1959年、東京映画・東宝。板谷紀之監督。原知佐子、三橋達也、露口茂、横山道代、他。
どうも。
トド@「欽ちゃんの仮装大賞」が「欽ちゃんのカツオ大将」に聞こえるです。
不肖せんきち、この黄金周は伯母の一周忌で外出した他にはどこにも行かず引きこもり生活を送っていますたが、昨日飛び込んできたのがこのおめでたいニュース。
汪明荃羅家英 終成眷屬
超熟年夫婦の誕生ですが、どうぞ末永くお幸せに。
さて、ここで告知です。
この告知をするために「不完全作品リスト」なんぞを無理して作成してしまったわけなのですが(こちらとこちら)、ただいまラピュタ阿佐ヶ谷で開催中のレイトショー企画「60年代まぼろしの官能女優たち」にて、5月9日(土)から15日(金)まで湯浅浪男監督の『悲器』が上映されます。
わたくしもぜひ足を運びたいと思っております。
で、本題。
以前、衛星劇場で放映されるという告知だけしてそれっきりになっていた映画のメモ。
告知のさいにご紹介した通り、1961年4月と5月に香港で上映されてセンセーションを巻き起こした作品です(中文タイトル『飛女慾潮』)。
たしかに、この映画で描かれている大学生の奔放な生活ぶりは、香港の皆様を震撼させるに十分だったとは思いますけれど、映画自体は別に取り立ててどうこういうほどのものではないかと。
ま、とっぽい(死語)大学生やってる川合伸旺やら、つまらない遊び人やってる露口茂やら、おネエ言葉を操る米倉斉加年やら、「人に歴史あり」な映画として観る分にはそこそこ楽しめますです(蜷川幸雄も出てるらしいが、ようわからん、と思ったら…↓)。
くわしいストーリーはこちらをご参照頂くとして、当時の現役女子大生・門脇順子の小説(というよりも、手記に近いと思います)『女子大学生』を原作にした映画で、原作小説は発表当時「女太陽族」等と言ってもてはやされたそうです……が、彼女の小説はこれ以外残っていない模様です(俗にいう「一発…〔以下自粛〕)。
建築デザイナーを目指す女子大生・順子(原知佐子)が二宮(川合伸旺)とレイプ同然の初体験を済ませた後、代議士の息子・大木真(露口茂)と恋愛関係になって同棲を始めるものの、父親の金で遊びまわる真とはすぐにうまくいかなくなり、挙句彼の子どもを堕ろす羽目に。
真と同棲していたアパートを出た順子はアルバイト先の上司・平河(三橋達也)の部屋に一晩泊めてもらい、やがて彼に惹かれるようになる……って、たしかにレイプ野郎や代議士のおバカボンボン(こいつもヤリたがり)より、知的な上に経済力もあって、適度にマッチョなくせに性的にガツガツしていない大人の男が魅力的に見えるのはわかりますが、平河の方までこの小生意気な女子大生のことが気に入って「ヨーロッパについてこないか?」とか言っちゃうのが解せませんねえ。
また、最後はストーカー同然になっていたとはいうものの、一度は愛した男があんな形で死を迎えたこと(モーターボートで事故死)に対して何の感情も抱かない、というのも不思議と言えば不思議です。
事故現場であれだけ泣いていた真の妹(柏木優子)が、告別式の会場ではケロッとしていたのも同様。
それが当時の新しい女子大生像だった、と言われればそれまでなのですけれど。
劇中、妊娠中絶をした順子を見舞う真の妹たちが意外なほど冷淡、というか、「ヘマをした」ぐらいの認識しか持ち合わせていない姿を見て、なぜか三島由紀夫の『美徳のよろめき』(1957年)で中絶を繰り返すヒロインを思い出してしまいますた。
妊娠中絶をめぐる驚くべき「お手軽感覚」は、今に至るまで消えていないような気もいたします。
なお、東京映画と東宝は、本作の公開にあたり、真の妹を演じた柏木優子に野川美子、檜麻子を加えた3人に「コメットスターズ」という愛称を付けて売り出そうとしたようですが、みごと不発に終わったようです。
というわけで、とりあえずメモまで。
付記:平河が建築技師として関わっているビルの建築現場、周囲に国会議事堂(側面)や皇居がある点からみて、当時建築中だった国立国会図書館本館ではないかと思うのですが、撮影協力なんかするかなあ、国会図書館が(平河町近辺で仕事をしているから平河って名前なのか?)。
0 件のコメント:
コメントを投稿