2007年10月8日月曜日

旅に出た極道

〔えいが〕

1969年、東映京都。佐藤純彌監督。若山富三郎、清川虹子、山城新伍、菅原文太、大木実主演。

どうも。
昨日は、シネマヴェーラで『砂の香り』を観ながらよだれを垂らして寝ていたトドです。
たまらなく退屈な映画だったけど(浜美枝のオパーイ以外は)、浜美枝が芝の留園のオーナー夫人という設定で、在りし日の留園が出てきたのは収穫でした。
今、留園創業者の盛毓度のことを調べているので。
あ、そうだ、『砂の香り』の音楽、渡辺宙明だったけど、『二匹の牝犬』(やっぱり宙明氏が音楽担当)と同じ曲が流れたよ。

というわけで、久々に原点回帰(?)で香港ロケ映画のご紹介。

若山富三郎の「極道」シリーズ第5作
前作(『待っていた極道』)のラストで、

香港行くぞ!

とか言っていた通り、本作では香港へ渡っています。
ただし、密航なんだけど(中島そのみと一緒ね)。

その他の東映シリーズ物と同様、おんなじ役者さんを使い回ししているため、日本人だったはずの大木実が香港人になったり、前作で死んだはずの弓恵子が香港で別人になって生き返ったり(今回も死ぬけど)といった有効利用がございますが、ま、それはご愛敬ということで。
3作目(『兵隊極道』)で大陸娘をやってた大信田礼子も、香港に転生して再登場いたします(ずべ公番長は中国人だった!)。
みんな日本語がうまいよー。
いつの間に勉強したんだか。
これなら香港へ行っても言葉の心配はいらないや。

文革真っ只中のロケゆえ、战无不胜的毛泽东思想万岁!
なんていうスローガンが見えます(裕華國貨前)。

日本の極道(若山富三郎)と香港の極道(大木実)が、最初は反目するもののやがて兄弟分となって悪い毛唐と戦う、というパターンは、鶴田浩二&楊群の『大陸流れ者』と重なりますが、こちらは喜劇ベースのお話なので、殴りこみのさいのコスチュームも若山富三郎一党が「全極連」と大書されたヘルメットを被ったりと悪ふざけ度120%増です。
これで大木実が紅衛兵の格好してたら240%増に大幅アップだったのですけれど、さすがにそれはありませんでした。

むかしは日本人だったけど、いまは香港人となって毛唐のお先棒を担いでいる渡辺文雄が善心に立ち返るきっかけとなるのが、日本に残してきた娘との悲しい再会、というのはありがちなお話ですが、「日本人としての心を取り戻すこと=善心に立ち返ること」を暗に示しているような気もしました。
香港人としてなら悪さやっても平気ということなんでせうか?

2作目(『帰ってきた極道』)で若山富三郎の舎弟になった香港極道・白が本作で死亡(第8作で生き返るらしいけど)、文太もあっけなくこの世を去り、山城新伍だけはいつも必ず生き延びるのでありました。

そういや、香港から澳門に殴りこみに行くのにジャンクに乗ってたけど、あれ、何時間かかるんだ?

清川虹子がやっていた売春宿の看板。
既成のものをそのまま利用。
小さく「アパト」と書いてあるのが笑えます。


付記:今週の『週刊新潮』(10月11日号)、「黒い報告書」に御大・岩井志麻子先生が登場。さしもの『夜モモ』もすっかりかすんでいます。

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