2015年6月19日金曜日

へそ曲がりが観た『20歳よ、もう一度』

〔えいが〕〔尤敏〕


どうせなら、これを歌って欲しかったぜ !
家出ばあさんにぴったりwww

どうも。
トド@絶不調です。

さて、本日よりTOHOシネマズ日本橋等で公開の『20歳よ、もう一度(重返20岁)』。
わたすは勿論尤敏と歸亞蕾がお目当てで観に行ったのですけれど(歸亞蕾演じるおばあちゃん〔沈孟君〕が若返ってお手本にするのが尤敏のスタイル)、若い女性客が多いなと思ったら、完全なる韓流アイドル枠ですた。
CJエンタテインメントイッチョカミの中韓台合作映画ですからね。

で。

本作は、周知の通り韓国映画『怪しい彼女(수상한 그녀)』のリメイクなのですが、両者の比較に関してはcinetamaさんの「アジア映画巡礼」や紀平重成さんの「銀幕閑話」にお任せするとして、ここではへそ曲がりなせんきち君がこの映画を観て気がついたあれこれを、ちょいと書いておきたいと思います。

先ほども述べたように、20歳に若返った沈夢君おばあちゃん改め孟麗君おねえさんが美容室に行ってモデルチェンジ!のお手本にするのが、わたすが愛してやまない尤敏なのですが、

ヘアスタイルのお手本
として採用される写真がこちら!
 歸亞蕾のデビュー作の監督は、
尤敏とも数多くの共演作がある名優・王引。

似てる?

中国で人生を送るおばあちゃんが香港右派公司(尤敏は邵氏→電懋で活躍。右派って国府支持のことね。念のため)の女優をお手本にするなんて、普通に考えたらあり得ません。
さらに言えば、 鄧麗君の歌や(戦後香港の)國語時代曲を歌ったりする、なんてのもなんだか?なのですけれど、
クレジットはありませんでしたが、
この歌もちょこっと口ずさんでいました。
『ある恋の物語(Historia de un amor)』のカバー。
ここではないどこかで別の人生を送っていたとしたらこういう風になりたかった、という願望の現われとして考えればありえるかもなあと、好意的に解釈いたしました。
同様の指摘は中国公開時から既に。

とはいえ、 おばあちゃんの憧れの明星が香港(尤敏)や台湾(鄧麗君)、はたまたアメリカ(プレスリー)やイギリス(ビートルズ)というかつての敵尽くし(香港除く)とあっては、なんだか「手の込んだ共産党批判かよw」と思いたくもなりますけれど。
うちのプレスリー(貓王)×

ちなみに、おばあちゃんが夢中になっているテレビドラマが『還珠格格』というのも時代的に合わないですわな。
15年以上も前のドラマですし。
ただ、映画のストーリーとは微妙にリンクしています(歸亞蕾のデビュー作もこのドラマも原作者が同じ、という小ネタもw)。
中国の70歳のおばあちゃんといえば、普通に考えれば「たしかに大変な人生だったよね。反右派闘争に大躍進、おまけに文化大革命」となるはずなのですが、この映画ではそういった中国現代史を彩る共産党の黒歴史は封印。
おばあちゃんが若い頃苦労したのは、夫に先立たれて女手一つで病弱な息子を育てるためがむしゃらに働いたからという、どこの誰が観ても比較的容易に感情移入できる理由に単純化してあります。
それに、使用人(李大海。別の女性と結婚したものの、今でもおばあちゃんに 淡い思いを寄せ続けています)がいるような裕福な家庭で育ったとのことですので、共産中国ではきっとその出身成分のせいで迫害を受けたに相違ない…のですけれど、もちろんそんなシビアーな問題などなかった話に(そもそも共産中国で家の使用人とかって、あり得るのか?)。

しかし、それでいて、李大海に喧嘩を売ってきた酔っ払いの青年に向かっておばあちゃんが「彼(大海)は軍の英雄だ。お前もビンを割るその元気で国を守れ!」とか言って説教する件、ああやって愛国精神を説くあたりは、なかなか抜け目がございません。
とまあ、いろいろ毒づいてしまいましたが、あまり深く考えず、笑って泣ける(わたすは泣かないわ) 娯楽映画として観た場合にはそれなりに楽しめますた。
それに何より、陳正道監督のビジネス感覚ってすごいわ。

ま、わたす個人としては「果たせなかった夢だった革命バレエ『紅色娘子軍』の主演を目指す!」とかいう設定でもよかったのですけれど。
あ、それじゃ『妻への家路(归来)』だよw
(おしまい)
おまけ:青春写真館の店頭に飾ってあった写真の中に香淳皇后のお写真があったような……。

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