2007年10月1日月曜日

新刊2種

〔ほん〕〔ちょっとお耳に〕

『台湾光華』8月号の表紙。
メイン特集のタイトルが、なんとも挑発的。
かつて"Sinorama"(光華)といったこの雑誌、最近
"Taiwan Panorama"(台湾光華)に姿を変え、脱中国化が着々と進行中。
この特集タイトルも
あたしらはあんたらのようにはならないよ
という宣言のように読めます。

どうも。
急に寒くなったので、風邪気味のトドです。
おかしいなあ、北の湖(辞任しろ)、じゃなくて、北の海出身のはずなのに・・・・。

本題に入る前に1つお知らせ。

紀平重成さんの「銀幕閑話」がお引越ししました。
毎日新聞のweb版がお引越しすることに伴う措置だそうです。
新しい住所は、

http://mainichi.jp/enta/geinou/asianenta/ginmaku/

です。

でも、あれ?
これ、無署名記事になってますよん。
あくまで暫定的な状態であることを祈ります。

で、本題。
せんきちもさっき注文したばかりの新刊を2種。

一、李香蘭の恋人 キネマと戦争


田村志津枝著。筑摩書房。2310円。

著者である田村先生からもご案内を頂いたのですけれど、すいません、今さっきになってようやく注文しました。
そんなわけでちょっくら手抜きをして、ここは版元の宣伝文句でも。


民族と国家のはざまに生きたふたり!
戦意昂揚の国策映画で活躍した李香蘭。今も李香蘭の恋人と噂され、非業の死を遂げた台湾出身映画人・劉吶鴎。戦争に翻弄された映画人と、その活動の実態に迫る。



映画人として、また文学者として、近年その研究が着実に進んでいる劉吶鷗と、これもまた最近になって新しい回顧録の出版や伝記ドラマの放映が続いている李香蘭(山口淑子)。
まことにタイムリーな出版と言えそうです。

二、香港・日本映画交流史 アジア映画ネットワークのルーツを探る


邱淑婷著。東京大学出版会。7140円。

今朝の新聞広告で発見。
こちらも版元の宣伝文句を。


近年めざましい発展を見せるアジア映画のルーツは、第二次世界大戦期にまで遡る香港・日本の映画交流にあった。1950年代後半以降に日本の映画人が香港で多くの映画制作に携わった経緯など、広範な文献調査と当時の映画人への貴重なインタビューをもとに掘り起こされる,日中の映画人ネットワーク形成史。


昨年6月に香港・天地圖書から出た『港日電影關係 尋找亞洲電影網絡之源』の日本語版。
といっても、大元は東京大学に提出された博士論文なので、こっちの方がオリジナルと言えなくもないのですけれど。

中文版は60香港ドルと、1000円札1枚でお釣が来るとってもリーズナブルな価格だったのに対し、日本語版は7000円強という、学術書としてはお安いとはいえ、かなり対照的な価格設定でおます。
ま、そんなことを言って迷ってもいられないので、先ほどアマゾンでポチッとな!しました。

中文版巻末の附録「香港日本交流作品目録(1923-1973)」は非常に有用な作品リストですが、『無責任遊侠伝(澳門風雲)』が『日本一のホラ吹き男』になっていたり、陳寶珠の『紅葉戀』が抜けていたりと訂正すべき点がいくつか見られます。
今回の日本語版でそれらの点がクリアーされているかどうか、要チェックですわね(いじわるババアみたいだけど)。

それから邱氏のご研究で大変貴重なのは、もう1人の賀蘭山・柿田勇や井上梅次といった実際の映画人に聞き取り調査を行っている点で、中文版では残念なことにそれらの取材記事が活字化されることはなかったのですが、日本語版では、さあ、どうなっているか。
ぜひとも活字化してほしいのですけれど。

本が届くのを待ちましょう。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

60HKドルですか~。
それはぜひ欲しいです。
面白そうですね。
そういえば昔、15年くらい前でしょうか、
NHKのBSで、香港映画で活躍されたカメラマンの西本さんの特番がありましたよね。
興味深く見た記憶があります。

匿名 さんのコメント...

hoisamさん

こんにちわ。
日本語版、中文版にはない1970年代以降の動向に関する論考がありました。
ただ、それにしても、7000円以上の値段はちょっと痛いですね・・・・。