2008年8月16日土曜日

香港組曲

〔おんがく〕


どうも。
トド@日々の生活に疲れ果てますたです。
婆さんは昨晩も大いに吠え、わたくしは寝不足でふらふらです。

今日は珍しく(?)音楽ネタ。
少し前に入手したレコードについてです。

服部良一の1963年の作品(東芝 JSP-3089)。
演奏データには、


服部良一ニュー・ポップス・コンサートより
合唱:二期会合唱団
管弦楽:東京シンフォニー・オーケストラ
作曲・指揮:服部良一



とあり、同年に厚生年金会館で催されたコンサートのライブ録音のようですが、ライブに付き物の客席の騒音が一切ないのがちょいと不思議です(拍手はありますけど)。

ジャケット表。


ジャケット裏。

解説には、


戦後四回も訪れた香港の周辺をスケッチしてムード風に6つの楽章に描いてみた。中国旋律というよりも、旅情に味わった慕情の香港を中心に作曲したもの。


とありまして、特に『教我如何不想她』の作曲のために香港に長期滞在していたときの印象が基になっているようです(『教我如何不想她』製作時の服部良一に関しては、こちらをご参照下さい)。
組曲の構成及び内容は、以下の通り(楽章の内容は、レコードの解説より引用)。


1、香港漁歌 2、九龍農女 3、澳門休日
4、香港夜生活 5、香港夜曲 6、香港感懐

1 香港漁歌
映画でも有名なアバディーンは、小さな古い香港の漁港で、漁船が一面に並んでいる。朝は沖に漁に出かけ、夜は観光客で賑うシーパレス、サンパンに揺られながらきく船歌は、東洋風の哀愁を感じる。

2 九龍農女
九龍半島の山野地帯、殊に農園に働いている女は、客家民と称して黒い大きな笠と黒衣の特異な風俗で、チャイナ・ジプシーとでも呼びたい人々。水牛や家鴨の群があちらこちらにいて、実にのどかな中国的風景は香港の周辺でも最も土俗的なものを感じさせる。川を超えれば中共の赤旗がひるがえっている。

3 澳門休日
蘭領マカオは、香港から船で数時間、静かな別荘地で、海辺の緑樹、丘陵の花園は常夏のパラダイス。夜はギャンブル場があっても、街は眠ったように静かで花の香りが立ちこめた。月明かりのマカオの街を三輪車で行くのは楽しい。

4 香港夜生活
香港九龍の夜は、街中に煌々と電燈がかがやき、ネオンの原色の強烈な光が悩ましい。ナイト・クラブや酒場のジャズが、どこかで響いている。酒と女と音楽が国際的に入り混ったセクシー・カクテルの夜のムード。

5 香港夜曲
フェリー・ボートから眺める香港島の夜景は宝石箱の中のようにケンランたる美しさ。シネマスコープを見ているような雄大な眺めは、まさに東洋一の夜景。中国的なムードというよりは、香港独特の国際色に旅情をかきたてられる。

6 香港感懐
啓徳空港を発つ夜、香港の灯を機上から見おろして感無量。さまざまな思いをのせて一路東京の空へ・・・・。



司葉子や千葉泰樹監督と同じく、服部良一も澳門のことを「眠ったよう」と形容しているのがおかしいですけれど、それはともかく、不肖せんきちの曲を聴いてのへタレなメモも少し。

1、香港漁歌
ゆったりとした海のイメージ。

2、九龍農女
コミカルな曲調。
アップテンポで始まり、途中緩やかになって(田園風景の描写)、またアップテンポで終わる。

3、澳門休日
全体にスローな旋律。
教会の鐘の音等も入る。

4、香港夜生活
妖しいムードで始まる。
ラテンジャズっぽい感じだが、どこかレス・バクスター(Les Baxter)の『ホンコン・ケーブル・カー("Hong Kong Cable Car")』に似ている。


途中、ロマンチックな旋律に変わる。

5、香港夜曲
『香港ノクターン(香江花月夜)』の最後のレビュー場面で使われている曲のルーツのよう。
光瞬く香港の夜景を抒情的な旋律で綴る。

6、香港感懐
やや中国的と思われる旋律で始まり、香港の思い出を胸に帰国する情景を描いて曲を結ぶ。


実際に聴いてみて、「すっげーいい!」というほどでもありませんでしたが、服部良一と香港との繋がりを考える上では貴重な作品であるといえるでしょう。

CD化されてないのかしらん?

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

残暑お見舞い申し上げます。
ご無沙汰いたしております。
毎日が大変のご様子、お身体の具合は如何ですか?

「香港組曲」の記事、久々にうずきました。
最近はちまたの「香港もの」に対して全く反応しなくなりました。
もう年ですかねぇ(おいおい)

こんなレコードあったんですね。はじめて見ました。

服部良一は、戦後のものより戦前のものがいいとの私の仲間内での評価です。
まぁどうでもいい話ですが。

匿名 さんのコメント...

胤雄さん

こちらこそ、御無沙汰しております。
どうにか、毎日を過ごしております。
腰痛と膝痛に悩む日々です。

たまたま見つけたレコードで、曲はそれほどよいとは思わなかったのですが、せっかくなので紹介してみました。
お役に立てば幸いです。

解説には「中国旋律というよりも、旅情に味わった慕情の香港を中心に作曲したもの」とありますが、その実かなり中国っぽい旋律が出てきます。