2005年1月23日日曜日

愛奴新傳 (Lust For Of A Chinese Courtsan)

〔えいが〕




1984年、香港(邵氏)。楚原監督。余安安、胡冠珍、張國柱、萬梓良主演。

エロティック・ハウス 愛奴』日本版DVD発売記念!ということで、1984年に同じ楚原監督が自らリメイクした作品『愛奴新傳』をご紹介。

しかし、リメイクとは言いながら、こちらでは愛奴の殺人容疑を捜査するお役人(萬梓良〔アレックス・マン〕)が、愛奴の初恋の人という設定になっていたり、オリジナルではほんのちょっとしか出てこなかった娼館の女将・春姨(余安安)とその愛人(張國柱)との関係が詳しく描かれていたり、オチが違ったりと、かなりの相違点が見られます。
また、愛奴が復讐する相手も、自分を陵辱したエロじじいたちではなく(2人ほど不可抗力で殺しちゃうけど)、春姨への一極集中になっております。

でもこの春姨、愛奴と同じように貧しい生活の中で無理やり娼婦にさせられたという出自の持ち主で、けっこう愛奴にはよくしてやっているので、正直なところ「なんでそこまでやるかなあ」と思いましたです。
「春姨を死に追いやること=過去の自分との決別」を象徴してるのかなあとも考えましたが、そこまで深く考えて観るような映画でもないしなあ。
そもそも愛奴がそこまで冷酷な女になった直接のきっかけは、初恋の人であるお役人の冷たい仕打ちにあったのですから、それなら萬さんに復讐すりゃあいいのに。
「どんな金銀財宝を手に入れたとしても、女にとって最も重要なものは愛よ!」と愛奴に正論吐かれたあげくに死に追いやられ、財産みんな愛奴に盗られちゃう春姨って、なんだか浮かばれませんわ。

気になるエロ場面も、オリジナルに比べれば「あんなことも、こんなことも」しちゃったりして、かなり大胆ではありますが、「絶対に胸だけは見せません」という「NO!露點」の姿勢を貫き通してがっちりガードしているため、言い方は酷いですけれど、「メインディッシュのないフルコース」を食べさせられているような気がいたしました。
唯一、張震パパ(張國柱)の脱ぎっぷりのよさ(お尻丸出し)だけが、印象に残りましたです。

B級エロ時代劇として見ても、ちょっときつい出来かも知れません。


こちら、南極Z号、もとい、余安安(ユィー・アンアン)。春姨役です。發哥迷にはおなじみの方ですね。


こちら 、胡冠珍(フー・クアンチェン)。愛奴役です。台湾から来た女優さん。台湾では文芸映画のヒロインとして活躍するも、香港ではこんなことに・・・・。
同時期に香港に渡った胡慧中(シベール・フー。2人セットで「台大二胡」と呼ばれました←2人とも台湾大学出身のため)は、その後アクション女優として大成しましたが、彼女はあまり成功せずに終わったようです。
結婚・引退後はビジネス界に転身、現在ではこちらの会社の社長さんです。
主役の2人は、オリジナル(貝蒂〔ベイティー〕、何莉莉〔リリー・ホー〕)と比べると、残念ながら小粒感が否めません。


張國柱(チャン・クオチュー)。春姨の愛人・小葉役。張震のパパです。



元華(ユン・ワー)。武術指導も担当していましたが、画面では、あっさり死亡。

この他、曹達華(チョウ・ダッワー)もちょこっと出ていたものの、愛奴に夜這いかけて刺されるすけべ爺さん役だったため、かなりがっかり。ああ、「如来神掌」が・・・・。

付記:本作で萬さんがやっているお役人の役名が「凌雲(リン・ユン)」。それって、1960年代後半から70年代にかけて活躍した邵氏の看板スターの名前じゃん!
楚原監督と言えば、『月夜の願い』での偉仔の役名に(楚原〔チョー・ユン〕が)使われていたけど、監督自身もそういうネーミングセンスの持ち主だったのね。なっとく。

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