2009年1月9日金曜日

12蓮花 (12Lotus)

〔えいが〕

『881』のDVDも買いますた。

2008年、シンガポール。陳子謙監督。劉玲玲、王欣、戚玉武主演。

どうも。
トド@やっぱり痩せることにしたです。

というわけで、今回の旅の3番目の欲望報告。

昨年8月に東京で公開された『881 歌え!パパイヤ(881)』の陳子謙監督の新作(ちょうど同じ時期にシンガポールで公開されていますた)。
福建歌謡『十二蓮花』をモチーフに、ある女(劉蓮花〔李寶恩→王欣→劉玲玲〕)の半生を描いた作品。

歌仔戯劇団の楽師を父に持ち、舞台を遊び場にして育った少女・蓮花(李寶恩)は、父から「そろそろお前も金を稼げ」と言われ、「歌手になりたい」「『十二蓮花』なら歌えるよ」と答えます。
「『十二蓮花』は大人の歌だ。歌詞の意味を知ってるのか?」と問う父に、蓮花は「大人になったらわかるもーん」とノー天気に答えるものの、その後、この言葉が彼女の人生に重くのしかかることになるのでありました。
ラストで、この父とのやり取りが再び繰り返されるのですが、なんともやり切れない気分にさせられます。
日本なら、さしづめ、

娘「歌手になりたい。『怨み節』なら歌えるよ」
父「お前、歌詞の意味知っとるのけ?」
娘「大人になったらわかるづら」

といった感じでしょうか。

じんじんさせて』ならよかったのにね。

自分を食い物にし続けた父があっけなく死んで開放感に浸るかと思いきや、むしろ喪失感にさいなまれ、やがては愛した男にも捨てられて精神を病み、ひきこもり生活に突入、その間かいがいしく面倒をみてくれた唯一の理解者・小飛侠(若き日の蓮花がかわいがっていた元ちびっこ歌手)には優しくするどころか三行半をつきつけてしまう、どうしようもない女を劉玲玲が全身で演じきっています。
これはまぎれもなく彼女の映画です。
彼女の持つおかしみや滑稽味も、ここでは女の哀しさや愚かさに転化して観る者に迫ります。

ただ、内容が内容(『十二蓮花』の歌詞を地で行く展開)だけに、シンガポールでは『881』ほどの興行成績をあげることはできず、同時期に上映された梁智強監督の『錢不夠用2(Money No Enough 2)』にも水をあけられていた模様です。
日本でも一般公開は・・・・たぶん・・・・無理・・・・じゃないかと思いますが、映画祭ではきっと上映されるでしょう。

ところで。

蓮花の少女時代を演じていた李寶恩ちゃん(どことなく愛子さま似)、14歳ぐらいかと思ったら、こちらのサイトによれば17歳との由。
マレーシア・ジョホール州出身、去年デビューCDを出したばかりの新進の歌い手さんですが、映画の中での可憐であどけないイメージとは裏腹に、実際の彼女はパンチの利いた歌声が魅力的な女性ですた。
せんきち的にかなり注目。

夜桜お七』を歌わせてみたい。

あ、そうそう、孫燕姿は歌仔戯劇団の女優さん役で、冒頭にちょこっとだけ登場。
でも、彼女の台詞もかなり罪作りな台詞なんだよなあ、その後の蓮花の運命を考えると。

劉玲玲のCD(福建歌謡不朽金曲vol.1~vol.5)。
『十二蓮花』はvol.3の1曲目に収録。
台語歌謡のスーパースタンダード『賣肉粽』も
vol.3に入っています。

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