2009年5月3日日曜日

40元でお願いします!(通販口調で)

〔ちょっとお耳に〕

当時の報道(『聯合報』)によれば、小林旭一行は
台北の他、高雄の市立体育館でも歌った(5月24日)そうです。

どうも。
トド@引きこもり中です。
引きこもりで暇を持て余す中、ふと目に留まったのが下記の記事。


馬英九政権、日本側に抗議 「台湾地位未定」発言で

日本の対台湾窓口機関、交流協会台北事務所の斎藤正樹代表が1日、南部の大学で開かれたシンポジウムで、台湾の国際的地位は決まっていないとの趣旨の発言を行い、台湾外交部(外務省)は「われわれの立場とは異なる見解で受け入れられない」として、代表を呼び出して抗議した……



上記『産経新聞』の記事は共同通信配信のものですが、実はこの記事にはまだ続きの文章があって、それが下記『東奥日報』の記事。


馬英九政権、日本側に抗議 「台湾地位未定」発言で

(以下、『産経新聞』がカットした部分を抜粋)

李登輝元総統、陳水扁前総統は「日本の主権放棄後、主権は未定」として、馬政権とは異なる立場を取っていた。
同事務所などによると、斎藤代表はシンポジウムで日本の見解を示した上で、地位未定論について言及。抗議を受け、発言は個人的見解だったとして撤回した。



「カットした部分があった方が発言の背景がわかりやすいのに、なんで『産経新聞』はカットしちゃったのかなー?」という素朴な疑問は置いておくとして、ようするに政権交代後の政治姿勢の変化に気づかなかった代表がうっかり本音を洩らしてしまったってことになりそうですけれど、「南部(記事には南部、とのみありますが、正確には嘉義)だし、本土意識の強い所だから、まっいいかー」って思っちゃったんでしょうかねえ。
ただ、今回の発言の舞台となった嘉義では3月にこんな出来事(事件?)もありましたし、ちょいと(というか、個人的にはかなり)気になる事件ではあります。

追記:上記報道のその後を追っていたら、4月29日付のこんな記事(「「地位未定論」を否定=57年前に「移譲」と見解-台湾総統)が見つかりました(「その後」じゃないけど)。
馬英九側としては「ここまで言ってやってるんだから、まさかそんなこと(斎藤発言)にはならないだろう」とタカを括っていたら今回の発言で(馬英九の面目丸潰れ)、こうなると「うっかり」ではなくむしろ「確信犯」だったのではないかという気もしてきます。
発言自体、予想されたことではありますけれど、藍と緑では評価が正反対ですし。
と、そうこうするうちに大陸の方もイッチョカミしてきましたねえ。
あ、そうそう、産経新聞の自前の記事もその後出ましたけれど、前述の素朴な疑問が消えるどころかむしろ増幅するような内容ですた。

では、本題に。

『台湾映画 2008年』(東洋思想研究所)所収の論考「台湾での日本スターの活躍」(川瀬健一氏)の中に、小林旭が1966年5月に台北で公演を行った際の入場料の最高額が260元で、65年10月から11月にかけて同じく台北公演を行った美空ひばりの(公演の)入場料の最高額・230元を上回っていた、とあり、これが台湾の(当時の)物価水準に照らしていかに破格のお値段であったかということが書かれています(一部抜粋した文章がこちらで読めます)。

小林旭、美空ひばりという当時の日本を代表するスターの大物ぶりがよくわかるエピソードといえますが、ただし、すべての日本のスターがこんなに高い料金で公演を行っていたかというと、必ずしもそうではなかったという事実を示すのが、下記の新聞広告。

1961年7月23日付『聯合報』。

日本で活動している台湾人歌手・楊超が、台北で里帰り公演を行った際、灰田勝彦や二葉あき子も助っ人、というかゲストとして公演に参加していますが、このときの入場料金の最高額がなんと40元。
小林旭が来台する5年前のこととはいえ、えらい違いです。
思うに、これは公演会場の収容人数の違いや食事付きかそうではないか(美空ひばりと小林旭は食事込)、ということの他、あくまで(公演の)主役である楊超が故郷に綿、じゃなくて(お約束のボケ)、錦を飾るための公演であったため、採算を度外視している、というか、(公演資金の)かなりの部分が楊超個人の持ち出しだったのではないか、とも考えられます。

と、ここまで書きながら公演のメインの人物である楊超の詳しいプロフィールを、不肖せんきち、全く存じておりません。
ご存知の方、ご教示くだされば幸いです。

ところで、小林旭が来台した1966年には、和田弘とマヒナスターズ with 松尾和子や雪村いづみ、松島アキラといったスター達も来台しています。

『淘氣姑娘』とは『ジャンケン娘』
の台湾でのタイトルです。



このうち、松島アキラは観光での来台だったようですが、マヒナ with 松尾和子と雪村いづみは公演を行いました。
ただし、残念ながら入場料金は不詳です。
わかれば、(美空ひばりや小林旭と)比較できるのですけどね。

付記:戦前から戦中にかけて、灰田勝彦は「台湾軍の歌」、二葉あき子は「青い星」(『海の豪族』主題歌)といった台湾と縁のある曲を歌っていますが、これらの曲を台北公演で歌ったのかは不明です。

2 件のコメント:

hoisam さんのコメント...

せんきちさんこんにちは、バタバタしておりましてすっかりご無沙汰してしまい申し訳ありません。こちらの記事、うれしかったです。というのも実は私は灰田勝彦さんの大ファンで、生まれて初めて買ったLPアルバムが灰田さんのものだったという……。台湾でも人気、あったのでしょうか。何を歌われたのでしょうか。せんきちさんの情報収集能力にはいつも感嘆しております。

せんきち さんのコメント...

hoisamさん

こんにちは。
こちらこそご無沙汰しております。
何を歌ったのか、詳しい内容は不明なのですが、それにしてもhoisamさんのご趣味は渋いですねえ。