2006年9月29日金曜日

感恩歳月 (Honor Thy Father)

〔えいが〕


1989年、台湾(中影)。何平監督。午馬、鈴鹿景子(楊貴媚〔声の吹替〕)、馬景濤、石雋主演。

「王貞治監督病気平癒祈念企画」ですが、その前に少し別の話を。

先日亡くなった丹波哲郎、香港でも大きな扱いの記事が出ましたが、残念ながら『ならず者(雙雄喋血記)』に関する言及は無し。

『水滸伝(水滸傳)』の丹波さん。

この映画を観て『東京ギャング対香港ギャング』を観て『戦後秘話 宝石略奪』を観ると、丹波さんはマカオでひょっこり生きているのじゃないかという気がしてきます。

と、そんなおり、『ならず者』が上映されます(新文芸坐の「映画作法―澤井信一郎の世界」にて。中学生の頃、澤井監督にサイン貰ったことがあります)。
10月5日(木)平日1日限りの上映ですが、最終が午後8時50分からなので何とかその回だけでも観られないかなあと思っております。
ちなみに、明後日は『華麗なる追跡』と『0課の女 赤い手錠』の2本立。
これも見逃せません。

といったところで、本題。

1989年、台湾で製作された王監督の伝記映画(門間貴志氏の『アジア映画にみる日本1 中国・香港・台湾編』に詳しい解説があります)。
原作は、1984年に出版された王監督の母・登美さんの著書『ありがとうの歳月を生きて』。
王監督の父・仕福さんを午馬、母を鈴鹿景子、王さんの役は馬景濤が演じており、京都でロケーションが行われています。
脚本は、監督である何平と呉念眞の共同執筆。

実は1960年代半ばにも、王さんの後援会幹部である在日華僑の大物・劉天禄(東映の台湾における代理店・永昌のオーナー)が王さんの伝記映画を台湾で製作しようと計画、李翰祥監督に話を持っていったりしたのですが、結局製作されることはありませんでした。

映画は1986年の旧正月、王さんの回想という形で、自らの生い立ちから一本足打法の完成までを辿っていますが、物語の中心をなすのは常に王さんを見守り励ます家族と近所の人々との絆、そして荒川コーチとの師弟愛であり、とりわけ両親が王さんにそそぐ深い愛情を丹念に描いています。

草野球のヒーローだった王さんの試合を偶然見ていた荒川博(映画では高名なプロ野球コーチとなっていましたが、正確には当時はまだ現役選手)が、右打ちから左打ちにすることをアドバイスした話や、選抜大会で指に怪我をした王さんを父が中国の民間療法で治療した話、日本国籍でなかったために国体に出られなかった話、また、一本足打法を生み出すために行った日本刀を用いた特訓&畳の上での素振りで畳が擦り切れてしまった話・・・・等々、王さんのファンならば皆知っている超有名エピソード(せんきちも勿論知っております。子供の頃、大ファンでした)もきちんと登場しますが、父が中華人民共和国籍だったのに対し、父以外の家族は皆中華民国籍だったことや、仕福さんが1人だけで足しげく生まれ故郷の中国大陸へ里帰りしていたこと等は一切出てきません。
が、こうした複雑な事情は抜きにして、あくまでも王さんと彼を巡る人々の心温まる「ちょっといい話」にしている点は、ある意味無難と言えるのかもしれません。

王さんの父は周囲の日本人ときわめて良好な関係を築き(戦時中、罵倒される場面がありますが)、日本人も彼とその家族を支え続けますが、仕福さんは常日頃から日本人の信頼を得るために並々ならぬ努力をしていたらしいので、逆にそうまでしないと平穏無事に暮らせないのかなあとも思ってしまいますた。

終戦直後の東京ということで、王さんの実家である五十番(中華料理店)のかいわいは京都で撮影されていますが、映画の中で五十番のある場所は二年坂の角。
どこが墨田区なんだか・・・・。

一本足打法の生みの親である荒川コーチは石雋が演じているせいなのか、なんだか川上哲治並みの大家になっておりました。

それから、不思議だったのが五十番のラーメンのレシピ。
家族や師弟の絆を深める小道具としてきわめて重要な役割を果たすこのラーメンの具が、なぜか知らんけどトマトのスライス2切れと刻んだ葱なのよ(調理場にはトマトが山積。牛肉麺とごっちゃになってるような気が)。

あんまり食いたくないな。

付記:鈴鹿景子の吹替の声が楊貴媚にクリソツだったんですが、後でクレジット見たら「對白」のところに楊貴媚の名前が。やっぱり彼女だったのね。

映画と一緒にぜひこの本もお読み下さい。
後援会幹部が王さんと張美瑤を結婚させようと
していたなんていう驚きの事実も出てきます。

3 件のコメント:

吉田 さんのコメント...

トマトラーメンはあちこちで実在してるみたいですね。(おそらくスープパスタのような感覚なんでしょうか)

hoisam さんのコメント...

あらー、王さんが馬景涛なんて、おっとこまえ過ぎませんか? ちょっと見てみたいです。

せんきち さんのコメント...

吉田さん

なるほど、トマトラーメンと考えればいいのですね。
しかし、昔ながらの東京ラーメン支持者としては・・・・。

hoisamさん

王さんというよりもハンカチ王子といったイメージでしたが、それほど違和感なかったですよ。