〔えいが〕
1982年、香港・台湾(旗和)。張旗監督。向雲鵬、羅璧玲、魏平澳、高遠、歐陽莎菲主演。
いったい何匹の蛇を殺せば気が済むんだ?というぐらい、
へびへびへびへびへびへびへびへび・・・・・(∞)
まみれの、超ヘビー級映画(ダジャレ言ってて、どうするよ!)。
香港の製作会社が台湾で撮影した映画のようです。
ストーリーその他の情報は、こちらもご参照下さい(「缶詰の映画」と「きまぐれムービーシアター」がおすすめ)。
まあ、一言で言うとマンション建設のため理不尽に大量殺戮された蛇の残党が人間たちを襲うという「蛇の復讐物」なんですが、全体のヒントとしては『タワーリング・インフェルノ』もあるらしいです。
猛火の代わりに毒蛇かい。
中盤に登場する蛇道士(総白髪の林正英風)が、蛇一族の親分らしき大蛇(これがちょっと作り物っぽかったのが残念)を退治して「一件落着」かと思いきや、殺したのは番のうちの片割れだけで、もう一方は生きていたという、蛇道士のぬかりまくりなお仕事には開いた口がふさがりませんでしたわ。
詰めが甘いわね。
ここはぜひ、日本から蛇娘・お峰さんを呼んで、蛇道士とお峰さんで大蛇丸かぶり合戦をしてほしかったところです。
クライマックスの「蛇、マンションで人間どもを襲う」の件でも、一番の悪人の建築屋(富仁〔高遠〕)が蛇にかまれて苦しみ悶える妻を尻目に、日本刀でばっさばっさと蛇を斬りまくるというシュールな描写に大笑いいたしました。
シュールといえば、突如「華西街の蛇吊るし切り」や「蛇とマングースの対決」を延々と映し出したりするあたりも、「いきなり観光映画」な展開でお口ポカンでしたわ。
でも、「敵(富仁)は最上階にあり!」とばかりにマンションの階段をえっさほいさと上ってゆく蛇たちの姿には、けなげさすら感じましたです。
とはいえ、こんなマンション買っちまったばっかりに蛇に襲われて絶命する住民たちは、いい迷惑以外の何者でもありません。
顔面に蛇這いまくりの歐陽莎菲(上の画像右下のおばさん)なんか、見上げた役者根性と称えるべきなのでしょうが、なんだか痛々しくて、年寄りにあんまり無理させるなよと思いました。
ということで、以下、役者さんについて少し。
大悪人・富仁を演じた高遠は、かつての二枚目スター。
もと左派公司(長城・鳳凰)の北京語映画で活躍しましたが、1960年代後半に右派(邵氏)に転向しました。
樂蒂の恋人だったと言われている人です。
善意の建築家・正豐役の向雲鵬は、カメラマン(祁和熙)を父に持ち、1980年に『郷野人』で第17回金馬奨助演男優賞を受賞した男優さん。
翌1981年にも『同班同學』で主演男優賞にノミネートされています。
富仁のせこい秘書を演じた魏平澳は、李小龍作品(『ドラゴン 怒りの鉄拳(精武門)』『ドラゴンへの道(猛龍過江)』)でもおなじみの道化方。
富仁の娘で正豐に思いを寄せる秀梅役の羅璧玲は、さいきん羅霈穎と改名したこの方らしいのですが(こちらに動画が)、ちっとも老けていませんね。
というか、むしろ若返っている感じ。
蛇より怖いよ。
でもって、歐陽莎菲は、上海映画界から香港にやって来た言わずもがなの大ベテラン女優。
歐陽莎菲のご主人役の李影も台湾のベテラン男優で、富仁が持つ利権に群がる資材会社の社長役で王哥こと李冠章も顔を見せていました。
と、こうして見てみると、けっこう一流のキャストなんですよ、この映画。
こんなキャストでこんなキワモノを撮っちゃうんですからねえ。
おまけに製片を担当している張堆樹は、『帶劍的小孩』(柯一正監督)や『チャイナ・フィナーレ 清朝最後の宦官(中國最後一個太監)』(張之亮監督)等も手がけた有名プロデューサーですし。
いい大人たちが、よってたかってすごいの作っちゃいました。
付記:本作の監督(導演)、劇場公開時には「オウ・ザイケイ(王再慶。そのまま日本語読みじゃん)となっていましたが、彼は実際には監製でした。その後、ビデオ再発時には「ウイリアム・チャン〔グ〕(張旗)」と改められたものの、彼もまた策劃担当で、タイトルバックにはなぜか導演のクレジットがありませんでした。しかし、香港電影資料館のデータでは張旗を導演としているので、ここでもそれに従っておくことにいたします。
おまけ:かんけーないけど、僕も蛇好きです(ほんとか?)。
2 件のコメント:
せんきちさん、お邪魔します。
僕、昔からこれが見たかったんです(笑)。
「タワーリング・インフェルノ」プラス蛇
・・・という抜群な発想(笑)にシビれて、
いつか見てみたいと思っていました。
でも、せんきちさんの紹介を読んでみると、
僕の想像を超えているような気がします。
ちょっと見るのが怖い気がしてきました(笑)。
ところで人から聞いた話では、
ビルの落成式パーティーでバンドが演奏する
曲の中に、ダニエル・ブーンの有名な
「ビューティフル・サンデー」もあった
・・・と聞いていますが本当でしょうか(笑)。
あの曲がヒットしたのは日本だけと思ってたので、
ちょっと驚いていたのですが。
そういえば香港映画では、ネクラ青年が蛇を
飼いならして人を襲わせるとかいう、
蛇版「ウィラード」みたいな映画も
あったような気がしますが、
それって何ていう映画でしたっけ?
ともかくやっぱり一度は見たいですねぇ(笑)。
Fさん、こんにちわ。
>「ビューティフル・サンデー」
流れてますよー。
ノー天気にバンドが演奏する中、皆でフィーバー(死語)していました。
>蛇版「ウィラード」
『蛇殺手』という映画ですね。
たしかに言われてみれば『ウィラード』かも。
井上梅次に石を投げたという桂治洪監督の作品です。
http://shaw.intercontinental.com.hk/big5/Details.asp?hLight=others&hType=DVD_VCD&hKeyID=MS-3853
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