)

このあとおもむろに真っ赤なコスチュームに着替えた彼女、陳厚の前でエッチな美容体操を披露して彼(妻あり)を誘惑、

大和撫子神話崩壊!

たまげた陳厚は、這う這うの態で逃げ帰ります。

しかし、その後。


彼女は何事も無かったかのように、陳厚が所属する店のファッションショーに出演するのでありました。

あんた、いったい何がしたかったんだよ?

(おしまい)

2007年5月19日土曜日

村木忍、中国芸術と東方電影について語る

〔ちょっとお耳に〕

『花團錦簇』より。
まるっきり東宝ミュージカル映画なセット。

久々の古新聞ネタですが、その前にお知らせ。

5月10日に発売されるはずだった『異國情鴛』のDVDですが、延期になった模様です。
いつの間にかリストから外れていました。

ほんとに出るの?

てなわけで、本題。
「勝手に國聯特集」関連企画(こじつけ)。

1963年12月31日付『聯合報』に「日籍佈景設計師村木忍談中國藝術和東方電影」なる記事があり、それによれば、國聯の映画『一代妖姫』の美術を担当するため李翰祥監督の招きで11月20日から台湾に来ていた村木忍が昨日帰国、村木は来年(1964年)1月下旬に再び来台して今度は国際映画祭に出品する予定の國聯の新作映画の美術を担当する、とありました。

が。

今日残っている國聯の作品リストを見ても『一代妖姫』というタイトルの作品は見当たりませんし、1964年1月の『聯合報』には村木忍来台の記事を見いだすことはできませんでした。

これはいったい・・・・?

せんきちが思うに、『梁山伯與祝英台』ではわざわざ日本で「化蝶」を撮ったにも関わらず、仕上がりが気に入らなかったのかばっさりカットしちゃった李監督のこと、今回の件でもいざ撮影の段になって「やーめた!」と放り出してそのままお蔵入りになったのではないかと。

ちなみに、記事によると『一代妖姫』は中国上古時代の物語で、国際映画祭に出品予定の作品(タイトル不詳)は『聊斎志異』に材を取った作品だったそうです。

と、まあ、そんな具合で製作されることのなかった(らしい)村木忍の國聯映画でしたが、この記事の中には「彼女は大学時代に中国絵画に興味を持ち、香港の邵氏に招かれて『千嬌百媚』の美術を担当したさいには、劇中劇の『孟姜女』において中国の山水画を応用したセットをデザインした」との記述があって、以前拙ブログで書いた莫蘭詩が村木忍の変名であり、『千嬌百媚』の他にも『花團錦簇』と『萬花迎春』の美術を受け持っていたことがこれではっきりといたしました。



どちらも『千嬌百媚』より。
『孟姜女』の場面。

さらに、記事中において村木忍は李監督の『倩女幽魂』を絶賛、溝口健二監督と稲垣浩監督もこの映画を観て藤本真澄に「たいへん素晴らしい映画だ」と語っていたという話をしていますが、そもそも1956年に亡くなった溝口監督が『倩女幽魂』(1960年)を観ることは不可能でして、これがもし本当ならば、

まさにゴースト!

なエピソードになってしまいます。

おそらく、溝口監督が観たのは『倩女幽魂』と同じく『聊斎志異』から材を取った陶秦監督の『人鬼戀』だったのではないかと思います。
陶秦監督は『楊貴妃』の脚本も担当していますし、一般公開されることはなかったものの『人鬼戀』の日本における上映権は大映が持っていたそうですので。

以上、なかなか興味深い内容の記事でありましたが、『一代妖姫』の美術がどのようなものだったのか、製作されなかったのが非常に惜しまれますです。

(無理やりなオチで強制終了)

2007年5月13日日曜日

しょーもない台湾ネタ2連発

〔ちょっとお耳に〕

こんなんで、東大生やってましたー?

最近お疲れ気味のせんきちです。
しょーもないネタでお茶を濁しますです。

その一 日本東京大学進学

先日、メインサイトの方に書いた柯俊雄のプロフィールをちょっと手直ししようと思い、いろいろお調べ物をしていたところ、立法院のサイトにある柯桑の紹介ページにこんな記述が!


学歴
高雄市立第二高等学校卒業
日本東京大学進学
香港聖約林書院進学
国立芸術専門学校

(当該サイトより。国立芸術専門学校は現在の台湾芸術大学)


ええーっ?

東京大学進学?

まじっすか?


だってもさ(「お姐ちゃん」シリーズの中島そのみ調)、柯桑の学歴、ここのサイトじゃ「中卒」になってるし、もう一つのサイトじゃ「高校に入ったけど喧嘩ばかりしていて、転校を重ねた末に2年で休学」って書いてあって、

東大のとの字もありませんよ。

それとも、ここで言う「進学」というのは、「東京見物のついでにキャンパスを散策したことがある」とか、「東京大学病院に入院あるいは通院したことがある」という意味なのでせうか

日本だったら今ごろ「学歴詐称か?」と大騒ぎになりそうなもんですが、特に誰も疑問に思わないあたり、なんだか大らかですわね、おほほ。

で。

柯桑の話題が出たついでに上映情報です。

京橋のフィルムセンターにて、柯桑が出演した今村昌平監督作品『女衒』が上映されます。
といっても、第1回目の上映(4月26日)は既に終了、残りの回は5月18日(金)午後7:00~と6月9日(土)午後1:00~の上映となります。
この映画、台湾(九份や基隆等。中影のスタジオも利用。但し劇中では香港)で撮影を行い、現地スタッフとして王童が協力しています。
なお、かつて邵氏からの誘いを断ったという黒木和雄監督の香港ロケ映画(って、それがメインじゃないんだけどさ)『とべない沈黙』も上映(5月23日〔水〕午後3:00~、6月8日〔金〕午後7:00~)。

この映画(今村監督が脚本を担当)が
日本で上映される日は来るのでせうか?



その二 まんげ

摘発必至(?)の店名。

お下劣なタイトルで恐縮ですが、ムダ毛研究家としては避けて通ることのできないネタだったもので。

少し前、近所のブックオフで購入した『プレイタウン台湾PART2』という1986年に出た台北のガイド本に載っていたお土産屋さんの中に、

まんげ荘

なるお店がありました。


ガイド本所収の紹介文に拠れば、


民族路は中山北路3段と交差しており、民族西路を淡水線の鉄道がまたいでいる。鉄道の踏切と承徳路の間に、おみやげ品なら何でもそろう包羅(Paul Art)の店がある。この店は"まんげ荘"という通称をもっていて、こちらの方が店名としては知られている。(略)
外貨交換の公認店でもあるので、安心して日本円での買物ができるのもうれしい。
とにかく、なんでもそろう便利な店である。


とあり、ひょっとして通常のお土産以外にも何か特別なお土産(どんな土産だよ)を売っているのではないか?とあらぬ想像をしたくなりますが、このお店、当時台湾観光協会が出していた公式ガイドブックにも掲載されているれっきとした普通の土産店なのでありました(現存はしていない模様)。

それにしても、保羅(Paul)が何ゆえにまんげ荘に変貌してしまったのか。

謎です。

2007年5月7日月曜日

薔薇の標的

〔えいが〕

でぃすかばー・じゃぱん

1972年、東京映画(配給・東宝)。西村潔監督。加山雄三、甄珍、岡田英次主演。

GWも終わりましたが、今度の夏休みには(もう先の話かよ)ここへ行ってみたいなあと思っているせんきちです。

というわけで、本題。
一応、放映予告をした手前、ごく簡単にさくっと感想文でも。

東宝ニューアクション(日活ニューアクションと間違えそうだ)系列に連なる1作ですが、とりあえず、

ガンマニア及び鉄分の濃い皆様

にはおすすめの映画と言ってよいかと存じます。
せんきちは鉄欠乏性貧血の気があるので、残念ながら今ひとつピンと来ませんでしたが。

前半の殺し屋養成編&殺しの実行編(ここでちょっこし香港ロケあり)の後、加山雄三と甄珍のSL求めて愛の逃避行という、愛情文芸映画も真っ青のロマンチックモードに突如路線変更、

雄三&甄珍の『遠くへ行きたい ~SL旅情編~』

に入ります。

鉄くずにされる無残なD51の姿に己の姿を重ね合わせる加山さんの孤独な心象風景が、その後の不幸な展開を予測させますが、そんなことよりはSLの走行音をオープンリールテープに録音するという、殺し屋らしからぬ加山さんの鉄分の濃さ(じっさい、鉄道模型オタクらしいですし)の方が深く印象に残りましたです(懐かしいねえ、デンスケ)。

ラストの岡田英次との対決は、「第四帝国を巡る攻防」云々よりも銃に魅せられた者同士の愛の交歓のように見えました。
特に、岡田英次は加山さんのことをほんとは愛していたんじゃないかしらん?

ところで、尤敏には劇中で主題歌を歌わせ(『香港の夜』『香港の星』)、張美瑤の『バンコックの夜』では『相思河畔』を使っていた東宝が、ここでは甄珍に『忘不了的你』を歌わせていました。

で。

甄珍扮する香港娘・李玲玲は、報道カメラマンだった兄をラオス戦線で失い、天涯孤独の身となったという設定だったのですが、これって、

『香港の夜』の宝田明

じゃないの!

そうか、宝田さんの妹だったのか(違うよ!)

付記:脚本の桂千穂は、その後テレビドラマ(『香港からの手紙』)でも香港を舞台にしています(こちらこちらこちらこちらこちらこちらを参照)。また、『昨夜星光』日本語版刊行に尽力したことも特筆すべきでしょう。


(於:チャンネルNECO)

2007年5月3日木曜日

アンドリュー兄弟

〔ちょっとお耳に〕

2月号で澳門、5月号で香港。アジアづいてます。

思いがけず失踪期間が長くなってしまいましたが、おかげさまで、どうにかこうにか宇宙の果てから帰還しました。
危うくブラックホールに呑み込まれるところでした。

さて。

先月の下旬に届いた、JCBカードの会員の中でもそのまたさらに登録制のJ-Basketメンバー向けの同名雑誌5月号の特集「雑貨天国香港でお買い物三昧」で、劉偉強監督の弟であるデザイナー・劉偉文氏が取り上げられていました。


兄貴絡みの話はほとんど抜き(プロフィールのところにちょこっとだけ出てくるのみ)で、デザイナーとしての彼のお仕事に全面的に昇天、もとい、焦点を絞った記事で、特に下の写真の書籍(『香港極品』)のことを写真入りで詳しく紹介しておりました。


『香港極品』の他にも、劉偉文氏のお仕事としてはLiving@hkなる雑貨や衣料品の系列がよく知られているようですが、調べてみたところ、ふむふむ、DFSなんかで扱っているのね、これ。

今度行ったら買ってみましょう。

ところでこの兄弟、2人とも英文名は「アンドリュー(Andrew)」。

ほれほれ、この通り。
なぜか漢字表記が「偉文」ではなく「偉民」になってるけど。
(広東語だと)発音が同じだから間違えちゃったんだろか。

紛らわしいことこの上ないざます。

ちなみに、こちらはアンドリュー星野さん

おまけ:先日、何気なく立ち寄った下北沢の古本屋さんで下記の本をついふらふらと購入。

コバルト文庫だよん。


ふさふさ。